FC2 トラックバックテーマ:「おうち時間が増えてから変わったこと」‘ある意味、日本も同じ類いの問題を抱えていると思います’
‘なぜなら日本の経済は、基本的に製造業が中心で、そういう産業構造です’
‘特に、日本が生産性を上げるにあたり、何か助言や政策的な提案はありま
すか? 我々も、似たような問題を抱えていると思うのです’
重要な点は、近代の経済は、サービス業が主になるという事です。
ただ1つ… 日本は他の国々よりも、製造業が大きな範囲を占めるかも知れ
ませんね。
日本には最先端技術があり、とんでもなく得意な分野があるからです。
‘そうだといいのですが…’ もちろんあります。
ですが例えばアメリカでは、製造業の雇用者数は、全体の8~9%のみです。
我々の経済のベースは、製造業ではありません。
ほとんどの雇用は、サービス業にあります。
ですから日本がしなければならないのは、製造業の高い生産力につながった
論理を、サービス業でも用いる事です。
そして色々な点で、製造業とサービス業の見識とテクノロジーを結び付けるの
です。 1つ例を挙げましょう。日本が抱える大きな課題の1つは高齢化です。
大勢の高齢者の手助けを、せねばなりません。
健康産業は重要な分野ですし、現代の健康産業の1つは、診断ツールです。
そうしたツールを開発する技術が、日本にはあります。
それが国を助ける事になりますし、1度、そうしたツールを開発したら、輸出も
できるのです。 なぜなら、どの国にも高齢化はやって来る。
日本は、この競争の先を行っているのです。
日本は、我々よりも先に高齢化したのです。
‘それが我々の強みというわけですね’ それが日本の強みです。
ですから、この問題に関して、技術力を活用して、高齢化に対処するツールを
開発すれば、それが輸出品になります。
‘より具体的な政策課題に関しても、伺いたいと思います’
‘例えば、この10月から、日本では消費税が8%から10%に上がります’
(収録日は2019年8月です)
日本にとっても世界経済にとっても、非常に苦しい時期の増税だと思います。
なぜなら世界経済は、今後、停滞するからです。
アメリカもヨーロッパも問題を抱えていて、特に、中国の減速は顕著です。
大統領の保護主義政策は、全ての他国との戦争で、イランとも争いになって
いますし、これが世界的な不確実性を生み出しています。
どこに投資すべきなのか誰にも分からず投資すべきか否かも分かりません。
その影響で、世界経済が押し下げられているのです。
そして、この状況に対処できるツールを、我々は持ち合わせていません。
多くのアメリカ人が、 アメリカの失業率は歴史的な低水準になっていると、
言います。 私としては、アメリカ経済に不安を感じています。 理由は単純。
今、現在、アメリカの経済成長率は2%強で、人によっては、実際2%以下に
なるかも知れないと考えています。
2017年12月に大型の税制改革が、なされたにもかかわらずです。
1.5~2.5兆ドルの減税に、なったはずなのにです。
大金ですよ! ちなみに、1.5~2.5兆円より多い。
2018年1月には政府支出を3000億ドル増加させ、この夏にも3000億ドル以上
増加させました。
アメリカは今年、初めて1年間の財政赤字が1兆ドルになりました。
そして、財政赤字のGDP比率は4.5%です。
にもかかわらず、利子率が非常に低いという事実にもかかわらず、経済成長
率は、2%ちょっとだけなのです。 健全とは言えませんよね。
景気循環の中で、今の時点で、大幅な黒字が出ていなければならないの
です。 経済が回り始めていなければなりません。
‘ちょっと、消費税の問題に戻りましょう’
‘問題の1つは日本だけでなく、多くの先進国に共通する問題は、財政赤字の
持続可能性です’
‘最近、MMT、つまり、現代貨幣理論が、世界的に話題になっています’
‘その理由の1つとしては、その主なメッセージの1つが、インフレが起きるまで
財政赤字は気にしなくていい、という事だからだと思います’
‘彼らの考え方については、どう思われますか?’
現代貨幣理論が話題になった理由は、大不況を受けて連邦準備銀行が、
マネタリーベースを8000億ドルから4兆ドルに増やした事にあります。
EBC(欧州中央銀行)も日本銀行も同じ事をして、インフレも起きませんでした。
つまり、お金の供給量を増やしても、心配はないという事です。
ですが、インフレが起きなかった理由は、何の効果もなかったからです。
モノの需要も増えませんでした。 ほぼ完全に効果無しでした。
ゼロとは言いませんが、非常に限定的な効果しかありませんでした。
ですから、こういう事です。
何の結果も出なければ、我々が恩恵に浴する事もないし、インフレもない。
そんなもの、気にする必要もないでしょう。
もし功を奏すれば、ある程度以上のインフレを誘発するはずです。
アメリカにも日本に、いくらかの余剰労働力があり、多くの偽装失業者が存在
します。 ですが偽装失業者は、とてつもなく多くはありません。
言い換えれば、労働人口の数パーセントが、諦めてしまっているのです。
その多くが現代の経済に必要とされるスキルを持ち合わせていないのです。
ですから、そのような人たちを訓練し直せば… 一朝一夕にできる事はでは
ありませんが、労働市場を変えて、よく多くの女性が労働市場に参入できる
ようになれば… 日本ほどではありませんが、アメリカでは労働人口の中の
女性の比率が非常に低いのです。
労働市場を変えれば、より多くの高齢者も、市場に参入できます。
市場は成長できるのです。 ですが、こういった事には時間がかかります。
短期的には、容量制約が設けられるでしょう。
私は、許容できるギリギリまで経済を刺激するのは、いい事だと思います。
特にアメリカでは重要です。
そうした限界に直面した時にのみ、包摂的成長がもたらされるからです。
そしてアフリカ系アメリカ人や若者も、労働市場に迎える事ができるようになり
ます。 そうなった時にのみ、賃金が上がり始めるのです。
ですからアメリカには、もっとアグレッシブな刺激策が必要ですが、現代貨幣
理論は、ほんのその一部となるだけでしょう。
我々は、もっと財政拡大をしても良い、というメッセージは分かります。
例えば、今のように連邦準備銀行が銀行にお金を貸すよりも、政府にお金を
貸して、インフラ整備をする方が効果的でしょう。