FC2 トラックバックテーマ:「推し活してる?」ステーキの味がするトマト? ビールが光る? 開発しているのは市民たち。
今、高度なバイオテクノロジーを使って、発明に手軽に挑む動きが、世界で
広がっています。 愛犬の遺伝子を操作して、病を治そうとする人も…。
愛犬家は、言う。 “遺伝子を変えるコストが、随分安くなったので、これまで
出来なかった事も、出来るようになったのです”
遺伝子組み換えに、ゲノム編集。 技術がオープンになり、費用も格段に安く
なったことから、趣味として楽しむ人たちが増えているのです。
中学生の男の子は、言う。 “遺伝子変革は、ブロック遊びのようなものさ…”
世界を変える発明が、生まれるかも知れない…。 ビジネスの面から、早くも
期待が集まっています。
投資会社の役員は、言う。 “非常に大きな産業になると思っています。
バイオにおけるアップルやマイクロソフトみたいな会社が、今、もう、すでに
生まれているのかも知れません”
バイオ技術を、 Do It Yourself 手作りで! その先に、どんな世界が待って
いるのでしょうか?
都内で定期的にミーティングを行う一風変わった趣味のサークルがあります。
メンバーは、生物好きの高校生や会社員など、およそ40人。
挑んでいるのは… “自宅で肉を培養する方法を、そんな事をやっています”
自分たちで、動物の細胞を培養し、人工の食用肉を作ろうというのです。
世界の研究者たちが取り組んできた、この技術。 その味は? “本物の肉
みたい”牛の筋肉から取った幹細胞を、再生医療の技術を使って増やします。
生き物を殺す事なく、食肉を作り出せる、画期的な技術です。 これを自宅で
実践しようというのが、サークルの目的です。
メンバーの1人、外資系のコンサルティング会社に勤務している女性です。
“ここのスペースが、私の実験スペースで、ここの中で今、細胞を培養してる
ところです” リビングで鶏肉の細胞を培養。 毎日、その成長を見守るのが、
何よりの楽しみです。
“細長い線みたいなところが、生きた細胞です。頑張って、のびのび育とうと
生きようとしているのが、健気でカワイイです”
培養に使う器具は、ネットで買い集めたり、自分で作ったものです。 例えば、
この扇風機、細胞を取り出す遠心分離機の代わりです。 SFの世界を実現
するような気分を味わえるのが、魅力だといいます。
“単純に、未来のある事を、やってみたいなとか、未来を実現するために、
そういう活動をしてみたいなって…”
今、こうしたバイオテクノロジーを、趣味として楽しむ人が増えています。
日曜大工のように、気軽に楽しめる事から、Do It Yourself (DIY) バイオと、
呼ばれています。 DIYバイオが世界で最も進んでいるのが、アメリカです。
ニューヨークで会社経営をする、この男性も、5年程前からDIYバイオの魅力に
取りつかれたといいます。 “僕の実験室へ、ようこそ!”
趣味で自宅に作った、この実験室。 ここで、この世に存在しない植物を、
次々と生み出して来たといいます。 “牛肉に、最も多いタンパク質のミオグロ
ビンです。私は、これを、トマトに入れました” 変わった形の、このトマト。
牛肉の遺伝子が組み込まれていて、ステーキの味がするといいます。
今、取り組んでいるのが、自然界には存在しない、青いバラの花。 青い貝が
持つ遺伝子を、バラに組み込もうとしています。
駆使するのは、遺伝子改変の技術です。 生物の情報が詰まった遺伝子。
1つ1つの複雑な配列が色や形等、その生物の特徴を決めます。この男性は
コンピューターで、遺伝子の構造を解析。 特定の遺伝子を探し出します。
そして、それを切断。 そこに全く別の性質を持つ遺伝子を、外から組み込む
事で、自然界に存在しない植物を生み出すのです。
部屋から持ち出さない限り、アメリカでは、個人が行なっても違法ではありま
せん。 この技術を、男性は、全て、インターネットで学んだといいます。
“生き物の遺伝子を書き換える偉大な力を与えられた気分です。完全にハマ
りました。もっと色んな事を知りたいし、新しい技術にも挑戦したいと思います”
DIYバイオが、急速に広がった理由。 それは、2000年代に入り、生物学が、
より手軽になった事です。 テクノロジーが進歩して、早く、安くできるように
なった遺伝情報の解読。
例えば、ヒトの遺伝情報の解読にかかるコストは、この17年で、8万分の1に
まで下がりました。
遺伝子を扱う人が増える事で、実験に使う器具の価格も下がりました。
遺伝子改変ができる、このキットは、159ドル出せば、誰でも買えます。
こうした事が、DIYバイオを楽しむ人々の裾野を広げて来たのです。
中学生の男の子は、言う。 “遺伝子変革はブロック遊びのようなものさ…
好きな様に変えられて、色々な事を学べるんだ”
そして去年、ついに、こんな人まで現れました。 “私たちは、死ぬまで同じ
遺伝子である必要はないのです”筋肉の成長を促す遺伝子を、自分に注入。
その様子を、インターネットで公開したのです。 実験の目的は何なのか?
本人を直撃しました。 カリフォルニア州に住む、37歳の男性です。
生物化学の博士号を持っていて、遺伝子改変の実験器具を製造・販売して
います。 “ここが、注射したところです…”
自分の体を使った遺伝子実験は、今の所、特に法律で規制されていません。
半年以上経った今、目立った効果や副作用は、確認できないといいます。
なぜ、実験をしたか尋ねると…。 “僕だって、バカじゃない!本当に筋肉を
つけたければ、ジムに通えば良いのは分かっているよ!人の遺伝子が、
いかに簡単に操作できるか、世の中に伝えたかったんだ!”
以前から男性は、治療法がない難病に苦しむ人たちが多くいる事に、胸を
痛めて来ました。
筋ジストロフィーの患者は、言う。 “筋ジストロフィーは、私の体の筋肉をむし
ばんで行きます…お医者さんには、さじを投げられました…”
生物化学の博士号を持っている男性は、言う。 “彼女は遺伝子を変えて、
健康な筋肉を取り戻せないかと考えているんだ”
こうした患者の中には、遺伝子治療に希望を託す人も、少なくありません。
患者が自分の体を使って治療法を探す事も出来ると、男性は知らせたかった
といいます。
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“科学の力を使って、病気の治療法を、自分自身で探す事ができるかも知れ
ない。 自分の遺伝子を組み換える事で、なりたい自分になれる。 それが、
今の時代に実現するとしたら、凄い事じゃないか!”
過熱するDIYバイオ。アメリカの医学会は人体の遺伝子改変など、行き過ぎた
実験には、懸念を示しています。
アメリカ遺伝子細胞治療学会の会長は、言う。“専門的な裏付けのないまま、
個人がやみくもに実験を行う事は、リスクを伴います。予想できない副作用を
引き起こす可能性があるからです”
じつは、このDIYバイオを、日本でも体験できる場所が、でき始めています。
都心のビルの一角に、基本的なバイオ実験に必要な設備が揃う実験室が
ありました。
ここでは毎週、初心者向けの講習会や、植物の細胞を培養する実験などが
行なわれています。 リケジョじゃない私も、気軽に体験できました。
バイオクラブのマネージャーは、言う。 “バイオは、とても楽しいものなんだと
いう事を、発見できるような場所になったらいいかなと思います…”
こうした街角の実験室に集まる多様な人たちが、新しい時代を開くのでは
ないかと注目されています。
アメリカでは、DIYバイオを楽しむための団体が、すでに50以上あります。
こうした人々が資金を出し合い、共同で実験室を運営しています。
カリフォルニアにある、この施設。 月100ドルの会費を払えば誰もが、自由に
本格的な機器を使う事ができます。
学校帰りという、15歳の高校生もいました。 “人工血液を作っています。
ユーチューブで作っている動画を見て、もっと良い方法があるかも知れない
と、始めたんです…”
他にも、会社員や主婦などが気軽に立ち寄ります。 こうした場所から世界を
変えるDIYバイオが生まれるのではないかと、期待されています。
DIYバイオを推奨する人は、言う。 “これは革命です!もっと多くの人に、
この革命に参加してもらわなくてはなりません!”
共同実験室の普及を後押しして来たのは、科学を解放し、政府や企業には
できない、新しい変革を起こそうという、オープンサイエンスの動きでした。
“情報をオープンにして、誰もが利用できるようにする事が重要です!
世の中の問題を解決する生物学を、みんなで作るのです!”
オープンサイエンスが、実を結び始めているケースがあります。 病の治療に
欠かせない薬を、市民の手で製造しようというものです。
研究を始めたのは、IT関係の仕事をする男性で、13年前から糖尿病を患って
います。 毎日打つインスリンの費用に、悩まされて来ました。
“月500から600ドル(5万円~6万円ちょっと)は、払っています。アメリカでは
保険に入っているか、金持ちでないと、インスリンを買う事ができません。
インスリンを買えず、亡くなる人までいるのです”
糖尿病の治療に欠かせないインスリンは、一般的に、微生物を利用して製造
します。 人間の体内でも作られるインスリン。
それを生み出す遺伝子を微生物に組み込みます。 その微生物を増殖させて
精製するのです。 インスリンの製造技術は、大企業が独占しており、価格が
下がらない要因になっています。
自分たちで、安く製造する方法を探し、世界中に公開したいと考えた男性。
3年前、ネットで呼びかけたところ、寄付や協力の申し出が相次ぎました。
技術者や元大学院生など、さまざまな経歴を持った人が知識や人脈を生かし
ながら、研究に当たっています。 数年以内には各国の安全基準をクリアして
技術を公開したいと考えています。
IT関係の仕事をする男性で、13年前から糖尿病を患っている人は、言う。
“誰でも作れる手軽な技術を生み出すのが、私たちのモチベーションです。
人類は、これまで、必要なものは、何でも自分自身で作って来ました。
それはこれからも変わりません。 明るい未来を作る最善の方法なのです”
こうした市民が自由に使えるDIYバイオの実験室。 今では、世界中に作られ
ています。
アメリカの研究機関の調査によりますと、DIYバイオを運営する団体は、
アメリカ以外にも、ヨーロッパに55、アフリカに4、オセアニアに9、北米に62、
中南米に16、アジアには22など、世界に168あります。
こうした動きの中から今、社会に貢献する共同プロジェクトやイノベーションが
次々に生まれています。
一方で、多くの人にオープンにすることで、例えば、生態系への影響とか、
出来たモノの安全性、またテロリストが生物兵器を作ってしまうような懸念は
ないのか?
そこは非常に重要な点で、実際、先進国でこういった事をやろうと思う時には
遺伝子の組み換え技術や、生殖細胞の扱い方、あるいは病原菌の扱い方に
関して規制があります。
そのため、ルールを順守する事が非常に大切ですし、ルールがどうやって
できたのかという経緯を学ぶ事が重要です。
また、リスクに関しては色々な面があり、安全面とか、倫理面とか、文化面等
いくつかのものがあるのですが大事なものは情報だと思っています。
こういったオープンに色々な情報がでてくるという事は逆にフェイクであるとか
信憑性のない情報がどんどん出て来る可能性もあるのです。
そこに、どう対応するかが非常に重要という事になってきます。ではオープン
である事と、リスクである事を、どう両立させれば良いのか?
特に、フェイクが混ざりやすい情報のリスクを避けるためにも、オープンサイエ
ンスでシェアする文化というものを積極的に利用して、そこで議論を深めて行く
という事が、実際にものづくりなどと一緒にタイアップして、連動することが、
今後につながるかどうかが、かかってくると思います。
研究をどう進めるかだけでなく、どう使いこなすか、リスクも含めてオープンに
議論して行くことが重要で、そこに未来がかかっていると思います。
熱を帯びるDIYバイオ。 多くの人がオープンに参加する事で、これまでにない
アイデアが生まれる期待を感じます。
一方で、それが、安全で、本当に人々の暮らしを豊かなものにするために、
議論をオープンに高めて行く事も必要だと思いました。
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まるまると太った、このタイ。 今、注目の、ゲノム編集と呼ばれる技術で生み
出されました。通常のものと比べて身の量が1.2倍もあるマッスルマダイです。
生命の設計図である、遺伝子を操作して、誕生しました。
近畿大学水産研究所の教授は、言う。 “筋肉量を増やす事で、同じように
養殖して、たくさん食べられる。値段は下がります”
このゲノム編集食品、街の人は、どう受け止めているのでしょうか?
“安全だとなっているのなら、私は、ゲノム編集の方ですかね…”
“やっぱりタイは、日本人が好む魚なので、こういう事で少しでも安くなれば
いいんじやないですかね” “私は不安なので、通常の方ですね…”
“子供に、何か影響があるとと怖いので、普通のタイの方が食べたいかな…”
実は、タイの他にも、血圧を下げる成分を多く含むトマトや、アレルギー物質が
少ないタマゴなど、ゲノム編集食品の研究が相次いでいます。
最先端の技術で開発した新たな食品。 国は近日中にも、ゲノム編集食品の
販売を解禁すると決めました。 ゲノム編集食品は、安全なのか?
すでに販売されている遺伝子組み換え食品とは、何が違うのか?
皆さんの疑問に答えます。
そもそもゲノム編集食品は、どのように作られるのか? リポーターは、言う。
‘ここは、佐賀県の唐津市です。あちらの海沿いに見える建物が、今回、
私たちが取材する研究所です’
ゲノム編集を使った魚の養殖技術を開発している、九州大学の助教です。
実験場は、厳重に管理された建物の中にあります。
今回、特別にカメラが入りました。 九州大学大学院の助教は、言う。
“これが、ゲノム編集のサバになります”
‘私、今、初めてゲノム編集サバと対面しているわけですが、普通のサバと
ゲノム編集サバの違いが、見たところ全然、分かりません’
“はい。 姿・形は、普通のサバと全く同じで、我々が行っているゲノム編集は
サバの攻撃性を抑えようというものです”
実はサバは、強い攻撃性を持っています。 通常のサバの稚魚にエサを与え
ると… バシャバシャと飛び跳ねています。 “非常にアグレッシブですよね…”
この攻撃性のため、サバの稚魚は共食いをしてしまいます。 こちらは、その
瞬間を捉えた映像。 水槽で飼育すると、生存率は僅か1割。
これまで養殖は難しいとされて来ました。 そこで研究が進められて来たのが
ゲノム編集の技術です。 ‘この液体は、どんな役割をするものなのですか?’
“これは目的とする遺伝子を探し出して、そこにくっついて、遺伝子をチョキッと
真っ二つに切ってしまう。 いわゆるハサミの役割をするものなのです”
助教がハサミと呼ぶのは特殊な酵素です。 顕微鏡を使いながら、この酵素を
魚の受精卵へ注入して行きます。
すると受精卵の内部では、遺伝子に変化が起きます。 サバの遺伝子にある
攻撃性をつかさどる部分を、酵素がピンポイントで切断するのです。
すると、攻撃性が抑えられ、共食いをしにくい性質になるといいます。
まだ研究段階ですが、1割だった稚魚の生存率が、4割にまで上昇。
難しいとされて来た、サバの養殖の可能性を広げると、期待されています。
“日本や世界の水産の未来を救うかも知れない。そういった、すごいサバです
よね…まさに、革命と言ってもいい技術ですね!”
こうしたゲノム編集食品は海外から輸入される可能性もあります。日本以上に
開発が進むアメリカ。ベンチャー企業が、こぞって実用化に乗り出しています。
ベンチャー企業の開発担当者は、言う。 “この温室ではトウモロコシや大豆を
栽培しています。全て、ゲノム編集したものです”
通常より収穫量が多いトウモロコシや、ビタミンを多く含むベリーなど50種類に
のぼるゲノム編集食品を開発中です。
ベンチャー企業のCEOは、言う。 “ゲノム編集食品に不安を感じる人もいま
すが、直に受け入れられるでしょう。スマホの仕組みは分からなくても使いま
すよね?それと同じですよ!もちろん、日本にも輸出しますよ!”
ところで、遺伝子を操作すると聞いて、遺伝子組み換え食品を思い出した人も
いるのではないでしょうか? この両者、一体、何が違うのでしょうか?
例えば害虫に強い遺伝子組み換えのトウモロコシの場合。 害虫を駆除する
タンパク質を作る、バクテリアに着目。 その遺伝子を組み込みました。
このように、遺伝子組み換え食品では、遺伝子を入れるのに対し、今、開発
されているゲノム編集食品では遺伝子を切ります。これが大きく違うのです!
違いは販売のルールにも。 新たに遺伝子を入れる遺伝子組み換え食品は
それによって人間に害を及ぼす事がないか?国の安全性審査を受ける事が
義務付けられています。
企業は成分解析や動物実験などを行い、アレルギーの原因物質や発がん性
物質等が新たに生み出されていない事を確認します。そのデータを国の食品
安全委員会に提出。厳格な審査を受けた上で許可を得る必要があるのです。
一方、今、開発されているゲノム編集食品は、もともとある遺伝子を切るだけ
だとして、今回、国は、安全性審査は必要ないと決定しました。
一体、なぜなのか? その背景には、遺伝子を切るという手法が、これまでの
品種改良で使われて来た事があります。
味がよく、病気に強い事で知られる梨。 ゴールド二十世紀も、遺伝子を切る
事で生まれた品種の1つです。 ここは、ゴールド二十世紀が作られた、実験
農場。 品種改良は、放射性物質を利用して行われました。
農研機構・放射線育種場の博士は、言う。 “この中にあったのです。線量の
大きさでいったら、88.8テラベクレルという、かなり大きな…ガンマ線を出す
線源(放射性物質)が、この中に入っていました”
実験農場の中心に設置されたタワーから出る放射線によって、作物の遺伝子
の一部が切られ、突然変異を引き起こしたのです。
“放射線による突然変異とゲノム編集では、変異の遺伝子が変わる仕組みは
同じ部分があるわけです。機能喪失というところで…長年の突然変異に関係
する食品を食べて来たという食経験もありますので、これまでのところ、何か
問題が発生した事は聞いていませんので…”
一方、ゲノム編集食品には、未知のリスクがあるという指摘もあります。
消費者団体のアナリストは、言う。 “ゲノム編集食品にはオフターゲットという
リスクがあります。食べ物の毒性やアレルギー成分が増えてしまわないか?
懸念しています”
オフターゲットとは、ねらった遺伝子を切るはずのゲノム編集のハサミが別の
遺伝子を切ってしまう事です。 これが起きると、どうなるのか?
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例にあげたのは、ジャガイモです。 日光にさらされると、ジャガイモは、毒を
生成します。 緑色に変色する事が、その印です。
もし、オフターゲットによって、緑色にする遺伝子が切断されてしまったら…。
毒が生成されていても緑色にならず、気付かずに食べてしまう恐れがあると
いうのです。
“ゲノム編集については、まだまだ解明されていない事がたくさんあるのです。
科学者の中には、ゲノム編集は世界を飢餓から救う!この技術には良い事
しかない!リスクなども全て分かっている!という人がいます。そうした人は、
まるで自分が神だと、勘違いしているように思います”
日本では近いうちに解禁される、ゲノム編集食品。 街のみなさんに聞くと…
“味とか、本当に食べても体に影響がないのか?”
“ゲノムというのが、よく分からないので… 全く知らないので…”
私たちの食卓に上る可能性が出て来たゲノム編集食品。 現在、開発されて
いるものが、養殖しやすいサバや血圧を下げる成分が多いトマト、アレルギー
物質が少ないタマゴなどがあるのです。
こうしたゲノム編集食品について、国は、1週間後から販売を解禁するとともに
そのルールを決めました。 そのポイントが、こちらです。 まず企業には販売
を始める前に、どういうゲノム編集をしたのか等、内容の届出を求める。
遺伝子組み換え食品には義務とされていない安全性審査、これは必要ない。
そして、こうしたルールは、輸入品についても同様に課せられるという事です。
専門家会議の委員としてルールの策定にも関わられた、明治大学の教授に
話しを聞いてみたいと思います。遺伝子を入れるのが遺伝子組み換え食品。
一方、今のところは切るだけのゲノム編集食品。 この違いで、安全性審査が
必要なのかどうかというのが変わって来るというわけです。切るだけとはいえ
ゲノム編集食品は、本当に安全なのでしょうか?
実は、これまでの品種改良というのは、天然の放射線などによって、ゲノムが
切れる事によって起こっているものです。
ですが、ゲノム編集というのは、これをピンポイントで起こす事によって、品種
改良のスピードをアップするというものです。 なので結局のところ、辛抱強く
品種改良すれば、いつかは取れるものしか取れません。
現状で、出回っている食品とリスクは変わらないと考えられるので、特段の
安全性審査は必要ないのではと考えています。
ただゲノム編集でも、遺伝子を入れるという事は原理的には可能ですよね?
将来的に、これが食品に使われるようになったら、どうなるのでしょうか?
実は、厚生労働省では、企業への届出を求める前に、事前相談のシステムを
敷いているので、まず、事前相談をしてくれ。
そこで、専門家の手によって、本当に安全性審査は必要ないのか? 本当に
品種改良に比べて、リスクが上がっていないのかをチェックします。
そして、安全性審査が必要ありと、遺伝子組み換えに該当するという事に
なれば、厳密な安全性審査を要求する事になるので、これで安全性は担保
できると考えています。
例えばゲノム編集で、遺伝子組み換えのように、別の遺伝子を入れる食品が
出た場合、それは遺伝子組み換えとみなして安全性審査をすると。
ここに至る前のチェックも、ちゃんとやりますという事ですね?そういうルールに
なっています。 今、話しに出た安全性審査について、海外では対応が分か
れているのです。
まずアメリカでは、従来の品種改良と区別できないとして、日本と同じように
安全性審査は必要ないとしています。 一方のEU=ヨーロッパ連合は、遺伝子
組み換えと同じ規制を適用すべきという裁判所の判断が、去年、出ました。
そのために、安全性審査は、必要という考え方なのです。
日本消費者連盟事務局長は、現状ではゲノム編集食品の販売には不安が
残ると主張されているわけですが、アメリカ、日本も同じですが、それとEUの
対応が異なっています。 これ、どう考えていますか?
私たちは、確かに販売に不安を持っていますが、基本にあるのは、そもそも
販売は反対という立場に立っています。 それはなぜかというと、EUでは、
予防原則という考え方をとっています。
これは、日本ではなかなか馴染みがないのですが、簡単に言うと、例えば、
白か黒か分からないモノがあったとすると、黒であれば規制するという事では
なく、グレーでも、それは規制すべきというのは、とても重要な考え方です。
日本も、その考え方を、とるべきだと思っています。
確か、懸念している事というのが、先ほどの話しにもあったオフターゲット、
狙った遺伝子ではない、別の遺伝子を切ってしまう事などをはじめとする
未知のリスクという事ですが、具体的にはどんな事を考えていますか?
ゲノム編集技術そのものがかなり新しい技術なのです。よって、まだ分かって
いない事がたくさんあると思っているので、まだ分かっていないモノを、食品に
適用して、それを流通させるという事に、私たちは反対していますし、懸念を
持っています。
しかも、なぜ、こそまで食べ物というモノに反対するかというと、私たちには
食経験がないのです。 そういったモノを食べるというのは、今の私たちの
体だけではなく、私たちの子供や孫などの未来の世代にも影響するとい事で
とても重要な問題だと思っています。
では実際に販売が始まると、どうなるのか?今年2月からゲノム編集食品の
販売が始まったアメリカを取材すると、消費者の立場から気になる点が見え
て来ました。 まず訪ねたのは、ゲノム編集食品を生産している農家です。
ゲノム編集した大豆を生産しています。食用油の原料として利用されています。
この大豆を生産する農家は急増し栽培面積はこの2年で30倍に増えました。
ゲノム編集大豆の栽培面積
2017年800ヘクタール、 2018年6800ヘクタール、 2019年22000ヘクタール
ゲノム編集した大豆を生産している農家は、言う。 “通常の大豆が8ドルほど
の時、ゲノム編集した大豆は、10ドルほどで買い取ってもらえます。収入が全
然違います” 肉厚のステーキに塗っている、この油。
この農家が栽培している、ゲノム編集した大豆から作られたものです。
油は、体に良いとされるオレイン酸が多く、酸化しにくいため、通常より3倍
長持ちするとされています。
油のラベルを見ると、書かれていたのは、Non-GMO、遺伝子組み換えでは
ないこと。 そして、オレイン酸が多い(High Oleic)という商品のメリット。
ゲノム編集食品である事は、書かれていませんでした。 実はアメリカでは、
ゲノム編集食品である事の表示は、義務付けられていません。
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消費者は、この商品が、ゲノム編集食品であるかどうか、ラベルから知る事は
できないのです。 街の人に聞いてみると…。
Q: 気付かずにゲノム編集食品を食べていたとしたら、どう思いますか?
“そうだったとしても、僕は別に気にしないよ! 死ぬわけじゃあるまいし…”
“私たちには、どんなモノを口にしているのか?知る権利があります”
食用油を開発した企業は、消費者への情報発信のあり方を、どのように考え
ているのか? 社長に話しを聞く事ができました。
“消費者はNon-GMO(遺伝子組み換えでない)の商品を求めています。この
商品はNon-GMOであり体にも良いと表示する事には何の問題もありません。
政府も、それで良いという立場ですし、弊社は正しい手続きをとっています”
では、ゲノム編集食品かどうか、知る術はないのか? この消費者団体では
企業に頼らず独自のやり方でゲノム編集食品の表示をしようとしています。
現在、アメリカでは、遺伝子組み換え食品も、表示の義務はありません。
そこで、スーパーの商品を独自に調査し、遺伝子組み換え食品でない事が
確認できた場合に、独自の認証マークを付けて来ました。
Non-GMOプロジェクト広報は、言う。 “このマークが付いていれば、遺伝子
組み換え食品ではありません。消費者にとっての安全地帯です”
この表示を、ゲノム編集食品にも拡大しようとしています。 そのやり方は、
商品の流通経路をさかのぼり開発したバイオ企業の特許を調べるというもの。
調査には、時間とコストが掛かりますが、こうする事で、消費者の選ぶ権利を
守ろうとしているといいます。
“ゲノム編集食品は、確かにNon-GMO(遺伝子組み換えでない)かも知れま
せんが、そう表示するのは消費者を欺く行為です。ゲノム編集食品が本当に
良い技術と考えるなら、表示をして消費者に判断を委ねるべきです”
日本でも、近いうちに、ゲノム編集食品の販売が解禁されます。 こちらは、
日本で最初に、ゲノム編集食品を販売するとみられる企業です。
開発しているのは、血圧を下げるとされる成分GABAを多く含んだトマトです。
国が決めた販売ルールでは、アメリカと同じようにゲノム編集食品である事を
表示する義務はありません。 どう対応しようとしているのか?聞きました。
最高技術責任者で筑波大学の教授は、言う。 “必要な情報を提供するという
意味ではゲノム編集食品です。ゲノム編集トマトですみたいな表示というのは
ありかなと…情報を知りたいという皆さんがいるのであれば、それは情報と
して、ちゃんと提供して行くべきだろうと思います”
いよいよ始まる、ゲノム編集食品の販売。 私たちのもとには、どのように
届けられるのでしょうか?
アメリカの現状を取材したリポーターには、どんな事が見えて来ましたか?
まずゲノム編集食品の生産というのが、取材に入る前に想像していた以上に
大規模に行われている、進んでいるなという風に感じました。 このままだと、
今後、日本にも入って来るだろうなと感じたというのが、率直な感想です。
2点目には、アメリカでもゲノム編集食品が表示されないという事についての
懸念が一定程度、大きいなと感じました。 先ほどの話しでもあったように、
民間の消費者団体が、表示を独自で行うという仕組み。
国の制度に頼らないという点で、注目される動きだなとも思いました。
ゲノム編集食品が、これから日本で流通して行く時に、やはり、表示が曖昧
だと、それを不安に感じる消費者の方も、出て来るだろうなとも思います。
表示するかどうか?という事なのですが、企業によって対応が変わって来て
いるようですね。
企業は表示するメリット、それとデメリットについて、考えていると思います。
メリットというのは、ゲノム編集による付加価値を、アピールする事ができる。
一方、デメリットは、不安を感じている消費者が、離れてしまうという事です。
メリット、デメリットの2つを天秤にかけて、表示する企業、表示しない企業とに
分かれると思います。
また収量がアップするというような、消費者に付加価値を、なかなかアピール
しにくい食品に関しては、表示をためらう企業も出て来る可能性があります。
遺伝子組み換え食品というものが出て来た時に、安全性審査や食品表示の
ルール作りが遅れました。 これによって、消費者には不信感というものが
残っているという風に思います。
ゲノム編集食品の開発企業は、ゲノム編集食品が、遺伝子組み換え食品と
同じだと消費者に思われる事を懸念しています。 なので、今は消費者の
受け止めを慎重に見極めている段階だと思います。
教授、なぜ、日本でも表示義務がないという事にしたのでしょうか?
それは、ゲノム編集の場合は、他の生物由来の遺伝子が含まれるわけでは
ないので科学的にゲノム編集か従来の品種改良か区別する事ができません。
分析しても、分からないものなのですか? はい、どうしても分かりません。
なので、義務化しても、実効性が担保できない。
つまり違反したものの、証拠を握る事ができないので、摘発する事ができない
というのが、大きな理由になっています。
ただ、やはりこれは、表示義務はした方が良いという考えは、あるのですか?
はい、ゲノム編集というのは新しい技術なので、これを皆さんに理解して頂く
ためには、開発した方々が、自主的にゲノム編集であるという事を表示して、
メリットを説明していただくのが望ましいと考えています。
一方、日本消費者連盟は、消費者にとっては、どういう事が望ましい状況に
なると考えていますか?
最優先されるべきは、選ぶ権利を保障するという事だと思います。 つまり、
食べたくなければ、食べなくて済むような、そういったためには、表示は必ず
必要です。
国は表示は義務化しないという事にしてしまいましたが、義務化にしてもらわ
なければ、私たち消費者は食べたくなくても避ける事ができない状況なのが
問題だと思っています。
ただ、なかなか科学的に区別できない現状があるわけですよね?
それについては、例えば社会的な検証という方法があり、これは流通・生産
段階をさかのぼって履歴を見る事によって、それがゲノム編集食品かどうか
分かるのです。
こういった、いわゆる社会的な検証ができるかどうかという事を、国の方でも
きちんと時間をかけて議論しいてないという事が非常に問題だと思ってます。
最後に、国や企業に望みたい事は、例えば、どんな事でしょうか?
ゲノム編集が、今、最先端の技術として、とても急ピッチで進んでいますが、
ゲノム編集という技術が内包するリスクというのが、日本では、ほとんど議論
されていないという事が、とても問題だと思います。
やはり、ゲノム、遺伝子をいじるという事は、非常に危険な事なので、きちんと
社会的な議論を作って行くという事が非常に重要ではないかと思っています。
※ ゲノム編集食品の事を、もっと知りたいなら →
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今回のテーマは、ズバリ、昆虫食! ‘うん、おいしい!’
‘見た目は、ちょっと抵抗ありましたけど、食べられるものだなと思って…’
今、昆虫は世界中が注目する、スーパーフード! アメリカでは、昆虫料理の
パーティーが開かれたり、フランスでは、昆虫をトッピングしたお菓子が発売。
日本でも、ひそかなブームに!
世界が昆虫食に注目するキッカケとなったのは、2013年、国連食糧農業機関
が出した報告書です。 2050年には人口が90億を超え、深刻な食糧不足に
陥り、家畜生産による環境負荷も、大きくなると指摘。
その課題を解決する一手として、昆虫食の可能性を提示したのです。
でも、どうして昆虫なの? 実は、昆虫は栄養価が高く、しかも超エコな方法で
タンパク質を作り出せるのです!
昆虫の持つポテンシャルに、科学者たちも大注目! ゲノム編集による品種
改良や、魚のエサとして利用する研究が始まっています。
“昆虫の可能性は、無限大である。昆虫で地球を救って行く”
もう、ムシできない! 世界の未来を救う、昆虫食の魅力に迫ります!
ムシ… できませんか? アハハハッ。 ええ。 考えていきましょうよ。
ちょっと抵抗あるのですが…。 今回、用意しました。 はい、目の前に、多種
多様な。 こちら側は、もう、ちょっと、形がそのままで…。
これは、スズメバチとコオロギです。 あ~、盛り合わせですね…。 こちらの
お皿は、これも昆虫のものなのですか? こちらのクッキーは、コオロギの
粉末状のものを使っているそうです。
まぁ、ただ、抵抗感というのは、やっぱり、ありますよね? そうですね。
ありますが、世界を救うというところまで、言ってましたからね。
そうなのです。 皆さんもきっと、見え方が変わってきますよ。 そうですかね。
という事で、食べ物としての驚きの実力を見てみましょう!
30年以上、フタホシコオロギの研究を行って来た徳島大学。 そのノウハウを
生かし、6年前に食用コオロギの研究に乗り出しました。
今、世界に先駆けて挑戦しているのが…
“コオロギは、エビ・カニアレルギーと同じ、アレルゲンを持っているのです。
除去して行かなければ、全世界の人が食べられる状況にならない”
アレルゲンのないコオロギを作る、品種改良です。 そのために用いるのが、
ゲノム編集技術。 ゲノム編集とは、DNAの特定の場所を狙って切断し、
生物の元の性質を変化させる技術です。
この研究室では、編集を行う酵素をコオロギの受精卵、1つ1つに注入。
特定の遺伝子が働かなくなるような、ゲノム編集を行います。
コオロギでのゲノム編集技術を確立するため、まずは、比較的、操作しやすい
目の色を変える事に取り組みました。 目には、赤から黒になる色素があり、
黒にするための遺伝子を働かなくしたのです。
見事、成功! 赤目のコオロギが生まれました! しかしアレルゲンの除去は
こう容易ではありません。 原因となるのは、トロポミオシンというタンパク質。
そのアミノ酸配列の、どこを変化させればよいかは、既に突き止めていると
いいます。 ただ、トロポミオシン自体は、生存に関わる重要な物質。 本来の
機能を失わないよう正確に狙った部位だけを変化させる必要があるのです。
まず、目指すのは、低アレルゲン化。 誰もが食べられるコオロギを作るため
1つずつ、着実に研究を進めています。
この、全世界の人が食べられる状態にするというのに、ここまで情熱を燃やし
てる方が、いるとなると… 昆虫食は、リアルなのですね。
徳島大学は、他にも、栄養価を高めたり、生産効率を上げるような品種を
作ったり、色んな面で、品種改良を行っているみたいです。
Q: 昆虫食が実際に、世の中に、ゴー! みんなで、やろうってなるのって、
どれぐらいのイメージで、思ってるといいですか?
“そうですね。もう10年以内には、人々が口にしているのではないかと期待し
ています”
そんなタイムスケジュールで、どんどんメジャーになって行くのですね。
“そうですね。もう既に、さまざまな企業が参入していますし、ムーンショット・
プロジェクト(ムーンショット型研究開発制度→重要な社会課題に対し、挑戦的
な研究開発を推進する内閣府主導の大型研究プログラム)といった国家事業
が走っておりまして、その中の1つが、この昆虫食のプロジェクトです”
はぁ~、そうか… これだけ全部そろってて、優秀だとなると…。
食べてみますか? 食べ…させてもらえますか?
ちょっと、とても、いい機会を頂いたので、トライしてみます!
という事で、昆虫食を、ご用意しました。
まずは、クッキーの方を頂きます。 すごく美味しいです!
今、分かったけど、虫の姿が見えてなくて味付けが美味しければ、その中に
ある機能は最高なのだから、何も嫌な事はないです。
問題は… 虫の姿のままの… こっちですよ。
“これはローストだと思いますけど非常に濃厚な味に仕上げたコオロギです”
う~ん… 姿を見ないようにして食べると… うん、美味しい。 濃厚な、いい
香りが… え~?
“やはり虫は、フレッシュな状態で調理したものというのが、とても美味しいの
です” Q: コオロギは、どうやって食べるのですか?
“竜田揚げが非常に美味しくて。 これは、私の学生が開発したレシピです”
お~、虫にもフレッシュさが大事なのですね。 “とっても重要ですね”
“やはり見た目は、どうしてもハードルが、最初、あるかも知れません。食べて
みて美味しいとなると、だんだん変わって行くのかなと思いますので、既存の
家畜を食べずに虫を食べましょうではなくて、いろんな食材の1つに、虫という
カテゴリーが入る事で、より食が豊かになるのではないかと期待しています”
でも昆虫は、私たちのおなかを満たすだけではありません。 昆虫で、海の
資源を守ろうという研究も始まっているのです。
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天才ピアノ少女。 コンクールでは、いつも賞を総なめ。 でも、その才能は、
ゲノム編集でつくられたものだった…。
‘お母さんは、才能なくて諦めちゃったけど、あなたが夢を叶えて’
“うん…私は、そうやって作られた。私の夢は、ママの夢”
何で、こんな話をするのかというと今、実際にゲノム編集という技術が食品や
医療など、あらゆる分野にイノベーションを起こしていて、近い将来、人間の
ありようを一変させてしまうかも…? という、スゴイ話なのです!
いきなりですけど、ちょっと、これ見て。 マッチョなキン肉マンに、鯛の顔?
これは肉厚マダイ。 マッチョだね~。 実はこれ、2021年に、世界で初めて
販売された、動物性のゲノム編集食品。
マダイの遺伝子を操作する事で、食べられる部分を、通常の1.6倍に増やした
というものです。 他にも、成長速度が1.9倍のトラフグなんてものも。 これを
可能にしたのが、クリスパー・キャスナインといわれるゲノム編集技術。
何万年かけ、自然界で偶然起こる進化を、僅か数時間で、人の手で、狙い
通りに起こす事が出来てしまうという、ノーベル化学賞を受賞した、驚異的な
技術なのです。
今や医療分野でも研究が進んでいて、テキサス大学などのチームは、筋ジス
トロフィーの犬を治療する事に成功。
更にゲノム編集でマラリアを媒介する蚊を激減させるプロジェクトや、ネズミの
臓器をヒト化させて新薬の開発に役立てる研究、ジュラシック・パークみたいに
マンモスを復活させる計画も進行中で、その裾野は広がり続けている。
世界が注目する、この技術は、2028年には市場規模は2.5兆円に達すると
予測されているそうです。
一方で、アメリカのユーチューバーがゲノム編集による人体実験をライブ配信
したり、中国の研究者がデザイナーベビーを誕生させたりと、すごすぎるけど、
ちょっとヤバそうな、ゲノム編集の世界。
実際、安全なの?倫理的な問題は?知りたい事は、いっぱいありますよね?
でも、この技術を知れば、人体の神秘に気付けちゃったり、諦めていた病気に
希望を見い出せちゃったり、とにかく世界の見え方が変わってしまうという話。
え?それって今からでも見た目や能力を変えられるって事?まぁ、ゲノム編集
なら、できちゃうかも? なんですよ! 実は、このゲノム編集、ものすごーく
難しいから、これだけは知っておいてほしいという話を、させてもらいます。
生物は、無数の細胞からできていて、1つ1つの細胞の中にDNAが入っている
のです。 そこには遺伝情報が刻まれていて、その1つ1つが、僕らの容姿や
能力・性格などを決定しているのです。
その遺伝情報の総体をゲノムと呼び、ピンポイントで改変してしまうのが、
ゲノム編集。 人間の場合、30億もの遺伝情報があるというのだから、めちゃ
くちゃミクロな世界の話だよね!
この世界で革命を起こした1人が、フランス人の微生物学者。30代の時、無名
の微生物学者だった彼女は研究室を転々とする冴えない生活を送っていた。
そんなある日。 細菌の免疫システムを研究していた彼女は、細胞の中に、
あるものを発見する。 それはトレイサーRNA。 これが後の革新的な技術に
つながって行くのですが、これが、どれだけスゴイ事なのか!
細菌の免疫システムを、マフィアと警察の攻防という設定で、お伝えします。
ここは細菌シティ。常にウイルスという色んなマフィアたちから狙われている。
でもマフィアたちが来たら、警察も応戦。 血で血を洗う泥沼の戦いが続いて
いた。 警察側で、唯一、殺しのライセンスを持っていたのが、キャス。
この暴れん坊刑事が、マフィアをズタズタに切り裂き、体の一部を回収。
クリスパーと呼ばれる保管庫に、ファイリングしているのです。 このファイルの
分析官が、クリスパーRNA。
次にマフィアが侵入して来た時には、彼が保管庫のファイルから、マフィアが
何者か特定。 キャスを呼びつけ、現場に向かおうとするのです。 ところが、
気難しいキャスは、パトカーに乗ってくれない。
そこで登場するのが、トレイサーRNA。 彼は、キャスとクリスパーRNAを
パトカーに押し込み、3人で現場に急行。
そのマフィアを発見すると、キャスがズタズタにして、排除するというワケ。
これまではキャスが、どうやって標的まで向かうのか分かっていなかったが、
微生物学者がトレイサーRNAを発見した事で、この仕組みが解明されたのです。
この免疫システムに気付いた時、彼女は、1つの仮説を立てた。 この細菌の
習性を、人や動物にも応用できるのではないか?と。
つまり、ガイド役のクリスパーRNAの持つファイルに、切り取りたい遺伝子の
情報を人工的に書き込めば、あらゆる生物の遺伝子をカットして、見た目や
能力を変える事ができるかも知れないと、考えたワケ。
その後、彼女は、アメリカの構造生物学者と共同研究を開始すると、僅か、
1年半で、この仮説を証明。
更に、クリスパーRNAとトレイサーRNAを一体化させた、ガイドRNAを作成し、
より正確に、早くゲノム編集ができるシステムを開発した。
クリスパー・キャスナイン(CRISPR-Cas9)と名付けられた、この技術は、
これまで数年かけて行われていたゲノム編集を、僅か数週間で誰でもできる
汎用性の高い技術に激変させたのです。
2020年に、彼女たちは、見事、ノーベル化学賞を受賞。 この技術は、我々、
人類の進化を大きく変えるだろうと、高い評価を受けた。
実際、クリスパー・キャスナインは、医療や農業・エネルギーなど、あらゆる
分野で応用され始めている。 中でも私たちに身近なのが、ゲノム編集食品。
2021年9月。 日本のベンチャー企業が、世界で初めて、動物性ゲノム編集
食品の販売を開始。
どこがスゴイかというと、受精卵の段階で、ミオスタチンという筋肉細菌の
成長を抑える働きがあるDNAをカットするのです。 すると、通常の8割程度の
餌で、最大1.6倍も大きく育つ、マッチョなマダイになったのです。
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こんな風にゲノム編集を使えば、資源を節約できるから、環境に優しいし、
大きくて成長が早いから、食糧不足の解決にも役立つと期待されている。
それ以外に農作物では、トマトをゲノム編集し、血圧の上昇を抑えるGABAと
いう成分を、通常の5倍から6倍含ませ、販売している。
ゲノム編集は、健康促進にも役立つというワケ。 でも、安全性は、どうなの?
と思いますよね? それを理解するため、従来の品種改良・遺伝子組み換え・
ゲノム編集。 この3つの食品改良の方法を比較してみると…。
まずは、従来の品種改良。 これは、農家の人がやっているような手法で、
例えば、イチゴを交配させて、その年に採れた1番、美味しいものだけを選び、
人工的に繁殖させる、やり方。
続いて、遺伝子組み換え。 本来、その生物が持っていない遺伝子を外から
組み込んで、食品を改良するというもの。
そして、ゲノム編集食品。 これは、もともと、その生物が持っている遺伝子を
ピンポイントでカットし、変異を起こすというもの。
日本では厚生労働省に届け出を出せば、安全性検査は必要なく、表示義務
もないそうです。 実際、どうなのでしょう? 教授に聞いてみました。
“ゲノム編集は、遺伝子組み換えのように、外から遺伝子を組み込むのでは
なくて、たくさんの遺伝子の中から、狙った遺伝子だけに変異を起こす。
ある意味、従来の品種改良で作られて来たような作物よりも、より安全性が
高いといえるかも知れません。ただ、ごくまれに、狙った遺伝子以外を傷つけ
てしまう事がある。そういった意味からも、消費者の知る権利を守るうえで、
表示義務が必要だという意見もある”
慎重な対応を求める声もあるのですね。 世界に目を向けると、その対応は、
さまざま。 EUは、ゲノム編集食品を厳しく規制しているし、アメリカも農作物は
OKだけど、家畜など動物性の食品に関しては、FDAが厳しい審査が必要だと
している。 でもゲノム編集への期待は高く、意外な分野でも活用されている。
その1つが、感染症対策だ。 例えばアフリカでは、マラリアを撲滅させるプロ
ジェクトが進んでいる。 マラリアは世界で年間2億人以上が感染し、60万人
以上が死亡しているという、世界最強レベルの感染症。
最近、厄介な事に、マラリアを媒介する蚊が、殺虫剤の耐性を持ち始めて、
手に負えなくなって来たそう。 そこで使う技術というのが、遺伝子ドライブ。
どうやるのかというと、まず蚊の性発達に関係するダブルセックスと呼ばれる
遺伝子を改変し、生殖能力の低い蚊を作った。
生物は両親からDNAを半分ずつ受け継ぐから、通常、その変異が子孫に伝わ
る確率は、50%。 世代を経るごとに、変異は、どんどん薄まって行くよね。
でも遺伝子ドライブを使えば生殖能力の低い遺伝子が100%子孫に伝わって
行くというワケ。 そうやって、激減させてしまおうという事です。
地域社会などから理解されれば、将来的に実現する可能性があるそうです。
スゴすぎるでしょ? でも、まだ驚いちゃダメ! ゲノム編集なら、生物を復活
させる事も出来てしまう?
2021年9月。 ハーバード大学の教授が率いるベンチャー企業が、マンモスを
復活させて、北極のツンドラ地域に放つという計画を発表。
アジアゾウのDNA配列が99.6%、マンモスと一致している事から、残り0.4%を
書き換えて復活させるそう。 遅くとも5年から10年以内には、マンモスを見る
事ができるだろうというのだから、ビックリだよね!
一方で、遺伝子ドライブやマンモス復活計画には批判の声も。 人間のエゴで
生物を激減させていいのか?とか生態系に悪影響を及ぼすのではないか?
とか、いろんな意見がある。
そんな中、ゲノム編集技術は医療にも応用され始めている。 アメリカのペン
シルベニア大学の博士は、ある患者のがん細胞を50%縮小する事に成功。
更に研究が進めばゲノム編集で、がんを根治できるのではないか?と、期待
されています。 でも、ちょっと信じられない話もあります。 それは今、アメリカ
を中心に広まっている、DIYバイオ。
大腸菌などをゲノム編集する遺伝子工作キットを使って自宅で手軽に実験を
行う人が増えているというのです。
遺伝子工作キットを販売する会社のCEOが、自分の体にクリスパー・キャス
ナインを注射し、筋肉量を増やすという人体実験をユーチューブでライブ配信。
これをマネして、映像をアップする人が続出。
その状況にFDAが、安全性が確認できないとして、警告する事態にまで発展
したのです。 (FDA→アメリカ食品医薬品局)
もっと信じられない話もあって中国では、ある科学者が受精卵をゲノム編集。
エイズウイルスに感染しにくいように遺伝子を改変した、デザイナーベイビーを
誕生させた(双子で)。 ちょっと待って! それって、やっていいの?
そのデザイナーベイビーを発表した中国人科学者には、世界中から非難が
殺到。 不法な医療行為を理由に、懲役3年の実刑判決が下った。
今のところ、世界の共通認識は、たとえ治療目的であっても受精卵や精子の
ゲノム編集は許されないというもの。でも、何で治療目的でもいけないのか?
その理由について、また、教授に聞いてみた。
“万が一、オフターゲットのような変異が起きてしまうと、その変異はその後の
子孫にも伝わるという事になります。また、生まれてくる子供には意思がない
ので、治療を選べません。更に問題なのは、差別や格差など社会的な分断を
生む可能性がある。治療を受けられる人と受けられない人がいるというような
不平等な社会にならないように、今後、注意して行く必要があります”
こうして見てくると、僕らの未来にとってゲノム編集とは、ものすごい可能性を
秘めた技術だけど、使い方を間違えれば、人権問題や、社会の分断を招いて
しまう、危険な技術にもなりうるという事は、忘れてはいけないね!
これまで、夢の技術と考えられて来たゲノム編集。 見た目や能力を自在に
改変し、生死までをも操れるようになった時、人類は、その欲望を抑える事が
できるのだろうか? いや、待てよ… その人間の欲深い遺伝子を、ゲノム
編集でカットしたら… そんな世界って、ユートピア? ディストピア?