FC2 トラックバックテーマ:「買ったまま眠っているものは?」働き方改革で、住宅ローンが返せない。
この日、横浜にある不動産会社に相談に訪れたのは、映像制作会社で
正社員として働く48歳の男性です。
“銀行から督促状が届きまして、手持ちのお金もないので…”
残業代が減少した事で、住宅ローンを5カ月滞納。
金融機関から、ローンの残額2600万円を一括で支払うよう、督促が来ていま
した。
不動産会社の社長は、言う。
‘状況としては、住宅ローンの残代金を、全額、一括で払いなさいと’
‘これが一括で返せないと、競売の申し立てをしますという状況まで来てます’
映像制作会社で正社員として働く48歳の男性は、言う。
“噂では、督促状… そういうのが来るって聞いた事がありましたが、実際に
自分が、その身になってみると焦るものですね…”
男性は、20年前、都心に5000万円で一戸建てを購入しました。
母と姉の3人暮らし。
月にすると21万円のローンを3人で分担し、男性の負担は6万円でした。
当時、男性の手取りは月25万円前後。 その内、残業代は6万円程度でした。
ここからローンを返済しても、貯蓄などにお金を回す事ができました。
しかし、1年前。
働き方改革で男性の会社では、残業時間を規制するようになったのです。
それまで、月40時間だった残業は、多くて月1時間ほどに。
収入は19万円にまで落ち込みました。 更に、母親が認知症と診断されます。
介護や医療の費用を姉が負担する事になり、住宅ローンは全て男性の負担
になってしまったのです。
“基本給では生活が厳しいから、残業でまかなっていた”
“そもそも、残業しなくても生活できる給金くれと思いますよ…”
男性の相談を受け、不動産会社は、金融機関と協議して、家の差し押さえを
猶予してもらいました。 そして、少しでも高く買ってくれる買い主を探しました。
4カ月後、2800万円での売却が、ようやく決定。
ローンの残額を、全て返済する事はできました。
しかし、今月中に、自宅から退去しなければなりません。
母と姉は、すでに引っ越し、男性は1人、家の片付けに追われています。
“最近よく思うのが、1人の食事って寂しいなって…”
“会話がないとか、最近、思う…”
“あとは孤独死… 何年後かは分からないけれど…”
民間のシンクタンクの試算では、残業時間の規制によって給料は日本全体で
年間5.6兆円減少。 1人当たり、月7万円程度、減るとされています。
(試算/みずほ総合研究所/月60時間超の残業を一律に削減したと仮定)
高収入でも破綻? 低金利時代の落とし穴とは?
残業代削減によって、高収入のサラリーマンも、住宅ローン破綻に陥って
います。 金融機関で働く、40代後半の男性です。
以前は、年収が1400万円ありました。 しかし…。
“70~80時間の残業をベースに描いていた住宅ローンの資金収支が、やはり
行き詰まってしまった… 月々で収入が40~50万円ぐらい違う…”
高校生の息子と、中学生になる娘の4人暮らしの男性。
都心に近いマンションを購入したのは、4年前でした。
会社の家賃補助が40代で打ち切られるため、賃貸に住み続けるよりは、持ち
家にした方が資産にもなると考えたからです。 新築の4LDKで、8400万円。
金融機関から、0.8%の低金利でローンを組む事を勧められました。
当時の手取りは、月70万円。 (収入70万円から住宅ローン22万円を払う)
ローンを返済しても、十分余裕のある生活が、できるはずでした。
“それくらいの収入ですという話しをすると、じゃあ、これくらいの物件が買え
ますねというころで、そこから選んで行く事をやってしまった”
“本当に、わずか数年の話しですから、それでこんなに変わってしまって…”
さらに驚いたのは、金融機関から請求される、遅延損害金の額でした。
利率は、年14%。 1カ月滞納するごとに80万円ずつ増えて行きました。
しかも、マンションの売却は、思うように行きませんでした。
都心に近く、高く売れると考えていた男性のマンション。
周囲には、新たなマンションが次々と作られていました。
不動産会社の社長は、言う。
“新築が建って、その後、築が新しい物件でも、売りに出すと、やはり思った
金額では売れない。 ある程度、価格を下げないと”
“下げないと、新築を買う人の方が、どうしても多いのです”
結局、4年前に購入した時よりも、大幅に安い7000万円で売却。
残りの返済額1000万円は、親戚から借金する事になりました。
40代後半の男性は、言う。
“借りられる額が、返せる額とは、必ずしも限らないなというのは、肝に銘じた
方がいいのかなと思いますね…”
“どういう収入の変動があっても、余裕だと踏ん切りがつく額しか借りないのが
安全な策だったのではないのかなと思いますね…”