FC2 トラックバックテーマ:「2020年の個人的流行語大賞は?」こちらのお宅では、最近、ある、お取り寄せにハマッているのだそうです。
土が付いたままのニンジンに、旬を迎えたばかりのサトイモ。
農家から直接届いた、野菜の詰め合わせです。
女性が利用したのは、インターネットの生産者直売サイト。
利用し始めたキッカケは、コロナ禍で、家で食事をする事が増え、食に対する
関心が強まった事だそうです。 “安心感は、すごい、ありますね”
“生産者の方と、すごく、つながっている感が強いので、変なモノは絶対、
送って来ないと思っているし…”
野菜や肉・魚等を生産者に直接注文できる、こうしたインターネットのサイト。
今、利用者が急増しています。
人気を支えているのが、家族で経営する、小さな農業の担い手たちです。
規模は小さくても、自然に優しい農産物を育て、消費者に工夫して届ける事で
収益を確保。
自身のライフスタイルを大切にしながら地域に貢献する人も生まれています。
小さな農業の担い手は、言う。 “農業は楽しいですね!”
“僕は、多分、死ぬまでずっと農業していますね…”
実は、今、世界でも、家族を主体とした小さな農業が、注目されています。
国連では、飢餓や貧困、環境問題などを解決する要だとして、各国に支援を
呼びかけているのです。
FAO(国連食糧農業機関)の駐日連絡事務所長は、言う。
“食糧システムを、もっと持続的にするためにも家族農業というのは不可欠な
要素だと思っています”
価値観が大きく揺れる時代、改めて注目される小さな農業。
あなたも、明日から農業を始めたくなるかも知れませんね!
東京・青梅市で農業を営む30代の夫婦は、言う。
“若手の新規就農者がCSAで活動して、その資金を頂いて、それで挑戦する”
“そういう仕組みが、少なからず出来て行ければいいかなと…”
“農業の未来像というものに、先行投資して頂いている”
コロナ禍で注目される小さな農業、新たな時代のライフスタイルとなるのか?
消費者に直販する事業を経営している社長に、話しを聞きます。
これまで日本の農家は、大規模化を目指して来たと思い込んでいたのですが
今、小規模農家が見直されているとは、どういう事なのでしょうか?
私自身も、実は実家が小規模農家だったのですが、私が小さい時に廃業して
しまい、昔は、なかなか小規模の農家は、自分で販路を見つけることがすごく
難しかったのです。
でも今は、インターネットの普及によって、消費者と直接、小さい生産者が
つながる事ができるようになったというのが大きなキッカケになりました。
そこに今回、コロナによって食の意識がすごく変わったというのが大きいかな
と思っています。
これまで、モノだけが消費されていたところから、作るところから一緒に楽しむ
というところで、色んな商品のニーズが広がりました。
手作りの加工食品なども、どんどん出るようになって、色々ニーズが多様化
したのかなと思っています。
教授は、この小さな農業が生み出す新しい価値を、どう考えていますか?
食は、効率だけを追求すると、安いだけで美味しくなくなってしまいますよね?
やはり食の価値は、多様な豊かさにあると言って良いと思います。
例えば、農作物の調理の仕方まで踏み込んで、魅力を届ける。
先ほど、すごく良い例があったと思います。
トマト1つとっても、甘くない、でも酸っぱかったら肉料理に合うかも知れない。
冷夏でスイカが甘くなくても、フレンチでジュレにすると美味しいなど。
こういった、今、モノを得るという時代から、体験価値を提供して付加価値を
作るという時代になっています。 この小規模だからこそ生み出す事ができる。
こういう価値というのは、経済の面でも可能性になるかなと思います。
あとは、野菜をもらって、農家の方々とコミュニケーションするという体験もあり
ましたが、これも美味しいとか、健康だけではなく、食べるという事を通して
誰が豊かになり、どんな未来を作るのか? こういうつながりを生んでいます。
これは、SDGs(国連の持続可能な開発目標)という観点からも重要ですし、
関わる人たちが互いに共鳴する事で家族農業、消費者に直販する事業を
経営している社長たちが引っ張る、家族農業が豊かさを開いて行くという
意味でも重要だと感じました。
可能性の部分を見て来たのですが、日本の農業は、決して楽観視できる
状況ではないのです。
こちら、農林水産省の調べによると、農業就業人口は、30年前に比べて
168万人と、3分の1になりました。 耕作放棄地は、倍増しています。
そして食料自給率は、38%に低下、まさに厳しい状況に置かれています。
農業就業人口 … 482万人(1990年) / 168万人(最新の調査)
耕作放棄地 … 21.7万ha(1990年) / 42.3ha(最新の調査)
食料自給率 … 48%(1990年) / 38%(最新の調査)
こうした状況を変えるための鍵と見られているのが、今回、紹介した小さな
農業の担い手たちなのです。
まだ、全体としては割合は小さいのですが、新規就農者の割合は、年間で
毎年5万人程度と、新しく農業をやりたいという人も出て来ているのです。
更にコロナ禍で、一部の地域では、就農についての相談も増えています。
(自然災害・天候不順や盗難といった大きなリスクが発生する場合もある)
この小さな農業が元気になる事が、厳しいと言われて来た日本の農業を
再生する鍵に、本当のなるのでしょうか?
消費者側の意識も、凄く変わって来ているというのが大きいと思っています。
直接、生産者とつながってフィードバックが出来たりとか、一方で、生産者も
フィードバックを直接、消費者の方から頂けるようになった。
すると、これまで言われて作っていたものが、こういう意見があるから自分の
野菜は、もう少し作付面積を増やしてみようという気力が生まれる。
マーケットインの発想を持って生産が出来るようになったというのは、すごい
大きな変化かなと思っています。
それで元気になって行きますか?
今までのやり方では、ありがとうの声も聞けなかったので、やはり声が聞ける
事でやり甲斐にもつながりますし、農家も、すごい元気になっていく。
単純に得るのではなく、コミュニケーションを楽しむというのが生まれているの
かなと思います。
農家も、新しい価値が、まさに生まれているなと感じたのですが、取材した
東京の農家の30代の夫婦たちは、お金だけではない新しい豊かさを、本当に
大切にしているなと感じました。 例えば、満員電車に乗らない。
勤務や通勤など、時間に追われ過ぎず、会社という組織に縛られない。
自分で採った野菜を、夜、家族と一緒に、ゆっくり食べる。
家事や育児などを夫婦で共に取り組み、地域と共に皆で助け合って行く。
あとは、自然と調和した仕事をしたり、仕事と休暇をバランス良く両立させる。
つまり、仕事と個人の生活の両方を充実させ、豊かな人生を目指す!
そういった事を、本当に心から楽しんでいました。
まさに、小さな農業で、新しい価値観が生まれているなと感じました。