最近は、研修生に向けて、採用説明会を開かせて欲しいという、企業からの
申し込みが相次いでいます。
この日も、IT系の中小企業の社長が、やって来ました。
IT企業の経営者は、言う。
“気持ちをくむという事を得意とした営業の方を探しています”
“地頭のいい、ガッツのある方がいたら、ハッピーだと思って…”
“私も、こんなに質問頂く事は普段ないですから、逆にビックリしました”
研修に参加し、さらに意欲を上げる若者たち。
この1年間で、100人近くが採用されています。
さらに、これまで敬遠されがちだった他の人材にも、注目が集まっています。
大学卒業後、すぐに仕事を辞めた第2新卒や、仕事に就けなかった既卒の
若者です。
常に、1200の企業から求人があるという、こちらの人材紹介会社。
若者たち1人1人と、じっくりと面接し、どんな仕事が向いているか、適性を
見極めます。
利用者は、言う。
“こういう考え方、こういう気持ちで臨んだ方が良いと、すごい教えてくれる”
“自分に、もっとスキル付くと思えるようになった”
こうした取り組みの結果、次々と就職が決まり、定着率(1年以上)も、9割を
超えるといいます。
1年前に千葉の建設会社を紹介され、就職を決めた第2新卒の28歳の男性。
担当業務は、送電や通信のための鉄塔の設計。
大学の専門とは、全く違う分野です。
大学卒業後、1度は就職したものの、過労で倒れ、半年余りで退職したと
いいます。
その後は、なかなか仕事が決まらず、気持ちが落ち込んでいました。
再び正社員として働く事を諦めかけていましたが…。
第2新卒の28歳の男性は、言う。
“(面接で)来なさい、と話しを頂いたので、その時は嬉しくて…”
“こんな条件で、正社員として採用して頂けるのが、本当に驚きでした”
会社の社長は、第2新卒のような人材に対して、以前はマイナスの先入観が
ありましたが、採用してみて考えを改めました。
この会社、エンジニアリングの社長は、言う。
“周りの人から、自分自身は挫折したみたいな、マイナスなイメージで言われ
ている背景もありますけど、逆に、それをバネにして業務に取り組んだ”
“1人でも2人でも採用すれば、その方々にとっても、会社にとっても、プラスに
なるのではないかと思った”
学歴や新卒一括採用にこだわって来た、これ迄の企業の価値観が変わって
来ているという事なのか。
じつは、2013年度卒の新卒採用から、経団連が、卒業しても3年以内の人は
新卒採用と一緒に採用するように、指針として出したのである。
そこから、だんだん年齢に対する感覚が、企業としても受け入れられるように
なったといわれている。
そこに、この人手不足・売り手市場は繋がり、より、第2新卒や既卒でも採用
する動きになっている。
第2新卒や既卒など、離職経験のある人は、その後、定着して行けるもの
なのか?
そこが、1番、採用する企業側の不安要素ではあるが、1度失敗している
その人の経験値が、逆に、それが採用の決め手にもなっている。
さまざまな人材を正社員に登用して行く流れがある一方で、業種によっては
まだまだ非正規雇用によって事業が支えらているという現実もある。
5年前の法改正で契約社員などの非正規で5年勤めると、無期雇用の権利を
得られるという、無期転換5年ルール。
これに該当する人たちが、2018年4月から出て来ます。
正社員化を推し進めると期待する声もあるが、製造業の一部などでは期限が
迫ったパートや契約社員を1度雇い止めにして、半年間の空白期間を挟んで
再び有期雇用する。
つまり、非正規の形で雇い直すという実態がある事が分かり、国も調査に
乗り出しています。
非正規として、固定化されている人たちもいる。
また正社員になれなかった現在40歳前後の就職氷河期世代の人達もいる。
こういった人たちも、再チャレンジ出来る状況なのか?
以前なら、経験が無いというだけで門前払いしていたケースでも、人材を
個別に見て採用しようという企業が増えている。
ただ、正社員になると責任が重くなるなど、責任を受け入れられるかどうか、
労働者側としては、かなり重要なポイントとなる。
実際のところ、責任が重たいから、非正規のままが良いという人も多い。
そういった人たちを活用しようという企業があるのも、事実である。
大手銀行は、将来、AIの導入で、大幅に人員削減をすると試算している。
AIの導入で、将来、仕事の在り方は、どのようになるのか?
いろいろなところで、その様に言われているが、そもそも労働力人口が減って
行くので、AIやロボットが補うという形が増えると予測されている。
ただAIやロボットが出来ない仕事は人手に頼るしかないので、今後も多様な
人材を活かして、会社に行きたいと思わせるような経営をして行かないと
人手確保が、より難しくなるだろう。
カギは、多様性のある働き方。
人材を求める側、職を求める側、それぞれ、どう考えて行けば良いのか?
企業の採用や雇用は、今後も続く。
そのため企業としては使い捨てやワンマンよりも社員を会社の資産ととらえ、
いかに永く勤めてもらえるか、多様な働き方の模索が求められている。
また求職者である将来の社員も、自分も会社を作る一員として当事者意識を
持って取り組む事が望まれている。
この正社員化の動き好景気や人手不足の中で一時的なもので終わるのか?
それとも、これを機会に働く人を大切にして、働き方の選択肢も広がることに
なって行くのか?
今後の動きに注目です。
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