FC2トラックバックテーマ:「ついつい気になってしまう他人の行動は?」介護中の母親が、倒れたという連絡を受け、急いで引き継ぎをして、帰宅する
男性社員。 実は、この男性が母親を介護中というのは、架空の設定。
これは、ある企業が導入した、体験型研修の一場面です。
社員に意識改革を促し、女性をはじめ、多様な人材が活躍できる職場を作る
のが狙いです。
“変わりましたね。 すごく…”
“物理的に残業できないという事に対する理解というのは、非常に深まった”
労働力人口が減少する中で、待ったなしと言われて来た、女性活躍。
今、鍵を握ると注目されているのがアンコンシャス・バイアス無意識の偏見の
克服です。 あなたは、どこかで、まだ、仕事は男性。
家事・育児・地域&学校行事・介護は女性、と思い込んでいませんか?
古い価値観や、思い込みを乗り越えて、新しい職場作りを目指そうと模索する
現場に密着しました。
子育てや介護の当事者になりきって働く、というユニークな研修を導入した
大手飲料メーカーです。 こちらの男性社員は、介護コースを受講中。
1カ月間、母親を介護しているという、架空の設定の下で働きます。
研修の期間中、原則、残業は禁止。 必ず、定時で帰ります。
更に親の体調が悪化したなど、呼び出しの電話がかかってきた場合、仕事を
中断して退社するルールです。
制約のある働き方を強制的に経験する事で、社員の意識変化と業務の
効率化につなげるのが狙いです。
“時間内に終わらせるようにしないといけないなと思って、仕事の仕方を変え
ないといけないというのを痛感しました”
この研修は、3年前、若手女性社員たちの切実な声を切欠に生まれました。
研修を提案した女性社員は、当時、子育てをしながら働く営業担当の女性が
少ない事に、危機感を持っていました。
“ロールモデルもない。 ママになった時に、自分の仕事の幅が、狭くなって
しまうのではないかという、漠然とした不安がありました”
彼女は同じ不安を抱えていた女性社員と共に、子育て中の母親になりきって
働く実験に挑戦!
実験を通して、仕事の効率化を進め、業績が落ちない事も実証しました。
会社は、この試みが意識改革を促す鍵になると判断し、社員およそ6000人を
対象に、研修として導入。 これまでに、400人以上が受講しています。
人事総務部の女性社員は、言う。
“時間制約のある働き方は、誰しもが起こりうる事なので、何かしら起こったら
お互い様だよね!と思えるような風土にして行きたいです”
なりきり体験をした社員の職場では、次々と効果が表れています。
営業部の管理職の男性は、2年前に研修を受けるまでは、残業もいとわず
働いて来ました。 初めは、戸惑いがあったと、いいます。
“どうしても定時までに仕事を終わらせなければいけない状況が初めてだった
ので、不安はありましたが、お得意先には、お電話も、なるべく日中に下さい
と言って、ご理解を頂いて仕事をしていました”
時間制約の中で、お互いをサポートし合う習慣も、チームの中で生まれたと
いいます。
“今までは、頼るのも怖いなという部分はあったのですが、いざ頼ってみたら、
こっちの方が良かったねと、お互い思う部分は多かったと思います”
更に、なりきり体験は仕事だけでなく、体験者本人のプライベートにも変化を
もたらしました。
Q: もう帰るのですか? “そうですね。 今日は、もう帰ります”
この日は5時に退社し、保育園へ。 3歳の長男のお迎えです。
同じ会社の同僚として働く妻は、2人目の出産で実家に滞在中です。
“こっちで買っておくモノとか、用意するモノがあったら言っといて…”
妻は、今年の春、マーケティング部の管理職に昇進。
夫の家事・育児参加は、妻の働き方に、大きく影響すると実感しています。
“子育てを、1人でやろうと思うと、キャリアを目指すのは正直、厳しいのでは
ないかと思っています”
“今は夫が協力してくれて、両方できる方法を考えようと言ってくれているので
その支えがあるからこそ、自分自身もキャリアを志向して行けるのかなという
風には思っています”
労働力人口の減少が進む中、待ったなしと言われて来た、女性活躍。
しかし、女性の指導的地位に占める割合を、2020年の今年までに30%とする
目標の結果は、14.8%に、とどまっています。
なぜ、女性の管理職は増えないのか?
ある調査によると、管理職を目指したいと回答する女性の割合は、入社後、
徐々に低下して行く事が分かっています。
入社5年目の時点では、目指したくないと答える女性は、59%。
男性の5倍になってしまいます。
企業の人材開発が専門の教授は、職場の環境が女性の意欲を阻害している
可能性を指摘します。
“急激に、モチベーションが落ちてしまうわけです”
“それはやはり、会社に入ってから、あんな風な長時間労働をして、リーダーや
管理職になるというのは、不安に思うところもあるだろうし…”
“振られている仕事が、男性と女性で違うとか…”
“態度や言葉で、男女差別を受けた経験があるとか…”
“配属されている部署も、何か不利な気がする…”
“みたいな事を思って行くと、やっぱりリーダーや管理職に、私は、なれない
かも知れない。なったら損かも知れないという事を学習して行くとのだと思う”
「働き方改革にインフラに住民サービスまでデジタルマネーを活用?」
現金に代わり電子情報のみでやり取りされるお金、電子マネーが今、社会を
大きく変えようとしています。 こちらの一家は、ここ1年、ほぼ現金を使って
いない、デジタルマネー家族。 光熱費の支払いは、スマホで。 更に…
“僕が金欠で、ちょっとせがんで…” 夫のお小遣いもデジタルマネー。
“1回、慣れちゃったら、逆に、現金に戻るというのが考えられなくなる”
経費精算にデジタルマネーを導入した会社では、思わぬ形で社員の働き方
改革が実現! 一体、なぜ? “まさに、これは革命だと思います”
更に紙幣を発行してきた通貨の番人、中央銀行みずからがデジタルマネーを
発行する構想も。 “今、向き合っている事は、100年に1度の大変革です”
急激に広がる、デジタルマネー革命。 私たちの社会の仕組みは、どこまで
変わるのでしょうか?
デジタルマネーを導入したら、社員の働き方が大きく変わった? 一体、どう
いう事なのでしょうか?
社員およそ1000人のガス会社で、検針や営業を担当する男性です。 1日に
10件ほどの顧客を訪問し、その都度、駐車場代や必要な経費を立て替えて
います。 “コンビニの収入印紙代だったり、工事の時に使う部品代だったり
2万円前後は月の立て替えが、いくと思いますね”
これまで、この会社では、営業担当者が仕事を終えた後、営業所に戻って
レシートを提出。 各営業所の経理の担当者は、それらをとりまとめて本社に
送ります。 その上で、本社から社員それぞれの銀行口座に、月に1度、振り
込んでいました。 こうした負担を減らすために導入したのがデジタルマネー。
外回りを終えた男性は、スマホでレシートの写真を撮影。 AIが金額と項目を
読み取り、データが本社に送信されます。 すると… 1週間ごとに、社員の
スマホに入金されます。
受け取ったデジタルマネーは、そのまま、お店などで使う事もできます。
経費精算が早くなった事で、入社1年目の男性にとっては、負担が少なくなり
ました。 “ありがたいですね”
更に、経費精算のために営業所に戻る必要が、なくなりました。 事務作業の
時間が減少。 直接帰宅する事も可能になり、残業を減らす事に、つながって
います。 Q: 今日は、ちなみに?
“今日も、経費精算は終わったので、帰ります。自宅の近くで仕事をする事も
あるので、その場で仕事を終わらせて、すぐに帰る事ができるのは、とても
便利で、負担は減るかなと思いますね”
一方、営業所では、経理を担当している女性の働き方も、変わりました。
“これは、前に使用していた経費(レシートなど)の台帳になります”
これまでは、営業担当者1人1人が提出したレシートを台帳に貼り付け、通し
番号を振って、一覧表に入力。 その上で、上司の承認を受け、本社へ提出
していました。
“大変な作業ですね。これを思い出しますと…貼り付けたりとか、今、思うと
何でこんなに多かったのかなというのと、お金が合う合わない、そこに神経を
常に注いでいる感じがあった”
デジタルマネーを導入した事で、経理作業の時間が、月に20時間以上、減り
ました。 効果は、それにとどまりません。 その時間を使って、新しい業務が
出来るようになりました。
女性が行っているのは、新規サービスを紹介するキャンペーンのチラシ作り
です。 この会社には70を超える営業所があります。 それぞれの営業所には
経理を担当するスタッフがいますが、その全員が、女性と同じような業務を
担えるようになりました。
“営業がメインの会社なので、全体的な効率は上がっていると思います。
まさに、これは革命だと思います。もう、現金自体を扱わない方にシフトでき
ればと思っています”
この経費精算のアプリを開発した、創業3年目のIT企業です。 最大の強みは
コストを抑える新たな送金の仕組みです。 これまで、企業が社員に送金する
場合は、取引先銀行を通じて、社員、個人の口座に振り込んで来ました。
この際、違う銀行に振り込むと、770円の振込手数料がかかるのが、一般的
です。 一方、アプリによる送金ではデータを付け替えるだけなので、手数料は
銀行の3分の1程度としています。
“既存の仕組みとの違いを作り出して、手数料を安くするというのが、我々の
ビジネスモデルの根幹ですね。実は現金管理で面倒だったとか、今まで出来
なかった事が、スマホでのキャッシュレスに置き換わって行く”
デジタルマネーの導入で、住民サービスの質の向上を図ろうとする動きもあり
ます。福岡市は2年前にIT大手LINEと提携し、住民票の発行や税金の支払い
などを、デジタルマネーで出来るようにしています。
去年7月には、一部の地域で、粗大ゴミの処理手続きにも取り入れました。
これまでは、まず市役所の専用窓口に電話する等して、種類や個数を伝え、
収集日や金額を確認。 指定された額の処理券をコンビニなどで購入し、
ゴミに貼って、処分してもらわなければなりませんでした。
“子育て中の方だと、なかなか時間が取りにくいとか、コンビニが近くにある
方だったらいいが、少し遠い場所にあると面倒な手続きになりますね”
新しい仕組みでは、申し込みから支払いまでの全てが、1つのアプリで完結
するようになりました。
“例えば今回、カーペットを捨てますので、カーペットと入力して、じゅうたん
なので、じゅうたんを選択し、個数を選んで、最後に決済と…”
後は、決済時に付与された受付番号を紙に書き、ゴミに貼って出すだけ!
市民の手間が、大幅に減りました。 行政側にも、メリットが生まれています。
電話での問い合わせは2割減り、処理券をコンビニに配備するコストも減少。
今後、更にデジタルマネーの導入を進めて、窓口の人員を削減し、その分、
人手を増やしたい福祉業務などへの重点配置に、つなげたいとしています。
“行政もデジタル化されて行くというのが、時代のすう勢になって来ている。
行政事務の効率化にもつながりますし、市民の皆様のストレスが、より感じ
にくい社会になって行く”
全国の自治体は、およそ1800。 その内の140が、既にLINEと契約しており、
今後、更に増える見込みです。
“決済も出来る。公共料金の支払いも出来る。何でも、そこ(アプリ)で出来る
ようにして行くのが我々の目指すところです。使い道が広がって行きますので
そこ(アプリ)に積極的に残高を置く意味が出てくる。そういう事を少しずつ広げ
て行きたいと思っています”
更に、私たちの社会の仕組みを大きく変えるデジタルマネーの政策が、検討
されています。 国が来年度中の解禁を目指す、デジタルマネーによる賃金の
支払いです。
現在は法律などで現金や銀行振り込みなどに限定されている賃金が、スマホ
のアプリでも受け取れるようになる見込みです。 その規模は、およそ240兆円
とも言われ、IT企業のサービスは、更に広がって行く可能性があります。
こうした状況に、危機感を抱いているのが銀行です。 仙台市に拠点を置く
この銀行は去年4月、デジタル化に対応する部署を開設。 ライバルのIT企業
との連携を模索しています。 課長のデスクには、さまざまなIT企業のステッカー
が並べられています。
“資産運用アプリとか、業況変化をAIが、いち早く検知するアプリとか、連携を
考えている先の1つですね。もっと、いっぱいあるんですけど…”
これまで銀行が担ってきた送金や資産運用がIT企業に奪われると収入源が
先細ってしまいます。 そこで、顧客をつなぎ止めるために、IT企業と連携。
その上で地域で培って来た信頼を武器に顧客それぞれのニーズに合わせた
サービスを強化して行きたいと考えています。
“IT企業が提供するようなアプリを銀行が単体で開発をして、自前のものと
して組み込むには相当システム開発の負担もかかりますし、その後の管理の
負担もかかって来ます。非対面の取引と、対面の取引の融合というのが、
将来の地銀の姿になって来ると思います”
デジタルマネーが社会を大きく変えて来ているわけですが、世界に目を転じ
ますと、中央銀行がデジタルマネーを発行するというプロジェクトも動き出して
います。 世界最古の中央銀行がある、北欧・スウェーデン。
急速なデジタル化で、現金を使う人が減り続け、その流通量は、国の経済
規模に比べて、1%余りにまで下がっています。 ほとんどの人が使っている
のが、民間企業が開発したデジタルマネーのアプリです。
教会で寄付する時も… 現金用の袋が回って来ますが、入れる人は、ほとんど
いません。 コードを読み取り、スマホで行うのが主流です。
町の有料公衆トイレは… デジタルマネーがないと、使う事が出来ません。
Q: 最後に現金を使ったのは、いつですか?
“えーっと…覚えていません。もう、ずい分、昔の事ですから…”
しかし、民間企業主導による急速なデジタルマネーの普及で、弊害も起きて
います。 その1つが、アプリを使いこなせない高齢者や、高価なスマホを持つ
事が出来ない人の問題。
“スマホの事は、あまり分かりませんし、信用できません…”
更にデジタルマネーの決済に不可欠な、インフラの課題もあります。北極圏に
近い地域では、雪による停電や通信障害が、たびたび発生します。
スーパーの店主 “停電自体は、月に2~3回あり、かなり長い時間、復旧しま
せん。インターネットが、つながらなければ、カードリーダーも使えません”
市民団体の代表は、デジタル化から排除される人が生まれないよう、国に
早急な対策を求めています。
“こうした人たちを置き去りにする事は、民主的でしょうか?これは本当に
重要な問題です”
3年前、通貨の番人と呼ばれる中央銀行が、新たなプロジェクトを立ち上げま
した。 法定通貨クローナを電子化したデジタル通貨 e-クローナ を発行する
構想です。 e-クローナが目指すのは、国が、その価値を保証するデジタル
通貨を、誰もが利用出来るようにする事です。
今回、プロジェクトの中心人物が、取材に応じました。 “スウェーデンでは、
現金の使用が急速に減っていて、間もなく社会から、現金がなくなるという
現実に直面しています。どうすれば、全ての人が政府の保証するお金を使い
続ける事が出来るのか?中央銀行の役割が根本から問われているのです”
今、中央銀行は課題を解決するための技術を、企業から募っています。
その1つが、スマホがなくてもキャッシュレス決済が出来る小型のチップです。
複雑な操作が必要なく、低価格なため、スマホを使えない人々にも普及する
事が期待できます。 更に通信や電力に障害が起きた際に、決済が滞らない
ようにする技術も、検討されています。
e-クローナ構想に拍車をかけたのは、この人の発言でした。
Facebook CEO “写真を送るような感覚で、お金も送れるようにするべきだ”
去年6月、フェイスブックがデジタルマネー、リブラの計画を打ち出したのです。
世界27億人のユーザーを対象に、使ってもらおうというものです。
リブラが発行されスウェーデン国民が使うようになれば、中央銀行を介さない
お金のやり取りが生まれます。 そうすると国内のお金の流れがつかみにくく
なり、景気や物価をコントロールする金融政策が効果を失う恐れが指摘されて
いるのです。中央銀行は今年中にe-クローナの原型を示したいとしています。
“グローバルな決済システムが1~2社の大企業に牛耳られたら、民主主義を
脅かしかねません。誰もが使えてリスクのないデジタルマネーを守るためには
国や中央銀行が主導するしかないのです”
デジタル通貨、今後どうなる?
新しい技術によって、我々の生活が豊かになる、便利になるという事は確か
ですので、それを最大限、取り入れる必要がある。 しかし、色んな問題も
あるので、いろんな規制も必要になって行く、という事ですね。
中央銀行が作っても、それが民間のビジネスの邪魔をしてしまうと。民業圧迫
になってしまうと、こういう面もあると思います。
それから、中央銀行に全ての情報が取られてしまうという国民の不満があり
ますので、そういう意味では、やはり、民間と中央銀行が協力するというのも、
あり得ると思いますね。
民間だと、一部の人は使えなくてもいいという風に見捨てられてしまう可能性
がありますので、つまり新しいデジタル通貨というのを社会インフラ、全ての
人が使えるという風にする為にはある程度、中央銀行が関与をする。
例えば民間が発行するのですが、中央銀行の当座預金を必ず支払い準備に
持たせる事によって、その企業が破綻しないようにする。 それから通貨の
信用力を高めると。 何かあった時に、中央銀行が助ける。
その代わり常に監視をし、色んな情報を吸収すると。 ですから、半官半民の
一種のハイブリット型というのが実はデジタル技術が我々の生活を豊かにし、
色んな問題を解決しながら、要は社会インフラとして全ての人が、そこから
漏れないようにして行く仕組みのためには、ある種、非常に重要な方向性
なのではないかなと、いう風にも思っています。