FC2トラックバックテーマ 「金縛りにあったことある?」あらゆるケースを想定し、地球からの指示がなくても、探査機のコンピューターが
自動的に判断。 観測できるようにしたのだ。
“コンピューターには、独特のクセがあります”
“HALよりも予測可能ですが、求めている仕事を実行してもらうには、深く理解
しなければなりません”
“これは、うまく行かないので、こうやってみようなど、試行錯誤しました”
惑星科学者のジョエル・パーカー博士、言う。
“HALのように スペンサー、それは出来ません とは言わないけど、工夫が
必要なのですね”
2015年。 探査機は、スリープ状態から復帰。
ところが、冥王星に接近する10日前、突然、あのHALのように人間の言う事を
聞かなくなった。 不具合が発生し、データのほとんどが失われたのだ。
管制室に衝撃が走る。 このままでは、冥王星を観測できない!
この危機に挑んだのが、運用マネージャーのアリス・ボーマンだった。
“恐怖心で、胸が締め付けられました”
“でも10秒後には、気を取り直し、 大丈夫。私がチームを引っ張らなくては
と、言い聞かせました”
くしくも、映画のボーマン船長と同じ名前の彼女が、危機に挑んだ。
とにかく時間がない!
彼女はチームを率い、すぐに膨大な観測プログラムの再インストールに取り
かかった。 昼夜ぶっ通しで、陣頭指揮にあたる。 72時間後、作業が終了。
探査機は、復旧した! 復旧から僅か7日後の 7月14日。
ついに探査機は、冥王星に大接近!! 撮影に成功した!
これが、その画像だ。 氷に覆われた世界。
(NHKのアナザーストーリーを、ぜひ、4Kテレビで観て下さい!)
(または、NHKのコズミックフロントを、ぜひ、4Kテレビで観て下さい!)
特徴的なハート型をした地形が、人類を迎えてくれた。
惑星科学者のサイモン・ポーター博士は、言う。
“私とスペンサーが、冥王星の画像を、1番最初に受け取りました”
“早速、画像処理をするため、パソコンに近付いた時、画像が、あまりにも
すごすぎて、手が震えたのを覚えています”
“心を落ち着かせてから、作業に入りましたよ”
“それまで、クレーターがあるだけの、つまらない天体ではないかと心配して
いましたが、すごく独特で素晴らしかったです!”
驚くべき発見があった!
そこには標高3500メートルの山があり、地球と同じように、地質活動が起きて
いるかも知れないのだ。 太陽系の歴史を紐解くうえで、大きな発見だった。
プロジェクトチームの責任者の1人、ジョン・スペンサー博士は、言う。
“新世界を、初めて見る時の気持ちに勝るものはありません!”
“山や氷河などの美しい風景が、初めて浮かび上がって来た時、完全に圧倒
されました。 まだ誰も見た事がない、新世界を見てみたいのです!”
“2001年宇宙の旅は、惑星探査の不思議さ、美しさ、ドラマチックさを、実に、
よく捉えていました”
“それが、ずっと心に刻まれていて、今、自分がやっている事のモチベーション
になっています”
半世紀前、SF世界に大変革をもたらした映画 2001年宇宙の旅 。
キューブリックとクラークの奇跡の共同作業なくして、誕生しませんでした。
新しいものを生み出そうとした、壮大な挑戦。
未来へのビジョンは、その後の映画を変えたばかりでなく、人々の意識をも
変える力を持っていました。
あの映画が、私たちに見せてくれた、未知なるものへのワクワク感と、新しい
世界。 それは、人類の未来を切り開く大きな原動力となったのです。
映画公開1年後の1969年7月。 人類は初めて、月面に到着した!
その様子が、全世界にテレビ中継される中、キューブリックも家族と一緒に
かじりついて見ていた。
しかし、地球の映像を初めて見た時、キューブリックの表情が一変した。
キューブリックの娘は、言う。
“父は… 何て事だ!地球は緑や青、フワフワした雲で覆われているが、
2001年宇宙の旅の地球は、色が薄すぎる! と、怒り出したのです”
“でも、専門家でも知りませんでしたよ”
“正確に再現できず、イライラしていましたね。 どうしっていうのかしら…”
さすがキューブリック! 撮り直しというわけにはいかなかったが…。
キューブリックに背中を押され、21世紀の宇宙探査に乗り出した科学者たち。
彼らは、映画に敬意を表し、探査した冥王星の衛星に、ちょっとシャレた事を
した。
惑星科学者のサイモン・ポーター博士は、言う。
“非常に独特な地形を発見したのです”
“小さな堀に囲まれた山で、太陽系では、他に見た事がありませんでした”
“それで、何かカッコイイ名前を付けたくなって仲間と相談し、キューブリックと
クラークの名を付けました”
キューブリック山と、クラーク山地。
2001年宇宙の旅が、多くの人を宇宙へといざなった、何よりの証しとなった。
ニュー・ホライズンズは、今、太陽系を飛び出し、2020年、更なる旅に出る。
キューブリックとクラークが熱望した、地球外生命との遭遇はあるのか?
人類の未知なる旅は続く!