FC2 トラックバックテーマ:「お役立ちブログといえば?」世界に繁栄をもたらす富。 そんな富を生み出す科学がある。 金融工学。
数学や物理の複雑な数式を使って、巨額のマネーを操る科学だ。
金融工学により、世界の富は、300兆ドルを超えた。
その先駆けとなったのは、1960年代の数学者エドワード・ソープ。
彼が、自らの理論を試す舞台に選んだのは、カジノだった。
決して負けないギャンブル必勝法は、センセーションを巻き起こし、その手法を
応用した金融市場で巨額の利益を上げた。
それ以来、金融界は、数学者や物理学者が、幅を利かせる世界となった。
LTCMの破綻により、金融工学の危うさが、白日のもとに、さらされた。
だが、科学者たちが、懲りる事はなかった。
トゥルースを探し求める競争は、一層、激しさを増した。
ソープを取材したウォールストリート・ジャーナルのジャーナリストは、言う。
“多くの科学者たちは、ショールズたちのLTCMは、頭が悪かったのだ”
“自分たちが、彼らの二の舞になる事はないと、考えました”
“金融機関も科学者たちを大量に雇い、大きな利益を上げようと躍起になって
いました。 市場は、まるで、カジノのようになってしまったのです”
さまざまな金融商品を作り上げる科学者たち。
株式だけでなく為替・原油価格・住宅ローン・天候までもが商品として投資の
対象になった。
トゥルースの存在を信じて開発された数式が、表に出る事は決してなかった。
真似をされると、利益を上げられなくなるからだ。
ソープを取材したウォールストリート・ジャーナルのジャーナリストは、言う。
“ウォール街は、秘密だらけです”
“特に、科学者たちが作り上げた数式は、その最たるものでした”
“インタビューしても、彼らは、トゥルースなんて考えてもいないと否定します”
“ですが、しつこく取材すると、彼らがトゥルースを追い求めている事が分かる
のです”
市場は、どんどん膨れ上がり、その規模は、200兆ドルを超えた。
そして、2008年、リーマ・ンショック。
大手証券会社のリーマン・ブラザーズをはじめ、金融機関が、次々と破綻。
その影響は、世界中に広がり、一般市民をも直撃した。
アメリカでは、800万人が住む家を奪われ、失業者は1000万人を超えた。
あなた方人類を混乱に陥れた、リーマン・ショック。
その引き金となった、証券の設計に使われた数式は、発表される事なく、
それぞれの金融機関のトップシークレットでした。
本来、科学とは、結果を公表し、検証を受けるものです。
その過程で、誤りが見つかり、修正され、発展して行きます。
真実という名の数式 トゥルース 。
複雑な数式を操る金融工学によって富は爆発的に増大し、人類は間違いなく
豊かになりました。
しかし、今やトゥルースは、人間の手を離れようとしています。
カナダにある、投資運用ベンチャー。
参加しているのは、AI、人工知能を専門とする科学者たち。
その人工知能が搭載されているコンピューター。 その名も、クリスタル。
クリスタルは、過去20年間の膨大な市場データを基に、毎日の取引を分析し、
そのパターンを学習。 有利な取引ができると判断すると、自動で売買を行う。
“クリスタルは、今日は、ツイてないようですね…”
“でも、今日の失敗が、明日のための素晴らしいデータになるでしょう”
そして今や、金融取引は、圧倒的なスピードで行われる。
人が、まばたきをする、ほんの1秒の間に、コンピューターは、1万回以上の
売買を行う。
HFT (High Frequency Trading) → 高頻度取引と呼ばれるものだ。
この、人間が対応不可能な瞬時の取引は、思わぬ事態を招く事がある。
2010年5月6日、午後2時47分。 これは、ある企業の株価の推移。
26ドルだった株価は、この後、信じられない値動きを見せる。
僅か4秒の間に一気に下落。 1セントにまで値を下げた。 同じ日、同じ時刻。
アメリカの主要企業の株価のほとんどが、一気に1000ドル以上も下落した。
そして今度は、瞬く間に株価が上昇! 20分後には、ほぼ元の価格に戻った。
原因は、数式を組み込んだコンピューターが暴走したためだと見られている。
ソープを取材したウォールストリート・ジャーナルのジャーナリストは、言う。
“何が起きているのか? 誰も分かりませんでした”
“何が金融危機のキッカケになるのか? もはや原因は特定できません”
“数秒の内に起きた何かが、とんでもない事をしでかす可能性があるのです”
真実と言う名の数式 ザ・トゥルース 。
今や、コンピューターの中で生まれ、金融市場を動かしている。