第2116回「買ったまま眠っているものは?」解き明かす鍵は、ネット通販の仕組みにあります。
私たちがふだん目にする通販サイトは、アマゾンや楽天、ヤフーなど大手通販
サイト運営者が管理しています。
しかし実際に商品を販売するのは、出品者と呼ばれる大小さまざまな事業者。
どんな商品を販売するかは、出品者次第なのです。
今回、安全基準を満たしていなかった互換バッテリーでは、4製品中3製品が
中国の出品者によって販売されていました。
安全性を、どう考えているのか? 電話してみます。
中国の出品者は、言う。
“(このバッテリーを)売り始めたのは2018年からで、これまでに750万個売れ
ました”
Q: バッテリーの構造は、本当に安全なのですか?
“具体的な事は、よく分かりません…”
“技術者が、そう設計したなら、それなりの理由があるはず…”
後日、技術担当者から、メールで返答がありましたが、安全性は純正品と
変わらないと、不備を認めませんでした。
発火の可能性が指摘されたバッテリー。 残る1つの出品は九州からでした。
サイトに表示されていた住所を訪ねてみます。
Q: 互換バッテリーの取材をしているのですが…。
出て来たのは従業員。 外出中という責任者に電話してみます。
Q: 出火とか、ちょっと熱くなったとか、そういうお話しはないですか?
“出火はないですね…”
“(発熱して)熱くなり過ぎたから、ちょっと怖いから返品というのはありますね”
“質のいいものをできるだけ提供するようにして来たつもりですけど、ベースは
もう中国企業が作ってたものに、こちらからオファーをかけてやっているので、
ベース自体は、ちょっと、あまり詳しくは検証できていません…”
中国の製造業者の 安全な製品だ という言葉を信じて、販売していたという
出品者。 今回の取材で、危険性に気付き、販売を取りやめました。
玉石混交のネット通販商品、どう向き合う?
大手通販サイトで買ったのに、命の危険があるとはショックですよね…。
ウィズ・コロナの時代で、今や欠かせない存在のネット通販ですが、どういう
風に受け止めていますか?
政府が、新しい生活様式の1例として、ネット通販も使う事を挙げていますが、
コロナと対峙する中で、今、全世界で存在が大きくなって来ています。
その中で購入の対象というのも、大きく広がり始めていて、今までは自分が
ある程度情報を持っている嗜好品という事だったのですが、これだけではなく
生活必需品だったり、高額な嗜好品、今までネット通販で決して買わなかった
ようなモノも、リアルで購入するリスクや障壁が上がっているので、ネットで
購入するという事が広がっています。
そういった点から考えても、ネット通販の信頼について、今、改めて考えると
いう大事な時期かなという風に思います。
では、不良品が届いたり、あるいは商品が届かないといった場合には、どうし
たらいいのでしょうか?
出品者に連絡する事もできますが、それでトラブルになった場合には、大手
通販サイト運営者の方で、救済であったり、保証の制度を整えているので、
ぜひ、トラブルになっても泣き寝入りせずに、ぜひ相談してほしいと思います。
とはいえ、利用者からすると、そこでやり取りするのもハードルが高いし、
できれば買う前に見分けたいというのがあるのですが、見分ける方法はある
のでしょうか?
残念ながら商品ページだけで購入前に見抜くというのは、私たち消費者には
難しいのが現実なのですが、そこで、ぜひ注目してほしいのが、出品者の
情報なのです。
例えばこちら、デジタルカメラを売っている商品のページですが、この商品を
誰が出しているか?というのは、出品者のところに情報があります。
そこから、この出品者が、他にどんな商品を販売しているかを確認する事が
できます。
例えば、同じカテゴリーの商品を多く扱っていたり、品揃えにこだわっている
という事であれば、その商品に対してノウハウや専門性があるという風に
考える事ができます。
逆に、その品揃えに一貫性がなかったり、新型コロナ関連などといって、急に
専門的な商品を取り扱い始めたという場合には、本当に販売資格のある業者
なのかという事を、よく確認してほしいと思います。
業者の情報で関連して、もう1つ参考になるのが、同じ出品者が、他の通販
サイトで出品しているかどうかです。
ネット通販で出品者が商品を売るにはそれぞれの通販サイトで審査を受けて
それをクリアする必要があります。
出品者に登記簿の提出などを義務付けて、厳格に身元確認を行っている
サイトもありますので、複数のネット通販に出品している出品者であれば、
それだけ信頼性が高いと言えます。
星の数や口コミの確認をするだけではなく、複数のサイトをチェックするべき
という事なのですね。
実は、悪質な出品者によっては、星の数や口コミが偽装されている場合が
多いのです。