FC2 トラックバックテーマ:「おうち時間が増えてから変わったこと」‘今、搾取と、おっしゃいましたが、新たなタイプの労働者の搾取が始まりつつ
あると懸念している人もいます’
‘ウーバーなど、時にギグエコノミーと呼ばれる、新たなタイプのシェアリング
エコノミー市場で働く労働者に対してです’
‘そういった労働者からの搾取の可能性については、どう思われますか?’
非常に深刻な問題だと思います。
それが、労働者の権利や労働組合化に関する、より幅広い立法を支援しな
ければならないと思う理由の1つです。
アメリカにも、労働組合が散らばった労働者たちと、つながろうとする動きが
あります。
かつて労働組合は、製鋼所などに集中していましたが、今では労働組合が
別々の建物で働いている人々や、タクシードライバーなど、まとめようとして
います。
ニューヨークでは、タクシードライバーの最低賃金に関する法案が通りました。
我々が調査をした結果、平均的なドライバーの賃金は自給6ドルだという事が
分かったからです。 ‘たった6ドルですか?’ ええ。
待ち時間を含めたら、最低賃金以下です。
‘それに、通常、そういった労働者には、年金や社会保障もない場合が多い
ですよね’ その通りです。
ですから、そういった労働者も含めるよう、社会保障の範囲を広げなくては
なりません。
‘確か、エコノミスト誌に載っていた、あなたのインタビュー記事を読んだの
ですが、あなたは企業システムにおける一種の社会契約について、深く話さ
れていました。 あれは、どういう事なのでしょう?’
あなたの質問は、我々は企業の自発的な行動に頼れるかという事ですよね。
ESM(欧州安定メカニズム)のように、社会的責任だけに頼っていいのかという
事です。 私の答えは、それも重要ですが、そこには頼れないです。
そう思う理由は、少なくともアメリカ社会では、常にいくつかの企業が規範を
破るからです。 彼らは単に、短期的な利益を追い求めているだけです。
つまり、誰にでも条件が同じではないのです。
私はかつて、ある清涼飲料水会社の顧問で、そのCEOである女性が、アメリカ
で大問題と言える…子供の糖尿病に清涼飲料水が与える影響について、
とても心配していました。
ですが現実的には、彼女が清涼飲料水を売らなくても、競合会社が販売する
のです。
ですから彼女が、売りたくないと思っても、競争により売らざるを得ない。
しかし、子供に清涼飲料水を売っても良いか否かの制限や、そのサイズや、
砂糖の含有量について規制があれば、条件が同じになります。
ちゃんとしたい人が、そう出来るようになるのです。
‘なるほど、そういう意味では、一種の明確なルールなわけですね’
‘法改正や何らかの経済政策が、そういった社会契約の一助になる’
その通りです。
‘もし、相互信頼のみに基づくものだったら、強固なものにはならない’
なるといいと思いますし、社会によっては、それでいい場合もあるでしょう。
ですが、私が知っているアメリカ社会ではダメなのです。
従来の経済は、モノの生産に主眼が置かれていました。
経済の定番の言葉は、ウィジェット(小型装置)の生産でした。
ですが、現代の経済は違います。
現代の経済では、それは小さな一部で、一部であって小さな部分なのです。
ですから我々は、経済の言葉の意味と、その機能について再概念化をしなけ
ればなりません。
なぜなら、イノベーション経済やデジタル経済は、かつての製造業の経済や
古い農業の経済と同じようには機能しないのです。
これは非常に大きな変化です。
‘そうですね。 ですが、あなたがおっしゃったポイントは、いわゆる供給側の
ポイントです。 需要側、消費者側の変化はあるでしょうか?’
人はデータを、新たな天然資源だと言います。
そのデータがあれば価格差別もできるし、的を絞った広告も出せて、消費者
から搾り取る事ができるからです。
‘簡単にカスタマイズ出来るようになりますね’
それが従来の市場経済のベースを、崩壊させる事になるのです。
従来、市場経済が機能して来た理由は、誰に対しても価格が同じだったから
です。
今では、飛行機に乗れば、あなたの隣に座っている男性は、あなたが払った
半分の料金しか払っていないかも知れません。 そんな事態が増えています。
アメリカ企業によっては、商品を販売する時に、あなたの家の近くに、店舗が
いくつあるのかを知っています。
もしあなたの家の近くに店舗がなければ、価格を上げるのです。
もしあなたが、店が余りない貧しい地域に住んでいたら、他人より多く支払わ
なければならないのです。 これも不平等を創り出す状況です。
また搾取され、市場支配力が増す状況にもなります。
しかも、プライバシー問題に関する戦略については、まだ何の取り組みも始
まっていません。 これは根本的に新しいテクノロジーが引き起こす問題です。