FC2トラックバックテーマ:「ついつい気になってしまう他人の行動は?」日本の格差問題を、40年にわたって見つめて来た社会学者は、言う。
“これまで歴史を振り返ると、非正規労働者が急速に増加した時期というのが
3つありました”
“1つが、オイルショックによって、高度経済成長が終わった時ですね”
“この時に、企業は正規労働者を減らす方向に、大きくカジを切ったわけです”
大蔵省出身の異端の経済学者は、言う。
“他に色んな要素が重なっていますが最後の切欠を作ったのがオイルショック
ですよね”
“いわゆる循環的な安定した持続可能な経済から、高度成長という…”
“それぞれの経済にとって、1度きりのボーナス。 近代資本主義の中での
1度きりのボーナスを得ていた時期が終わったという事の象徴”
イギリスの中央銀行で、金融政策委員も務める経済学者が、分析する。
“1970年代の変化を、私は、こう見ています”
“世界がアメリカに追いつく過程と、オイルショックが混ざり合ったものだと”
“アメリカは、当時すでに最大の経済大国で、経済成長への道筋を示して
くれていました。 つまり、アメリカを真似すれば良かったのです”
“ヘンリー・フォード等のアメリカの先駆者に習い、技術を導入して大量生産を
推し進めれば良かった。多くの国がアメリカに追いつくために、やった事です”
“それを中断させたのが、70年代のスタグフレーション(インフレ+不況)”
“そして、同時期に起きたオイルショックでした”
“これによって多くの国々では、労働による富から資本による富へ、大転換が
起きたように感じられたのです”
大蔵省出身の異端の経済学者は、言う。
“無限に右上がりの高度成長が続くというのは無限に生産資源を投入できる
という前提なのです”
“今までより、より多く働けば、よく多くのモノが得られるという”
“ところがこれ制約条件があって、労働と資本ですけど、この場合は原材料が
頭打ちになったわけですね”
“サプライショックが生まれて、無限に生産して、拡大できる事が、できないと
いう事が、あからさまになった。 これは、まぁ、行き詰まる”
日本の格差問題を、40年にわたって見つめて来た社会学者は、言う。
“全ての人が得をする形の拡大というのは、難しくなるわけですね”
“一部の人々を犠牲にして、他の人々が豊かな生活をする”
“あるいは、一部の人々を犠牲にして、経済成長を実現するという、こういう
考え方になります。 私は、これは幻想だと思います”
“一部の人々を貧困に陥れて、他方で経済成長が達成できるというのは、
私は幻想だと思います”
高度成長という祭りが終わった後も、成長を目指し続けた私たち。
工業化の時代が一区切りついた後も、環境の変化に気付かずに走り続けて
しまったのか? 昨日より今日。 今日より明日。
求め続けた私たちは、時代の波に、のみ込まれて行く事になる。
この時期を境に、アメリカ経済の生産性は、大きく停滞。
更に、先進諸国の長期金利、いわば、経済の基礎体温も、この時から減少の
兆しを見せ始めた。 符合するデータは、何を意味するのか…?
コロナの時代、資本主義のニューノーマルをめぐって、謎解きの旅は続く…。
フランスの歴史人口学者は、言う。
“全てを資本主義という言葉で表すべきか?私は、難しく感じています”
“資本主義に対立する概念としての、何か?は、もはや存在しない”
“共産主義は、破綻してしまったわけですし、今や多種多様な、バラエティーに
富む資本主義が存在しているわけです”
マイクロソフトに所属しながらテクノロジー研究者は、言う。
“政府のグーグルに対する提訴は、評価すべきだと思います”
(2020年10月グーグル提訴/反トラスト法違反の疑い Byアメリカ司法省)
“企業の解体を目指すのではなく、顧客や社会の利益をもっと重んじるように
させるのです”
“グーグルをバラバラにさせる案よりも、プレッシャーをかける方が良い”
“もっと広く国民の信頼を得られるような、良いソリューションを探るべきです”
“業界内に、王様は要らないという意見もありますが、だからといって、王様を
殺す事には賛成しません”
“権力が集中した巨大企業には、それに見合った奉仕をしてもらう”
“つまり、ユーザーやサプライヤーに対して民主的な責任を果たしてもらうのが
ベストな解決策だと思います。 本当の意味での説明責任です”
“ユーザーが声を挙げ、投票などの手段で、企業をコントロールできるように
すべきです”
かつてインド出身のウォールストリートのアナリストが、資本主義の未来像に
一石を投じた。 “私は、禅の思想に惹かれている”
“どういう意味かと言うと、投資においても、人生においても、精神状態を安定
させる事が大事だと思う”
“この世に永遠のモノなど何もない。 この掟を、いつも心に留めているよ”
イギリスの中央銀行で金融政策委員も務める経済学者は、言う。
“禅資本主義… 面白いですね。 ソ連が衰退し、資本主義が勝利した事で、
ヨーロッパでは多くの議論が交わされました”
“その議論には、重要な点が欠けていました”
“資本主義に、さまざまな種類があるという点です”
“資本主義の勝利などよりも重要だったのは、数ある資本主義で、良いものは
どれ?という事。資本主義の多様なあり方について、話すべきだったのです”
“例えば、ノルウェー・スウェーデン型… 福祉制度が、とても発達しています”
“もう1方には、アメリカ型… し烈な競争と最低限の福祉ですね”
“その間で、禅資本主義を求めて、多くの国々がさまよっているのでしょう”
個人・企業・国家。 資本主義の主人公は、誰なのか?
市場とは、何なのか? 追いかけるほどに、分からなくなる…。
でも、そもそも、市場が誕生する以前にも、価値の交換は、あったはず。
社会は、あったはずだ。
近年、注目を集める、トルコ出身の気鋭の理論経済学者は、言う。
“10代の頃、私を突き動かしていたは、本当に興味深い疑問でした”
“民主主義は、どのように始まったのか? 経済学の起源は?”
“経済発展の意味とは? 真に野心的で、大きな謎に挑んでこそ、多様で
刺激的な考え方を生み出す事ができる”
“ポランニーは、私が、その熱意に感服する偉大な思想家の1人です”
“彼の全てに同意はしませんが、彼が示した最も重要な教え、市場は社会に
埋め込まれているは、今も私たちに突き付けられています”
ハンガリー生まれの奇才 カール・ポランニー (1886-1964) 。
原初の経済、社会や文化の在り方まで視野に入れ思索を続けた経済人類学
の巨人だ。
もともと、共同体を形づくる関係性の1つの要素でしかなかった、経済。
それが、社会関係から一人歩きする事を、厳しい言葉で批判した。
‘市場が社会から切り離される時、全ては市場の要求に従属する事になる’
‘市場は、悪魔の挽き臼となり、社会は使い潰される’
例えば、労働・土地・貨幣。 これらを、市場の論理のみで商品とする時、
悪魔の挽き臼となった市場が、社会をすり潰す。
市場と社会の関係は逆転する。 “市場を動かしているのは、私たちです”
“他者との関わりの中で、市場を動かしています”
“確かに、問題解決のために、市場は役立つ”
“しかし、市場は単なる工学的な手段ではありません”
“社会的不平等や権力の観点などの問題を無視せず市場は常に解決すべき
社会の問題とともにある事が重要です” ポランニーは、こうも言った。
‘資本主義の問題と映るのは、産業文明という、はるかに巨大な問題だ’
資本主義を、文明の問題として理解する時、市場の論理は後ずさりし、多様な
社会像が立ち現れる。
そもそも、グローバルスタンダードなど、ないのだとしたら、挽き臼を止める
鍵は、どこにある?