私たちの将来に、大きく関わってくるモノ、それは、年金ですよね?
GPIF保有銘柄 (2014年度末・国内株式)
1.トヨタ自動車、2.三菱UFJ、3.三井住友FG、4.ホンダ、5.ソフトバンク
6.NTT、7.みずほFG、8.KDDI、9.ファナック、10.キャノンなど、2037銘柄
GPIFとは、年金積立金管理運用独立行政法人のことです。
ここで、厚生・国民年金を運用しており、世界最大級の機関投資家ともいわれ
ています。
この年金の運用というと、私たちが納めた税金の全てを運用していると思わ
れがちですが、実際には違うのです。
年金給付金の中身は、まず、大きいのは①現役世代の保険料で、②税金も、
この中に入っています。
③は積立金で、この①~③の構成で成り立っているのです。
GPIFが運用しているのは、③の積立金の部分なのです。
この積立金というのは、過去に納められた保険料の中で、給付に回されずに
余った分を積み立てたお金なのです。
この積立金は、現在どれくらいあるのかというと、約145兆円ほどあるのです。
これは、年金、全体で見ると、およそ1割程度の規模です。
そこでGPIFは、この積立金を運用で増やして行って、将来的には現役世代の
負担を、なるべく減らせられるようにと考えているのです。
その為には、高い利益を求めた積極的な投資というのを始めているのです。
それは、株価対策ではないのか! とも、一時期は、いわれていました。
2014年10月から、リスクもリターンも高い株式への投資を、24%から50%へと
2倍以上に増やしたのです。
なぜ、リスクもリターンも高い株式へ、投資の比率を増やしたのか?
それは、日銀の超低金利政策が続いているので、国債を中心に持っていても
利回りが上がらないからです。
もう1つの理由は、現在の首相の政権により、機動的運用を目指すという
成長戦略によるものです。
その最初の1年間の運用結果が、今日、初めて発表されました。
狙い通り、成果を上げられたのか?と、思いきや、実際は…。
こちら、-5.3兆円(2015年度)という巨額の損失を出したのです。
今回、運用実績が前年度より下がったのは、株式の比率を増やした影響が
悪い方に出たということなのか?
GPIFの理事長は、言う。
“その部分の価格下落が1番大きく響き、トータルでマイナスになった”
“少なくとも、昨年で最も価格が安定して上昇したのは、唯一、国内債券だけ
だった”
国内の債券は、運用比率を減らしたものの、価格の上昇で利益が2兆円の
プラスとなった。
逆に、比率を増やした株式では、6.7兆円のマイナスを出してしまった。
これは2007年のサブプライム問題や、そのあおりを受けた2008年のリーマン
ショックという一連の株価急落、この時の損失につぐような巨額の規模です。
“この数字は大した事ないわけではなく、謙虚に受け止めて、この経験として
生かして行きたいと考えています”
一方で、年金の給付金に、影響はないと断言。
“年金給付金に、どう影響するのか? 制度面では、ほぼ国庫(税金)負担と
保険料でまかなえるので、ほとんど心配ない”
確かに、GPIFが年金の運用を始めた2001年度から見れば、収益は15年間の
累積で45兆円のプラスになっている。
しかし、運用環境の先行きが不透明な中、国民の負担が増える事は、本当に
ないのだろうか?
この会見を聞いていても、やっぱり気になるのは、運用が上手く行かないと、
将来、もらえる年金額は減るのか?ということです。
答えを言うと、すぐに減ることはない。
なぜなら運用しているのは、あくまでも給付金に回らなかった余裕の資金、
積立金で運用しているので、すぐには影響しないということです。
あくまでも考え方としては、国民の将来の年金の負担が増えるのを、少しでも
抑えるために、運用しているのだという。
じつは2015年度現在では、年金積立金の運用資総額は、約135兆円あると
いわれています。
これは、国家予算をはるかに上回る規模なのです。
ですから、これからすると約5兆円の損失は、4%足らずという事になるので、
割合からしても、すぐに給付金が減るとは考えにくいと、政府は言ってます。
そうは言っても、運用が上手く行かないと、将来の負担増を抑える事は、
なかなか難しくなってしまう。
そうなると、何が起きるのか? 例えば…。
若者が減り、高齢者が増えれば、当然、保険料が足りなくなり、積立金が
どんどん減ってしまう。
年金の保険料が引き上げられたり税金による負担も増える事が考えられる。
さらには、もらえる年金額が、どこまで減らされるかという事になってしまう。
これは何かというと、年金改革の行方によるということです。
その為、この1割の運用というものがとても大切ではあるが、そもそも本体の
年金の改革自体がどうなるか?
じつは、こちらの方が、かなり注視しなければならないタイミングだといえるの
です。
約5兆円もの損益は、確かに巨額ですが、それ以外の所にも目を向けなけれ
ばいけないということです。
なぜなら、年金も、年金積立金も、全て国民のものなのです。
しかし国民は、資産内容が変更されたり、リスクが高まったりしたという事を、
ほとんど知らないのです。
今後、年金制度は、一体、どうなるのでしょうか?
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