FC2トラックバックテーマ 「金縛りにあったことある?」2001年宇宙の旅。 公開から半世紀…。
あの映画から刺激を受けた若者たちは、キューブリックとクラークの意志を
受け取り、未来を切り開いています。
第3の視点は少年の頃、映画を見て夢を膨らませ科学者になった人物です。
惑星探査のエキスパート、 ジョン・スペンサー博士。
探査機ニュー・ホライズンズで、太陽系で最も遠くにある冥王星を、人類史上
初めて調査しました。 はるかかなたの宇宙へ。
ロマンあふれる宇宙探査に乗り出した科学者が、夢を現実にしたアナザー
ストーリー。
2015年7月14日。 歴史的快挙が達成された!
人類は初めて、太陽系の外縁部にある冥王星の探査に成功したのだ!
実は冥王星は、21世紀になっても、ぼんやりとした姿しか分からず、大いなる
謎だった。 その謎を解明するため、探査機を飛ばし、詳細な画像を入手。
その全貌を、明らかにしたのだ。
プロジェクトチームの責任者の1人、ジョン・スペンサー博士。
探査機から送られて来た、予想を超えた世界に興奮したという。
“今朝、分かったばかりの、本当に重要な大発見です”
未知の天体、冥王星。 その姿を追い求めた科学者の挑戦!
スペンサーが、冥王星探査のチームに加わったのは、2001年。
現在、探査チームがあるアメリカのコロラド州で仲間とともに研究をしている。
2001年宇宙の旅は、惑星探査を志す者にとって忘れられない作品だという。
10代の頃、初めて見た時の事を、鮮明に覚えている。
“夕方、私は1人で映画館に行き、映像の美しさに圧倒されました”
“特に木星のシーンでは、音楽がとてもモダンで、不思議な雰囲気でした”
“木星のミステリアスな姿に、心奪われました”
“そして、映画館を出て… 現実の世界に戻った時、世界が全く違って見えた
のを覚えています”
映画は世代を超えて、宇宙を志す者に影響を与えている。
惑星科学者のサイモン・ポーター博士も、その1人だ。
“ちょうど、2001年に見ましたよ。 月面に着陸するシーンが印象的でした”
“すごいホコリを避けるために、宇宙船の着陸パッドを、少し降ろすのです”
“素晴らしい映画のシーンでありながら、月面がホコリっぽいという事実も、
しっかりと押さえているのですよ”
スペンサーの専門は、天体の地質調査。 宇宙の驚異に魅せられて来た。
95年、探査機を使って、木星の4つの衛星のマッピングを作成。
個性的な衛星の姿を、明らかにした。
更に土星の衛星では、氷が噴出する謎と、その仕組みを研究して来た。
そんな中、スペンサーの興味をひいたのが、冥王星だった。
岩石と氷の天体のようだが、ベールに包まれており、その姿を明らかにした
かった。 しかし、冥王星探査には、問題が山積みだった。
地球から、49億キロも離れており、到達するまで9年以上もかかる。
探査には莫大な費用が必要で、そんな長期プロジェクトは、かつてなかった
のだ。 幾度となく頓挫していた。
プロジェクトチームの責任者の1人、ジョン・スペンサー博士は、言う。
“冥王星探査計画は、非常に困難な挑戦でした”
“辛抱強く耐えて、問題があれば、解決に全力を尽くします”
“NASAに冥王星探査の重要性を訴え続け、諦めない事が重要でした”
チームは、探査機を大幅に小型化する事で、コスト削減に成功。
無人探査機ニュー・ホライズンズが完成した。
従来の探査機に比べ、重さは僅か… 478キロしかない。
(ボイジャーは815キロ/ガリレオは2223キロ/ニュー・ホライズンズは478キロ)
2006年、ニュー・ホライズンズは太陽系の果てを目指し、旅立った。
1年後には木星に到達。 探査機は、木星の重力を利用して一気に加速する。
しかし冥王星まで、まだ8年も、飛行し続けなければならない。
そこで、ある秘策が考えられた。
スペンサーによると、それは、2001年宇宙の旅にも登場する技術、人工冬眠
だという。 なんと、探査機が宇宙飛行士のように、冬眠するというのだ。
機能のほとんどを停止させ、スリープ状態となる。
冥王星が近くなったら、復帰するという。
“クルーを冬眠させた、2001年宇宙の旅みたいですよね”
“同じ考え方で、探査機が起動したままだと、電力がかかりますし、継続的に
異常がないかモニタリングしなければならず、スタッフに負担がかかります”
“でも、映画の宇宙飛行士たちのように冬眠させると、探査機の電力を温存
できます”
“そして、探査機が冥王星近くで目覚めるまで、私たちは他の仕事をする事が
できるのです”
更に、もう1つ問題があった。
探査機にメッセージを送るのに、4時間以上もかかる。
リアルタイムで操作できないのだ。
そこでスペンサーは、観測プランを事前にプログラミング。