FC2 トラックバックテーマ:「おうち時間が増えてから変わったこと」‘3年以上前に番組に協力して頂いた時、メインテーマトピックは、資本主義の
未来でした。 テーマの範囲は広くグローバルでした’
‘もちろん、今回も引き続き世界経済に焦点を当てて行きますが、同時に日本
経済にも注目したいと思います’
‘アダム・スミスは間違っていた、というお言葉がありましたよね?’
アダム・スミスは間違っていた。自己利益の追求、あるいは強欲が見えざる手
に導かれ社会全体の幸福が実現すると彼は言ったが…文字通り見えざる手
など存在しないのだ。
‘彼は、現代資本主義の発展の光と影を想像できなかった、と少なくとも私に
とって、あの言葉は、とても印象的でした’
‘あの頃から3年以上が経ちましたが、資本主義の現状をどう見ていらっしゃる
のでしょう? あなたの見解や実際の意見に、変化はありましたか?’
さまざまな点において、状況は悪化したと思います。 考えていたよりね。
政治的にですが、政治は経済を反映したものだと思っています。
アメリカの大統領や、ブラジルの首相には疑問を感じますし、トルコにも疑問が
あります。 それに中国やロシアは、明らかに民主主義ではありません。
ですから、世界の大部分が、私たちが考える民主主義の国ではないのです。
控え目に言っても、民主主義が脅威にさらされています。
混乱している世界の中で、日本のような国は、平和な一休みできる場所に
見えます。
思うに、少なくとも今、起きている事の1つは、市場経済の失敗だと理解して
います。
40年前に、レーガンとサッチャーの新自由主義は、グローバリゼーションや
ファイナンシャリゼーション、技術の進歩が全ての人々の生活水準を上げると
約束しました。
不平等は広がるかも知れないが、強力な成長により、誰もが恩恵に浴すると
いう事でした。
‘なるほど、それはいわゆる、トリクルダウン理論と呼ばれるものですね’
そうです、トリクルダウン理論です。 しかし、うまくは行きませんでした。
実際に起きたのは、成長の鈍化です。
恩恵に浴したのは、とてつもない大金持ちだけでした。
それに、例えば今日のアメリカですが、インフレを調整して比べれば最下層の
賃金は60年前と同じです。
平均収入は、つまりフルタイムで働く男性の平均的な収入は彼らはラッキーな
方なのですが、42年前と同じなのです。
アメリカの平均寿命は、新しい大統領になってから、短くなっています。
毎年、状況は悪化するばかりです。 ‘驚きですね’
明らかに私たちのシステムの何かが、うまく行っていないのです。
多くの人々が、あまりいい生活を送れていない現状が政治的な結果を招いた
としても、当然だと思います。
ですから、持論ですが、我々は資本主義を刷新しなければならないのです。
私は進歩的資本主義に関する本を書きました。 新しい種類の資本主義です。
‘あなたは新著のタイトルに、進歩的な資本主義という概念を入れましたよね’
‘進歩的という言葉をタイトルに入れた、意味や意図を簡単に教えてください’
正式なタイトルは、 民衆・権力・利潤 (PEOPLE,POWER AND PROFITS) 。
不満の時代に進歩的な資本主義を です。
私が主張したいのは、資本主義は民衆のためにあるという事です。
資本主義は、民主主義制度の一部であるはずなのです。
つまり、権力を分かち合うという事です。
利潤は、単に目的を達成するための手段で、目的ではありません。
ですが、アメリカ式の資本主義は、そこが全く異なっています。
ほとんどの人々のためにならず、非常に少数の人間の手に力が集中したの
です。 経済的な力だけでなく、政治的な力もです。
経済的不平等が広がって、それが政治的不平等をも、もたらしました。
利潤がアメリカ国民のために、ならなかったのです。
そして今、実際に民主主義の土台が崩れつつあるのです。
‘中所得者層、あるいは低所得者層の賃金は、長いこと増加していないと
おっしゃいましたよね’
‘その主な原因は、政治的だと思いますか?’
‘それとも、経済システムだと思いますか?’
‘つまり、例えばテクノロジーも影響すると…’
2つが作用し合っていると思います。
政治システムとしては、最低賃金を上げていない事。
そして、テクノロジーや我々が、グローバリゼーションを進めて来たやり方を
見ると、アメリカの労働者が中国やバングラディシュ等の低賃金の労働者との
競争を強いられる事になりました。
それによって、賃金が下がってしまったのです。
しかも、我々は、彼らに何の手も差し伸べなかった。
差し伸べる事も出来たはずです。
私が政府で働いていた時は、グローバリゼーションによって職を失った方々を
支援したかった。 ですが、共和党が反対したのです。
なぜなら彼らは、企業の利益とつながっているからです。
企業としては、賃金が下がった方がいいのです。
外国で従業員を雇う事で、賃金を下げられましたが、アメリカ人の従業員を
雇っても、賃金が下げられたのです。
なぜならアメリカの労働者は、職のために競争せざるをえず、より良い職を
得るための支援を得られなかったからです。