第2121回「去年の今頃は何をしていましたか?」今回は、世界中の映画やゲームで大人気のゾンビ・カルチャーです!
ゾンビとか怖いの苦手!という皆さんの為に、グロテクスな表現は抜きにして
明るく、楽しく、元気が出るゾンビの話題にしたいと思います。
今、ゾンビが熱い! 映画やドラマ、アニメにゲームから、町おこしまで!
さまざまなコンテンツに、ゾンビが登場!
死体が動く… 地味なキャラクターが… なぜ、人気を呼んでいるのか?
世界が10年も夢中の、感動! ゾンビドラマ?
ゾンビがアイドル? ファン投票、1位のアニメ!
全ての原点、ゾンビの父が、生み出した魅力とは?
知られざる元祖ゾンビは、タダ働き? この男性が、実在のリアルゾンビ?
裁判所で議論した… ゾンビは、人間か? 否か?
人間の尊厳を巡る、ゾンビ論争とは?
日本が発信する、ゾンビ・カルチャーの魅力!
現代社会でゾンビが広げるエンターテイメント、その可能性に迫る!
まず最初に、皆さんに恐ろしい現実を、お目にかけよう…。
これは、世界で公開された、ゾンビ映画の年代別本数だ。
1960年代は24本だったのが、70年代、80年代と増え続け、2000年代には、
なんと、300本以上!
2010年代には、映画はもちろん、テレビドラマやアニメと、より身近な場でも、
ゾンビが花盛り!
なぜか、今、私たちの周りは、ゾンビ・カルチャーで、あふれかえっている!
そんなエンターテインメント業界で、ゾンビが初めて登場したのは、1930年代。
アメリカで製作された、世界初のゾンビ映画、ホワイト・ゾンビだ。 (1932年)
カリブ海の島、ハイチを訪れた若い男女は、奇妙な一行に出会う。
あれ? 今のがゾンビなのか? これが、世界初!映画に登場したゾンビ!
やけに堂々とした姿だ…。
服はボロだが、体つきはガッシリして、うつろな表情、瞳に輝きはない。
実はこのゾンビ、生きている時に、悪い呪術師に薬を飲まされ、墓場から
よみがえった人々。 意識がなく操られる、いわば、奴隷のような存在。
ああ! 高い所から下に落ちた! しかし、誰も気にしない。
例え、ピストルで撃たれても… 大丈夫!
クライマックスは、ヒロインが生ける屍にされて操られ、愛する人を自らの手に
かけてしまいそうになる。
世界初のゾンビ映画では、ゾンビに襲われる恐怖ではなく、他者によって
意思を奪われ、操られる恐怖こそがテーマだったのだ。
ホワイト・ゾンビは、当時、魔人ドラキュラやフランケンシュタインといった、
モンスター・ホラーが盛り上がっていたアメリカで大ヒット!
この頃アメリカは、ニューヨークの摩天楼に象徴される、近代化の真っ最中!
ゾンビは、異界から文明社会に忍び込み、日常を脅かす恐怖の存在だった。
実は、ホワイト・ゾンビのもとになったのは、この本… マジック・アイランド。
探検家シーブルックによるハイチの調査記録で、映画の前年に出版され、
ベストセラーになった。 (著者:ウィリアム・シーブルック)
当時のハイチは、1915年にアメリカの統治下に置かれて、十数年。
アメリカ国民にとって、新たな未知の世界。
この地域独自の歌と踊り、呪術的な要素を伴う民間信仰など、ハイチは当時、
西洋文明からは、怪しげな文化を持つ世界として捉えられていた。
シーブルックは、ハイチの山道で、墓から掘り起こされた歩く死者、ゾンビを
目撃する。
“男たちは、蛮刀(ばんとう)で大地をたたきつけるように、林を押しのけながら
進んでいる”
“彼らは動物か生命のないロボットのようにぎこちなく重苦しい歩き方をする”
“その目はドロンとして濁って動かず、焦点すら合っていない”
“確かに、死者の目であった”
しかし、死んだ人間がよみがえるなど伝説にすぎない…と、お思いのあなた。
50年後、なんと、ゾンビは、公の前に姿を現した! これが、リアルゾンビだ!
死体のようにボロボロ… していないし、目はうつろどころか、しっかりカメラを
見据えている! 名前は… クレルヴィウス・ナルシスさん。
この人が、本当に、ゾンビだというのか?
1980年のある日、死んだはずのナルシスさんが、故郷に現れ、大騒ぎに!
それまで本人は… 意識もうろうの状態で、遠く離れた農場で働かされていた
という。
確かに、18年前の1962年、ナルシスさんには、死亡証明書が出ている。
しかもその後、墓に埋葬された。
彼は、本当に… 死からよみがえったゾンビなのか?
ハイチの文化に詳しい人類学者は、ナルシスさんについて調査を行った。
“葬儀が行われて埋葬され、墓標が建てられたのは事実です”
“魔法を信じない限り、ナルシスのケースは、科学的な説明が成されるべき
でした。 科学的な説明が…”
人類学者は、ナルシスさんが、死亡した時の記録を確認した。
最初の自覚症状は、呼吸困難・発熱・全身の痛み・けん怠感・吐血。
その後、容体が急変し… 死亡宣告。
ナルシスさんのこの症状から、人類学者はある毒物の可能性に気が付いた。
その推測を、日本の食中毒専門家に確認してもらうと…。
“やはり、フグの毒… テトロドトキシンの中毒症状に類似しているなという風
には思いましたね…” 何? フグって、あのふぐ?