第2116回「買ったまま眠っているものは?」仕組みは、こちら。 パッケージに貼られたラベルには、どの出品者の、何の
商品かという情報が含まれています。
このラベルを貼り替える事で、簡単に、別の出品者の、別の商品を装う事が
できるのです。
この手法を使えば、問題があって返品されても全く新しい商品として販売する
事ができるといいます。
Q: 悪意を持った(出品者)がいたとして、出品停止になってしまった場合も、
この手法を使えば、半永久的に売り続けられるという事ですか?
“はい、その通りです。 現状は、そうなっていますね…”
Q: え? それって… ちょっと衝撃が大きいのですが…。
“バーコードの貼り替え業者というか、1回10円や20円でやってくれる業者さん
というのは、世界中に、いっぱいありますので、ご自宅で、空いた時間に
バーコードを貼っているという方も、結構いらっしゃるので、そこまで(出品者の
意図について)考ええずに、やっているのではないかなと思いますね…”
悪質な出品者を取り締まる事ができないのか?
今、消費者庁が動き始めています。
4月、アマゾンで偽ブランド品を販売していた悪質な出品者13社を公表・処分
しました。 並ぶのは、一見、日本人のように見える名前の数々。
しかし、ここに、消費者庁の苦悩が隠されていました。
消費者庁の担当者は、言う。
“事業者(出品者)を追いかけるといいますか、事業者の所在を特定する為に
相当、時間がかかってまして…”
出品者の連絡先として、アマゾンに登録されていた、運転免許証の住所を
たどってみたところ…。
なんと、全く関係ない日本人の情報を、無断で使っていた事が判明!
他の出品者も在留資格やクレジットカード等の情報は、ほとんど偽造でした。
結局、最後まで出品者を特定する事が出来ず、偽名と分かっていながら公表
・処分する、異例の事態となったのです。
消費者庁の取引対策課長は、言う。
“これだけ違法行為を行う詐欺的な販売業者の人が、大手を振って消費者と
取引できる状況は非常に危機的だと思いますし、やはり、ここは、きちんと
日本政府としては、対応しないといけないと思っています”
私たちは、悪質出品者に、どう立ち向かえばよいのでしょうか?
通販サイトの運営会社には、こうした悪質な出品業者を、きちんと排除する
仕組みを作ってほしいと思うのですが、対応はどうなっているのでしょうか?
先ほど出て来たラベルの貼り替え業者というのは、あくまでも納品・発送を
代行しているだけで、問題なのは彼らの後ろにいて、仕組みを悪用している
出品者です。
現在、身元を隠して登録をする出品者が絶えないのですが、こうした事態を
受けて、政府では、ネット通販事業者に対して、出品者の身元確認を、より
厳格に行う事を求める法改正を視野に検討しているという事です。
正しい身元登録が徹底されれば、悪質な業者も減らせる事ができるのでは
ないかと思います。
今や通販サイトはライフラインだと思うのですが、その責任を、どう問うべき
なのでしょうか?
プラットフォーマーに、自覚と責任を課す、法整備を行う政府側の対応も重要
だと思います。
一方で、信頼できるネット通販は何かという事を、企業だけに委ねるのでは
なくて、我々、消費者も含めて、さまざまな立場で考えて行く事も大事だと思う
のです。
例えば、数カ月前に、本来、不足していなかったはずのトイレットペーパーが
買い占めで不足してしまいました。
これを、今後、どうすれば予防できるかという事を、企業ともディスカッション
したのですが、例えば巣ごもり消費のニーズを、データで予測して、あらかじめ
十分な供給を確保するとか、場合によっては、供給せずに制限をかけたり、
あるいは、それでも不足した場合には、商品がない事が命や生活の危機に
直結する人に優先供給できるようにする。
こういった事を検討していたのですが、この時、信頼できるネット通販を作る
ために、やはり、我々、消費者も出来る事があります。
これは、例えば個人で買い占めに走らないという事だったり、あるいは価格
だけに左右されるのではなくて、信頼できる企業に育てて行くという事。
そこから買って行くという事ですよね。
これからの信頼は、企業から消費者への一方通行ではなくて、いろいろな
立場で、一緒に作って行く事で、それがよりよいものになって行くのかなと
考えています。
通販サイトは、安くて早い、便利なのですが、そういった便利さだけではなくて
信頼できるかどうか我々の側からちゃんと求めて行くべきだという事ですね。
そういう意味では、そういうシステムが社会的にできるかどうかを、1人1人の
利用者も意識しないといけないと思うのです。
しかし今はまだ、最新の悪質な業者の手口など、リアルタイムにどんな製品が
問題になっているのかという、そういう身を守るための情報に、もっと簡単に
アクセスしたいという気持ちがあります。
消費者庁のサイトに書いてありますというのではなくて、もっとリアルに身近に
そういう危険情報にアクセスできるようなシステムにしてほしいと思います。
その中で用心しながら、アンテナを鋭くして行く事ができるような事も望みたい
と思います。
昔は、そういった事は、卸がしていたのですが、今はプラットフォーマーが連携
して、そういった責任を果たして行くというのも重要だと思いますね。
つまり、昔はあった卸の仕事が現在は無いために、色んなリスクが消費者に
直接、来てしまっているのです。
騙されない為には、私たちは何を信じて、どう対処すればよいのでしょうか?
結局のところ、騙されないための1番の対策は、値段が高くても企業のホーム
ページから購入するのが、安全で安心だという事ではないでしょうか?