FC2トラックバックテーマ 「金縛りにあったことある?」クラークが会長を務めた、英国惑星間協会 (イギリス・ロンドン) 。
親交があったメンバーは、クラークについて、こう語る。
“我々は、うぬぼれ屋クラーク、と呼んでいたよ。 孤独でオタク”
“クラークは、いつも、自分のアイデアを、周りに自慢したがっていたね”
“クラークは、メッセージを発信する事に精力的で、末来がどうなるのか?”
“しっかりと伝えたいと思っていました”
“その格好の機会として、映画を利用したのです”
うぬぼれ屋は、恐るべき子供を、コントロールできると考えたのだろう。
実際、会ってみると、2人の会話は、大いに盛り上がった。
まず取り組んだのが、地球外生命を、どう登場させるかだった。
例えば、この細長い宇宙人は、キューブリックのお気に入りだ。
クールだと語っていた。 しかし、どれも採用される事はなかった。
キューブリックの娘は、言う。
“地球外生命が、どんな姿なのかなんて、誰にも分かりません”
“だから、マヌケな姿にならないよう、ずっと悩んでいました”
この難題に対し、クラークが、驚きのアイデアを提案する。
‘本当に進歩した地球外生命は、完全に無機質かも知れない’
それだ! と、直感するキューブリック。 2人は、固定概念を覆す。
地球外生命を出すのではなく、その存在を感じさせるものを出せばいいと…。
こうして誕生したのが、謎の物体… モノリス。
宇宙人が、つくった遺物という設定だ。
モノリスが、キービジュアルとなり、ストーリーは動き出す。
物語では、2001年、モノリスが月面で発見される。
なぜ宇宙人は、人類の前に、モノリスを置いたのか?
突然、モノリスがシグナルを発する。 シグナルを送った先は、木星だった。
一体、何があるのか? モノリスの謎を解明する、宇宙探査が始まる。
クラークの科学的知識が、総動員された。
長期の宇宙探査に欠かせない、人工冬眠。
未来の宇宙船では、クルーたちは無重力の中でも、人工重力によって地球と
同じように活動する。 更に、セリフまでも妙に科学的だった。
船長のボーマンを演じたキア・デュリア。 その徹底ぶりに、面食らったという。
“覚えるのが非常に難解で、技術用語ばかり… ちんぷんかんぷんでした”
“外国語を学ぶようでしたね。 もう一生、忘れません。 こんな感じです”
“管制室。 こちらエックスレイ・デルタ・ワン”
“コンピューターによると、48時間以内に、アルファエコー35装置が停止する
可能性あり。 シミュレーターの検査を要請”
“並びに、故障前に船外活動を行い、装置を交換する計画の承認を要請”
“管制室。 こちらエックスレイ・デルタ・ワン。 送信終了”
“覚えるのに、何週間もかかりました” 確かに… ちんぷんかんぷんだ…。
そして、テクノロジーの集大成として、2人は、あのキャラクターを生み出す。
万能な人工知能 HAL9000 だ。
クラークは、テクノロジーが発展した未来について、こう考えていた。
“ロボットは、万能なアシスタントだと言える”
“コンピューターの進歩によって、物理的にも精神的にも、人間を助けてくれる
最高の道具になると思う”
テクノロジーの明るい未来。 しかし、その落とし穴にも気付いていた。
“人類の退化について、書いた事がある”
“もし機械が高度な知能を身に付け、仕事をしたら、人類の居場所は奪われる
だろう”
人類が機械によって、必要なくなる危険性。
そのアイデアに、キューブリックは魅了された。
AIが発達すれば、人間を抹殺しようとするのではないか?
物語では、突然、HALが暴走! ミッションに、人間が邪魔だと判断。
宇宙服を破壊し、殺害するのだ。
映画の舞台裏を取材した作家ピアース・ビゾニーは、2人の共同作業を、こう
語る。
“映画には、クラークの楽観と精神世界。 キューブリックの悲観と忠告が、
たくさん含まれる結果となった”
“楽観と悲観の、面白いミックスになっていると思うよ!”
しかし、物語がここまで進んだ時、2人の関係に綻びが出始めた。
船長ボーマンの宇宙探査は、この後、どうなって行くのか?
2人とも、映画の結末が、全く思い浮かばなかったのだ。
焦る2人。 相談を繰り返した。
しかし、キューブリックとの打ち合わせは、骨の折れるものだった。
なんと、12時間に及ぶ事も、しばしば…。
映画の舞台裏を取材した作家ピアース・ビゾニーは、言う。
“クラークは、面白い事を言っている”
“キューブリックとの打ち合わせの後は、横になって休む必要がある。とね…”
“キューブリックは、とても激しい人で、たくさん質問をする人だった”
“だから常に100%集中して、ありったけの知性を振り絞る必要があったんだ”
クラークは、ホテルの1室に缶詰めにされ、アイデアを求められた。
‘ボーマンが、異星の宇宙船の傍らに立っている’ のは、どうだろうか?
‘信じられないほど優美なヒューマノイドと出会い、旅立って行く’
のは、どうだろうか? しかし、どれも却下! 決まらない…。
“何回、書き直し、何回、行き詰まったか、数える事もできない”
“かなり落ち込んでいる” (著/アーサー・C・クラーク)