FC2トラックバックテーマ:「「あの頃は若かったなー」と今思い出すと恥ずかしいエピソード」人類は、地球についての知識や通信手段を求めて、何千もの人工衛星を
宇宙へと打ち上げて来ました。
“人工衛星は、今や、私たちの生活に不可欠です”
しかし、衛星が打ち上げられる度に、宇宙ゴミ・スペース・デブリが捨てられて
行きます。 宇宙探査が始まって以来、ゴミは増え続け、事態は制御不能に
なりつつあります。
飛び回る破片は、人工衛星や、未来のミッションへの脅威となります。
“増えるペースが、消えるペースを超えています”
“地球の周りはガラクタだらけになり、衛星を使えなくなるでしょう”
宇宙への夢を、悪夢へと変えないために、宇宙の掃除を始めなければ、なり
ません。 手遅れになる前に!
1950年代の終わりから、人類は数多くの人工衛星を、宇宙空間に打ち上げて
来ました。
ロケットが衛星を軌道上に打ち上げ、衛星は、楕円の軌道を周回します。
猛スピードで地球を回りながら、衛星は、さまざまな任務を果たします。
例えば、気象の観測。 電話やテレビなどの信号を中継リレー。
軍事衛星の場合は、スパイ活動。 故障や電源が切れる事もあります。
すると衛星は、ただのガラクタとなり、地球の上を猛スピードで回り続けます。
速度は、時速2万7000キロを超えます。
他の物体と衝突すれば、何千ものデブリを生み出します。
1センチか、それ以上の破片は、すでに100万個ほど見つかっています。
世界初の人工衛星は東西冷戦のさなか1957年にソビエト連邦が打ち上げた
スプートニクです。 1960年代にはアメリカがアポロ計画に乗り出し、ソビエトと
競争を繰り広げました。
当時は誰1人、宇宙空間に残されるデブリや汚染の問題を考えませんでした。
しかし、ソビエトが1967年から20年余りにわたって打ち上げたスパイ衛星には
原子炉を搭載したものがありました。
その衛星(コスモス954号)が、機能不全に陥った事があるのです。
1977年9月、アメリカのレーダーが、ソビエトのコスモス954号の異常な動きを
捉えました。 宇宙時代における、初めての核汚染の危機でした。
1978年1月、アメリカは、ソビエト側に接触を図ります。
2日後、ソビエトは、衛星が制御不能になった事を認めました。
コスモス954号は、やがて落下し、カナダ北部一円に、放射性物質を、まき
散らしたのです。
ニュースは駆け巡り、宇宙ゴミが、地球に暮らす一般市民にとっても、脅威と
なる事が明らかになりました。
しかし、事故がなくても、衛星の打ち上げ自体が、宇宙ゴミを生み出します。
ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の博士は、打ち上げが発生させるデブリを分析して
います。
“衛星を打ち上げる際、第1段ロケットは、10キロの高度にまで上昇した後に
海へと落下します”
“最終段階のロケットは、衛星を地球の軌道に運んだ後、そのまま軌道上に
とどまって、宇宙ゴミとなってしまうのです”
ロケットの燃料タンクなどは、軌道に取り残される造りになっています。
宇宙科学者は、デブリの現状と、今後について分析しています。
“人は、宇宙空間に多くの物体を送り込み、使い終わったものを、そのまま
放置して来ました。低い高度にあるものが、まれに、ゆっくり落ちて来るだけで
問題はないと考えたからです”
低い軌道を、時速3万キロ近い速さで回っている宇宙ゴミは、大気の抵抗で
徐々に速度を弱め、地球に落ちる頃にはバラバラになります。
日中は、ほとんど見えませんが、夜にはデブリが燃えるのが、流れ星のように
見える事があります。
問題が起きるのは、大気中で、完全に燃え尽きなかった時です。
1997年、デルタ2ロケットの重さ250キロの燃料タンクが、テキサス州に落下。
2001年、デルタ2の部品が、サウジアラビアの首都、リヤド近郊に落下。
2011年には、ソユーズの一部が、カリブ海の島に。
2013年には、テキサス州の民家の庭に、ロケットの残骸が落ちています。
今の所、死者は出ていませんが、それも時間の問題かも知れません。
2016年にはアメリカの民間企業が打ち上げたロケットの部品がインドネシアで
建物を破壊しました。
研究者達は宇宙ゴミのリストを作って分類し、危険性の評価を行っています。
“軌道上にある、1万から2万個のデブリの評価を行いました”
“この中で将来、地球の大気圏に突入するものは僅かです”
“大半は、落下させる力が働かず、宇宙空間に、とどまります”
フランス国立宇宙研究センターの博士は、言う。
“全ての衛星と宇宙ゴミを合わせると7500トン。 エッフェル塔と同じくらいです”
広大な宇宙で、チリほどの大きさのデブリが、雲のように地球の周りを覆って
いるのです。
こうしたグラフィックスでは、物体を拡大して描きますが、実際には、もっと
小さいものです。
地球の周囲は、稼働中の衛星を、浮遊する宇宙ゴミが取り囲んでいます。
そこには意外にも秩序があります。人工衛星は3つの異なる軌道を使います。
地球から最も遠いのが静止軌道。 赤道の3万6000キロメートル上空にあり、
地球の自転と同じ周期で回ります。
静止軌道を周回する衛星は、赤道上からは、常に同じ場所にあるように見え
ます。 電話・テレビ・インターネット通信などに使われています。
衛星同士の間隔は、平均して60キロメートル。
衛星は、運用が終了すると、その場を、どかなければなりません。
残しておいた燃料を使って、軌道から外れます。
行き先は、静止軌道の更に外側です。
地球から遠ざかる事で、邪魔にならないようにするのです。
静止軌道の下にあるのが、中軌道です。
高度3万6000キロから2000キロの間の広大な領域でGPS等のナビゲーション
衛星が占めています。 この軌道上で故障した場合は、他の衛星の活動を
妨げない空間へと送られます。
地球に最も近いのが低軌道。 高度は2000キロメートル以下です。
低軌道は、過去60年の宇宙開発によって、最も多くのデブリが残された場所
です。 ここでゴミを一掃する唯一の手段は、落下させて、地球の大気中に
送り込む事です。
“南太平洋など、リスクの少ない場所を選んで、大きなデブリを地球に落下
させようとしています”
しかし一部の衛星は、コントロールできない状態に陥る事があります。
衛星のオペレーターは、故障の原因を公表したがらないものですが、その多くは
自然現象の影響によるものです。
“分析すると、例えば、太陽フレアが原因だったりします”
太陽フレアとは、太陽の表面で起こる爆発です。
大規模なものが発生すると、電磁波や放射線が、宇宙空間に放出されます。
その一部は、地球にも向かいますが、地球の磁場によって防がれます。
その現象が、目に見える形で現れたのが、オーロラです。