第2141回「おすすめの旅行術は?」そのために長い時間をかけて、技術的にもそうだけど、シナリオというか、
自分にとって、ここが、どうしても伝えたい事なのだという、よく考えられた上で
ドラマに自演したようなところがあると思いますね。
こういう事で慰められるという事はよく分かりますが、これだけの時間をかけて
費用もかかって、これを何度も繰り返すという風な事にはならないだろうか?
もし、これが簡単にできるようになったら、あまりに強い体験なので、それが
後に、よい影響だけを残すと言えるかどうか?
恐らく、これで打撃があるのではないかと感じた人は、自分の経験に照らすと
疑問を持った方もいると思います。
死を受け入れて、悲しみを乗り越えるために、こうしたテクノロジーを使う。
もっと簡単に、皆がこれを出来るようになったら、例えば仮想現実の世界に
亡くなった方を呼び出して、お盆を一緒に過ごすなど。
そういった事が出来るようになる世界も、もしかしたら出来るかも知れないな
と考えながら見ていました。
1つ、肉体を失ったら死というような、私たちの死への捉え方が、変わって
来そうだなとは思っています。
要は、デジタルの世界に、もう1つ命が生まれて来るような、そんな感覚を
覚える方もいるのではないかと思うと、1つ議論のポイントとなってくると思って
いるのは、亡くなった方の本当の意思なのか?
AIで生前の色々なデータを入れて、新しく自分が言った事ではない事を、
言わされてしまうみたいなところが、本当にその人の意思なのか?
というところと、残された人たちの気持ちの整理みたいなところもあるので、
どちらを優先して行くのだろうか?みたいなところは、1つ議論のポイントに
なったりするのかなと思いました。
例えば、臓器移植の時に意思を記しておくカードが、ありますよね?
そんな感じで、あなたは死後にAIの世界に、仮想現実の世界で生きて行くと
いう事に同意しますか?みたいな同意書が出来たりするのではないか?
そんな事も考えたりしました。
ただ、テクノロジーで亡くなった人が、あたかも、よみがえるというような事が
起きるとすると、死を受け入れて、乗り越えるという事の妨げになるのでは
ないのかとも思うのですが?
そういう事は、人によっては、あるだろうと思いますね。
先ほどのナヨンちゃんのお母さんもそうですが生き残っている人のしたい事を
形に表しているのですが、例えば夢に亡くなった方が出て来て、というのは
多くの方は経験して、それで涙で枕が濡れるなんていう方もたくさんいます。
こういった、思いがけない形で出て来られる、こちらの思うままではない、その
中には辛い事も、あるかも知れない。
この辺りが喪の仕事というのですが、悲しみをグリーフケアの理論の大もとを
作ったフロイトは、喪の仕事という言葉で言いました。
失った大事なものを、その事に納得して行くための長い仕事がある。
僕らは、その仕事をして行くのだという事なのです。
そういう悲しみの仕事を行っていくというプロセス。
それを、何か飛び越えてしまって、これが解決ですという風になると少し違う。
こちら側の思った通りに行くというのは、少し違うなと。
何が本当に大切なものだったのか?という事を、だんだん分かって行く事が
重要であると思う。
その辺が、グリーフケアにとっては、本当に大切な事だと思っています。
だからこそ、1人で大丈夫なのか?
何か、やはり共にしながら、導きを得て行くというような事が必要なのでは
ないかという風に感じたりします。
例えば亡くなった人が、いるという事を、受け止めて行くという事が、今、大切
だと言いましたが、例えばもう感じなくてもいい痛みとか、感じなくてよくなった
痛み、苦しみというのも、ありますよね?
例えば麻酔ができて、手術で苦しまなく、痛みを少しでも軽減できるように
なったなど、そういう人間の発明で変わって来た痛みの軽減みたいなところも
あると思うのです。
人が亡くなった時に出てくる痛み、苦しみというものは、やはり感じた方が…。
多くの方は、悲しみは、なくて良かったとは思わない。
悲しみは辛い事なのだけれども、悲しみのおかげで、何が大切のなかという
事も分かるし、自分も成長する事ができる。
そして、人の気持ちも、もっと理解できるようになるはずである。
そういう事が大事なのだという風に思います。
その喪の仕事が、こういった技術で、もし実現できるとすれば、大きな力にも
なり得る可能性がありますね。