FC2トラックバックテーマ 「あなたのお気に入りのテイクアウトは?」「地方は、宝の山」
“こういう風情の町並みって、もう、ほとんど残ってないですもんね…”
日本海に面した福井県小浜市。
“ここ、けっこう海見えてるんですよ。 けっこうキレイでしょ”
ここで、江戸時代から食されて来た味が、存続の危機に瀕していた。
‘へし合い押し合いしながら、漬け込んでるもんで、ここから、へしこという名前
になった’
サバを発酵させる事で、独特の風味が生まれる、へしこ。
販路に頭を悩ませていた。
‘昔から漁師は、作るところまでは頑張ってやる’
‘作って、それからは全然せんもんで… そういうの苦手なんやわ…’
再生を託されたのは、1人の男。
“そもそも論として、この内外海地区のへしこって、すごい美味しいですよ”
“でも、それが今、知られてないんで、売れないんですよ”
“そんなバカな事ないでしょって…”
彼は、人気雑誌の敏腕編集長でありながら、旅館の再建から、まちづくりまで
手がけ、その仕事は既存の枠に収まらない。
全国から依頼が殺到する、地方創生のキーパーソンだ。
料理評論家は、言う。
“革命家ですね。地方の力っていうか、いち早く注目されてる方で今頃みんな
自然とか、田舎とか言ってるけど…”
危機に立つ日本、復活へのヒントが、ここにある。
“東京の理論を地方に持ち込むのは、大間違いだと思ってる”
“東京では、こんな事をしている。 だから地方でも、こんな事をするべきだ”
“もう、僕からしたら、いい加減にしろって話しで…”
敏腕編集長が仕事の拠点を置くのは、新潟県南魚沼市。
魚沼産コシヒカリの産地として知られる、山あいの町だ。
“もうホタルの季節が終わっちゃいましたけど、ホタル、けっこう飛ぶんです”
敏腕編集長は、16年前、東京からここに、会社ごと移住して来た。
およそ30人の社員とともに、人気雑誌や書籍の出版などを手がける。
Q: ここの景色、すごいですね。 どうして、この場所を選ばれたのですか?
“この景色がキレイだから!”
Q: 不便さは、ないですか? “不便さは、全然ないですよね”
“何も、不便さは感じた事はないですね”
彼は編集長として雑誌のコンセプトや企画を立てるだけでなく、取材や執筆も
自ら行う。 こだわっているのが、徹底した現場主義。
自分の目で見て、体感した事しか、記事にしない!
この地に移住したのも、コメの特集記事を作るため、名産地で米作りをしようと
考えた事が、理由の1つだった。
“当時は、腰掛けのつもりです。 2年ぐらい”
“2年いたら、お米作りなんて分かるだろうと思っていたんですけれども、
自然相手の生き物って、全然、そんな甘いものじゃなくって…”
東京を離れて広告収入は減ったが現場主義を貫く姿勢が記事に深みを与え
全国の読者から支持を集めている。
“全く強がりでなく、東京の年収2000万円と、魚沼の360万円では、こっちの
360万円の方が、はるかに豊かなんですよ!”
“まず、この山々の景色! 自然の風景は365日、全部、違うんですよね!”
“もう、音楽聴かなくても、川のせせらぎ、鳥の声、雪のシンシンとする音”
“そういう色んなものを聴いてるだけで、まず、贅沢じゃないですか!”
“で、夕方は、温泉に入って寝る。 もう、これ以上の贅沢はないですよね!”
“本当はオープンカーで通ってるんですよ。 今、ちょうどホロが壊れちゃって”
“激安ですよ。 激安の中古車”
“ここら辺、住んでると、お金使うものってないじゃないですか…”
移住してから、彼は編集者という、仕事の枠を超えて活躍している。
向かったのは、会社から20分の場所にある、温泉旅館。
6年前まで、この旅館は廃業寸前だったが、地元の人から、何とかしてほしい
と相談を受け、編集長は、およそ4億円の借金を背負い、再建を手がけた。
150年もの間、豪雪に耐えて来た太い梁は、雪国の暮らしを感じてもらうため
あえて、むき出しに。
更に、地元では当たり前すぎて見過ごされていた、山菜料理をアレンジし、
新たなコースを生み出した。
雑誌編集の経験を生かした宿づくりが高い評価を受け、人里離れた旅館は、
今や、地域の顔となった。
外国人の宿泊客は、言う。 “ここは穴場ね! 来て良かったです!”
この日は、旅館のスタッフたちとのミーティング。
フラットな雰囲気の中で、地域の魅力を届けるためのアイデアを、自由に出し
合う。
雑誌の編集でも、旅館の再建でも、編集長が大切にする事は、1つ。
「宝は、足元にある」
“地域の特産品は知っているんだけれども、隠れた資源みたいなものは、
実は、地元の人は気付いていない”
“何でもない、普段、見ている、ちょっとした景色が資源になるし、それを
どうやって磨けばいいかだけだよね”
“まず地方の良さに、東京の人に気付いてもらう事と同時に、地方の人たちに
この地域の良さを気付いてもらう事が、すごい重要で”
“それを雑誌で書いてもいいんですけれども、雑誌で書いても伝わらないんで
宿で表現をしたりとか、お客様にお越しいただいて”
“あ、そういう豊かさを求める東京の人たちいるんだ。 みたいな事を気付いて
じゃあ、うちもやってみようかっていう事で、新しい宿が地域にできたりして
行く事で広がっていく”
“やっぱり、地方の人が自信を持って行かないと、地方は輝かないので…”