FC2トラックバックテーマ:「「あの頃は若かったなー」と今思い出すと恥ずかしいエピソード」人類は、地球についての知識や通信手段を求めて、何千もの人工衛星を
宇宙へと打ち上げて来ました。
“人工衛星は、今や、私たちの生活に不可欠です”
しかし、衛星が打ち上げられる度に、宇宙ゴミ・スペース・デブリが捨てられて
行きます。 宇宙探査が始まって以来、ゴミは増え続け、事態は制御不能に
なりつつあります。
飛び回る破片は、人工衛星や、未来のミッションへの脅威となります。
“増えるペースが、消えるペースを超えています”
“地球の周りはガラクタだらけになり、衛星を使えなくなるでしょう”
宇宙への夢を、悪夢へと変えないために、宇宙の掃除を始めなければ、なり
ません。 手遅れになる前に!
2014年には、飛び交う宇宙ゴミの間を、5回も、すり抜けました。
こうした脅威は、もはや宇宙飛行士たちの日常の一部です。
ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の宇宙飛行士は、言う。
“宇宙ゴミ接近の情報が入りました。 機器が警報を鳴らしています”
“回避するため、ISSを、高度が異なる軌道に移動させます”
“37秒間、エンジンを稼働します。 重力を感じられる貴重な機会です”
“体が、進路の後方に押されます。 では、やってみましょう!”
“ほら、ボールが動き出したぞ! どれも同じスピードだ”
宇宙ゴミの接近についての情報は、常に正確であるとは限りません。
緊急時には、宇宙飛行士たちは避難用モジュールに乗り移り、ISSを脱出し、
地球に戻る事になっています。 しかし、毎回、脱出が必要とは限りません。
そもそも、10センチ以下の小さいデブリは、検出されないのです。
今ではレーダーでも追跡できない小さなゴミが、何百万個も存在しています。
人工衛星や宇宙ステーションを、より強固な素材で守る事が必要です。
ドイツの研究機関では、スペースガンと呼ばれる、超高速加速装置を使って、
素材開発を進めています。
スペースガンは、実験用の素材に、小さな金属弾を撃ち込みます。
宇宙の代わりに密閉した空間を作り、軽量のガスで満たします。
その中で金属弾を宇宙ゴミと同じ、時速2万9000キロの速度で飛ばすのです。
超高速での衝突で起こる事は地上での自動車事故等とは大きく異なります。
自動車が時速50キロでぶつかると車体は変形し金属の破片が飛び散ります。
しかし、時速1万キロメートル以上の超高速の衝突で起こる事は、それだけに
とどまりません。
フラウンホーファー研究機構の博士は、言う。 “超高速の衝突を受けると、
飛び散った粒子が更に砕け、一部は気化し、イオン化します”
“それ以外の部分も、衝撃波から巨大な圧力を受けるでしょう”
超高速で飛ぶ直径1ミリの弾は、時速100キロの野球ボールより、破壊力が
あるのです。
強化扉を閉め、100万分の1秒を捉える高速カメラで衝突の瞬間を記録します。
安全のため、スペースガンを発射する際は、全員、部屋を離れます。
さまざまな素材を試験し、結果を分析します。
“私たちは、国際宇宙ステーションの外壁に仕える素材を研究しています”
“人工衛星のタンクや、太陽電池についても、試験を行っています”
超スローモーションの映像を観察して、衝突時の現象をモデル化し、より軽くて
頑丈な素材の開発に生かしています。
実験を重ねた結果、直径10センチ以下の宇宙ゴミの衝突には、2層または
3層の構造で守るのが有効だと分かって来ました。
第1の層でゴミを砕き、第2の層でエネルギーを吸収し、第3の層を防御します。
この実験は、小さな宇宙ゴミに耐えられる人工衛星の設計に役立っています。
しかし今でも、船外活動中の宇宙飛行士を、レーダーでも捉えられない小さな
ゴミから守る方法は、ありません。
彼らは常に、超高速のデブリの危険に、身をさらしている状態なのです。
何かが、ほんの少し、かすっただけでも宇宙服に穴が開き、即死です。
リスクを案じるNASAは、人間の代わりに船外でメンテナンス作業を行える
ロボットの開発を進めています。
しかしロボットでさえ、デブリとの衝突に耐えるには限界があります。
世界各国は、宇宙ゴミの増加を防ぐため、核兵器不拡散条約をモデルとした
ルール作りに取り組み始めました。
衛星が積んでいる燃料を、全て使い切る事を事業者に求める。
全てのロケットは、余分な燃料を残さないシステムを装備し、毎回、打ち上げ
前に作動テストを行う。 衛星が軌道を周回する期間は、最長25年とする。
大気圏への突入で燃え尽きないものは、広い海に落ちるよう誘導する。
しかし、こうしたルールが、常に守られるとは限りません。
違反を取り締まる仕組みが、ないからです。
本当の解決策は、ただ1つ、宇宙ゴミを片付ける事です。
NASAの研究者は言う。 “軌道に残ったデブリを、回収する必要があります”
環境問題における、汚染者負担の原則に基づき、各国は、自国が出した宇宙
ゴミを片付ける資金を出す事を求められています。
2013年以降、宇宙ゴミの回収を専門に扱う分野も広がっています。
ロボットを使ってデブリを焼却場、つまり、大気圏に放り込むのです。
しかしそれは、困難な仕事です。
宇宙ゴミは、小惑星のように回転しながら、移動し続けているからです。
各国の研究機関が、宇宙ゴミを捕獲するロボットの開発に取り組んでいます。
イギリスのサリー宇宙センターが進めているプロジェクトも、その1つです。
“私たちが開発したのは、銛(もり)ハープーンです”
ハープーンをデブリに突き刺し、大気圏まで引っ張って来るという構想です。
“今、私たちは、ハープーンが標的に命中した時の衝撃の伝わり方を試験して
います” 実験では、小さな銛を、動かない的に向けて飛ばします。
1回目… 失敗です。 ハープーンが発射しません。 やり直しです。
“狙った場所に、正確に当たるといいのですが…”
これも失敗。 銛が、標的の真ん中に当たりませんでした。
しかし、地球よりも宇宙での方が、ゴミを捕まえやすいかも知れません。
“宇宙空間は重力がないため、ハープーンは、より正確に、一直線に飛ぶ
はずです” チームは、着実に改良を進めています。
実寸大の銛を使った宇宙でのテストが、2020年に行われる予定です。
他にも、開発中のシステムがあります。
南アフリカ国立宇宙機関は、独自の技術を開発し、商品化につなげる事を
目指しています。
メドゥーサは、小型の衛星に折り畳み式のアームを装着し、デブリを捕まえる
という計画です。 ケープタウン大学の教授は、言う。
“メドゥーサは、宇宙ゴミをつかんで、必要な場所まで引っ張ります”
“軌道の外に運んだり、大気圏の高度まで引き下ろして放り込み、そこで燃え
尽きるようにします”
このシステムが有利なのは、宇宙ステーションから直接、発射できる事です。
“メドゥーサの重さは、僅か175グラムです”
“キューブサットと呼ばれる、小型衛星に搭載できるサイズです”
キューブサットは、一辺の長さが、10センチほどの小さな多目的衛星です。
1度に何基もまとめて打ち上げる事が出来るので、コストがかかりません。