FC2 トラックバックテーマ:「一番長く使っている物は何年物?」初めて日本に来たのが、いつだったかハッキリ思い出せませんが、1975年頃
だったように思います。 私が、まだ若い教授だった頃です。
東京大学で講義をすべく、招かれた記憶があります。
その後、フランス大統領の特別顧問になって頻繁に訪れるようになりました。
年に3~4回は、公務で外交のために来ていました。
残念ながら、私が見たのは社会の上層だけで、労働者階級の方々や専業
主婦の方々にお会いする機会はなく、本でしか知らない部分もありますが、
ですが日本社会は大きく変化したと感じました。
あまり良い変化とは言えません。
なぜなら40年前、日本は世界一だと言われていました。
日本が超大国としてアメリカに代わるのではないかとさえ囁かれていました。
ですが、そんな話しは、もうなくなりました。
また、日本はテクノロジーの面において、世界のリーダーだという感覚もあり
ました。
これに関しては多くの分野で、日本は今でも1番ですが、全ての分野でとは
言えません。
また、今日見られる少子高齢化も、40年前は、まだ始まっていませんでした。
当時と比べて、今は、色々変わりました。
日本女性はより社会を発展させるべく、社会活動に参加する様になりましたし
当時は、それほどいなかった外国人労働者や外国人観光客も、今日の日本
社会には、より多く見られるようになりました。
40年前と比べて、日本社会は、よりオープンになりました。
これは、将来のために良い兆候だと思います。
より大きな枠組みで見てみましょう。
私たちは、国家の将来性の指標を測定しています。
どの国が、より将来、世代を守れるかという事です。
47のさまざまなパラメーターを測定して、OECD加盟国の潜在的な将来性を
見ています。
トップはスカンジナビア諸国。 フランスは20位くらいで余り芳しくありません。
日本は残念ながら、常に最下位か、ブービー賞か、最後から4位の中のどこか
です。 5年前から、その位置です。 つまり日本は課題が多いという事です。
人口統計に関しても、債務削減に関しても、女性の社会的地位に関しても、
日本は改善しなければならない点が、いくつもあります。
他国が今試している事を日本が先駆けて1番に実験したという事は言えます。
巨額債務と低金利、これは長期的には破滅をもたらします。
日本が、その事に気付かない理由は、人口が減少し続けているため、1人
当たりのGDPが増加しているからです。
ゼロ成長あるいはマイナス成長だとしても、1人当たりのGDPは増加している
のです。 それが日本の現実を見えなくしています。
何年も前から言っている事ですが、非常に積極的な家族政策が必要です。
女性が、より仕事をしやすくなるようにする事。
女性が、より簡単に育児手当を受けられるようにする事。
大規模かつ積極的な住宅計画。
乳幼児を預けられる、保育園や幼稚園の増設計画。
簡単な事ではありませんし、大金がかかります。
良い結果が出るまでに、10年はかかるでしょう。
10年間は大金を費やした割に結果が見えないので、相当な覚悟も必要です。
フランスは1945年に、これらの政策を実施して、大成功を収めました。
ご存知かも知れませんが、フランスは、ヨーロッパでは比較的国民が若い国
です。 フランスの合計特殊出生率は、2.2以上です。
外国人(移民)のおかげだという人もいますが、そうではありません。
フランスの移民の合計特殊出生率は、フランス人のそれより高くないのです。
肝心なのは、包括的な政策です。
フランスのGDPの5~7%は、これらの政策に費やしていて、それが成功した
のです。 それで良かったのです。
これらの政策に税金を費やせば、住宅が充実して、それが成長へとつながり
教師陣が充実すれば、経済も発展するからです。
貧しい人が不利に、裕福な人が有利になるという点で、消費税は常に不公平
です。 ですが、ごまかしづらいので、ある意味、とてもいい税制とも言えます。
しかも10%は、高い税率とは言えません。
ヨーロッパの消費税は、もっと高いのです。
人々は、財政政策にフォーカスしすぎだと思います。
社会的流動性にフォーカスする方が、ずっと重要です。
つまり消費税を、どの程度払うかなどに注目するよりも、子供たちの、より良い
未来のために、何をすべきかに注目すべきなのです。
他の国同様に日本でも、特権階級の家族に生まれた息子は、労働者階級の
息子よりも、人生で成功できるチャンスが多くあります。
財政政策よりも、この点に注目すべきです。 社会的流動性が重要です。
地方出身者や労働者、中小企業の起業家、皆が最高の大学で学び、良い
キャリアを築ける可能性がある事が重要なのです。 どの国でもそうです。
私たちは、皆、社会的流動性よりも、財政問題にフォーカスしすぎです。