FC2 トラックバックテーマ:「ガチャガチャ、カプセルトイは好きですか?」2020年12月19日。 神奈川・横浜市・山下ふ頭。
機動戦士ガンダム。 放送40周年を記念して作られたガンダムが動いた!
大きさは、アニメの設定と同じ18メートル!
6階建てのビルに相当する巨体が… 歩く! しゃがむ!
観客は、言う。 “40年越しに見たいものが見られたので嬉しいです”
“ずっと、ゲームで動かしていたガンダムが大きく動いたので感動しました!”
この巨大なガンダム。 動く姿を見せる事だけを目的に作られた!
産業用ロボットのように、実用として役に立つ訳ではない。
アニメと同じサイズのガンダムを作り、アニメのように動かす!
壮大な夢を現実とするため、さまざまな技術のプロフェッショナルが、持てる
力を集結! 前代未聞のプロジェクトに挑んだ!
18メートルの巨体は、簡単には動かない!
これは、実物大ガンダムを動かすという、夢に挑んだエンジニアたちの情熱の
物語である! ガンダムを動かせ!!
「トップ技術を組み合わせろ」
動くガンダム三銃士①、全体設計の担当者。
大手メーカーで、建設機械をロボット化する研究開発を行って来た。
彼が開発を手掛けた、2本の腕を持つ重機。
家屋の解体や災害救助に活躍し、ガンダム建機の異名をとった。
彼は、およそ1年をかけ、実物大ガンダムを動かすための構造とメカニズムを
編み出した。 かいた図面は、1000枚以上だ。
今回のプロジェクトにはそれぞれの得意分野を持つ多数の企業が参加する。
技術と技術を組み合わせる事で力を引き出し、18mの巨体を動かすのだ。
“組み合わせの面白さだとは思うのです”
“ただ、当然、今回、組み合わせとして、新しいシステムになる”
“組み合わせる上での難しさはというのは、たくさんあったのですが…”
“各社さんが、これまで日本の企業が積み重ねて来た技術が詰まっている”
“それが、あの1つの形、ガンダムになっているところが面白いと思います”
2019年の秋。
茨城県のとある場所に、実物大ガンダムのパーツが、続々と運び込まれた。
高さ18mを収容可能な実験施設で、一旦、組み上げ、動作試験を行うのだ。
ここまでは、彼の設計を基に、各社それぞれ、準備を行って来た。
パーツ同士が初めて出合い、一体となって行く。
下半身の骨組みが、姿を現した。 “え~ 嫌な…緊張感しかないですね…”
“うまく動いてくれればいいんですけど…”
遠隔制御盤に電源が入った。 しかし… 警告音が鳴り響く…。
何が起こったのか? エンジニアたちが、配電盤に群がる。
配線の点検が行われた。 今度は動いたが… すぐに止まった。
この時点で… ケーブル、およそ900本(最終的には約、倍くらいになる)。
動力と制御信号を送るために、必要な本数だ。
そのため、ひとたび問題が起これば、1本ずつ地道にチェックし、原因を見つけ
出すしかない。
よって、全てを正確に接続するだけでも、一苦労である。
点検する事、2時間半! 配線の問題が解決された。
ゆっくりと動く、左足の骨組み。 彼の描いた夢が、一歩を踏み出した。
彼は、およそ20年勤めた会社を辞めて、このプロジェクトに専念した。
建設機械の開発で培ってきたノウハウが、存分につぎ込まれている。
実験施設の近くに部屋を借り、家族と離れて単身赴任。
ガンダムを動かす。 ただ、それだけのために…。
“僕、実家が鳥取なんですけど、夜中、こう…”
“東名高速道路を、夜中、ずっと運転しながら、ずっと、どうしようかなって…”
“1人で運転しながら、ず~っと、夜、考えながら走ってて…”
“で、まぁ、鳥取、着く頃には、もう、参加しようって決めて…”
“向こうで、まず、奥さんに相談をしたっていう…”
“やらない後悔よりは、やって後悔するほうがいいかなって思ったんですね”
彼が、エンジニアとしてのキャリアをかけた、実物大ガンダム。
18メートルを動かすために、コンピューター制御のサーボモーターを採用した。
製造したのは、産業用ロボットの分野で、世界4大メーカーの1つといわれる
企業だ。 サーボモーターは、精密な動作が可能な事が特徴だ。
モーター・制御装置の担当者は、言う。
“ちょっと、強気で言えば、はい、これが動かしてます”
“我々が、ガンダムを動かしています”
“サーボモーターは、大きな特色として、位置を制御できる”
“マイクロレベルで制御できる、というものになってきます”
サーボモーターは、半導体などを作る産業用ロボットにも使われる。
マイクロレベルの制御が可能なモーターは、巨大なガンダムを、どう動かす
のか? 例えば、ガンダムが腕を上げ、ある位置で止める。
その際、サーボモーターは、腕の重さに釣り合う力を加える。
ピタリと止まるために、モーターは動き続けるのだ。
実物大ガンダムの可動部は、36カ所に上る。
産業用ロボットのように全てを精密に制御し、ガンダムらしい動きを作り出す。
サーボモーターによって、巨大なガンダムの精密な動きが可能となった。
18メートルもの大きさで、これほど多くの箇所が連動して動くロボットは世界初
の挑戦だ!
テクニカルディレクターは、言う。
“今、大体、ガンダムは… 関節が、0.02度の誤差範囲に収まっている”
“今の技術であれば、それぐらいの微細な制御が出来るものになる…”
巨体を動かすには、精密さに加え、大きなパワーが必要だ。
そこで、減速機という装置が、モーターとともに組み込まれた。
産業用ロボットに使われる減速機では、世界シェアおよそ60%を誇る企業で
製造されたものだ。
減速機は、歯車などを組み合わせ、モーターの回転速度を落とす事で…
回転する力、トルクを増幅する。
エレベーターや自動ドアなど、幅広く使われている。
今回、実物大ガンダムだけのために、前代未聞の減速機が開発された。
減速機の設計担当者は、言う。
“いわゆる、モーターの力を1000倍にするところまで設計しました”
“普通は1/200(200倍)が多いので、今回は非常に高減速でした…”
力を1000倍に増幅する減速機は、ヒザなどの関節に使用された。
関節を深く曲げるダイナミックな動きは、減速機の力で実現したのだ。
“やっぱ子供たちも、減速機って何?っていう世界から出れないんでですね”
“あれを見たら、少し分かってくれるんじゃないかなと思ってます”
“どうた、すごいだろ!と、言いたいですね…”
肩・ヒザ・脚の付け根の関節などに、減速機が組み込まれる。
テクニカルディレクターは、言う。
“ちゃんと、ハマるかどうかが… 前半の超山場だと思います。 ここが…”
“自分の設計を、あまり信用していないので…”
“設計者って、そういうものだと思いますよ…”
微妙な調整を繰り返す事、3時間。 ‘あっ、入る入る!入った、入った!’
しかし、1000倍の減速機をもってしても、パワーが足りない箇所があった。
力が集中する、脚の付け根の関節だ。
長さ10メートル、重さ5トンの脚全体を、持ち上げなければならない。
これを可能にしたのは電動シリンダー。 大型の作業機械に使われるものだ。
可動範囲は限られるが、強い力を発揮する。
そして、今回の見せ場の1つでもある、実物大ガンダムは、どうやってヒザを
曲げているのか? 堅い外装に覆われた、ガンダムの足。
ガンプラのように、二重関節になっているわけではない。
どのように、足を折り曲げるのか? こちらは、動作試験の模様。
太ももに、ご注目! 太ももの外装が、2つに割れた!
足を上げると、ももの前後の外装がズレて行く。
すると、ヒザの裏側に、隙間が生まれる。
この隙間によって、外装同士の接触を避ける事ができる。
足を深く曲げる事が、可能となるのだ!
彼の設計が、1つずつ形になって行く。 2020年3月31日。
骨組みの状態での動作試験は、3カ月にわたって繰り返された。
彼の操作で、骨組みが動く。
可動部、全てが滑らかに動くところまで、こぎ着けた。
“なかなか、まだ、直視できなくて… 怖くて…”
“ただ、データ的には、怖いところは何もないです… 今のところ…”
精密なサーボモーターに、トルクを生み出す減速機。
いくつものトップ技術が組み合わされる事で、18メートルの実物大ガンダムは
動き始めたのである。


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