中古品アプリで、消費が激変?
20代の女性が来ているコートは、割安の中古品です。
中古品のコートを購入した女性は、言う。
“やっぱり、若いとお金が無いから、安く、カワイイ服を買いたい時とか…”
中古品ブームをけん引するのは、スマホのアプリです。
若者を中心に、消費の形が大きく変化しています。
“毎日、またそれ着てるの?と、思われるのがイヤで、レンタル感覚ですね”
フリーマーケットの様に、個人と個人が直接モノを売り買い出来るこのアプリ。
売りに出すのも簡単です。
1日100万点が出品され、なんと半数が24時間以内に売れて行くそうな…。
アプリが火を付けた中古品市場の盛況に、ヤフーや楽天も、次々と新たな
サービスを打ち出しています。
中には、中古品にひと手間をかけ、価値を高めようとする企業も…。
ところどころ色が褪せ、一見、無価値な、このジャケット。
黒く染め上げると… まるで新品に! 高いモノは5千円で売れるといいます。
染色会社の社長は、言う。
“価値が無いモノから、付加価値の高い商品に変身して販売できる”
“宝の山ですね”
売り手も買い手も、新品より中古品?
モノが循環する新たな経済は、日本を変えるのでしょうか?
中古品アプリをよく利用する主婦。
この日は、衣替えで不要になった家族の洋服やクツなど、合わせて12点を
アプリを使って出品する事にしました。
主婦は、言う。
“これは多分、(夫が)息子に買ったんだと思うんですよね”
“一向に履かなくて、ずっとしまいっぱなしだったので、さっさと出品しようと
思って…”
アプリでは、こんなモノも商品になります。
子供が書き込んだ、使用済みの問題集です。
“使ってあっても、売れるんです”
“赤ペンで書き込んであると、リサイクルショップでは買い取ってもらえないん
ですよ”
“でもフリマアプリを使えば、別に書き込んであっても平気という人がいっぱい
いるから売れます”
使い方は、いたって簡単! スマホやタブレットで売るモノを撮影。
そして、商品の情報を入力します。 後は、売値を自分で決めるだけ!
3分ほどで、出品完了です。 出品してから1時間半後…。
“子供の問題集が、購入されましたね”
“出品して、2時間かからず、売れたって事ですね”
690円で出品した子供の問題集が、希望通りの値段で売れました。
後は、コンビニなどから発送。 匿名で送る事もできます。
主婦は、もともとネットオークションを利用して、中古品の売り買いをして来ま
した。
複数の人が競り合うネットオークションでは、売買成立までに時間がかかり
ます。
一方、フリマアプリでは、売り手と買い手、1対1の関係で値段が決まるため
時間が節約できます。
捨てていたモノを再利用でき、ちょっとしたお金も稼ぐ事ができる。
いまやアプリは、主婦のお気に入りです。
主婦は、言う。
“これだけ簡単に取り引きが出来るサービスが出来ているので、負担になら
なくて続けられるから、より要らないモノを出せるようになる”
個人同士の中古品売買で、ブームを巻き起こりたフリマアプリ。
次々と新たな機能を打ち出しています。 その1つが、ライブ配信。
相手とリアルタイムで売り買いのやりとりが楽しめる機能で、人気を集めてい
ます。
子供用のズボンに100円の値を付けた女性。 すぐに買い手がつきました。
似たようなフリマアプリが次々と登場し、中古品市場は活況!
市場規模は、1兆6,517億円を超え、5年で3割も増加です。
フリマアプリの執行役員は、言う。
“今までは、仕方なく中古品を買うという世界だったと思うんですけど、今は
中古品を買う事の方が賢いとか、スマートであるという価値観に、どんどん
変わって来ているように思う”
中古品の売買が手軽に出来る様になった事で買う側の意識も大きく変わって
います。
都内に住む大学院生の女性は、ファッション通販サイトの中古品サイトを頻繁
に利用しています。
女性の押し入れの中を見せてもらうと…。
“これが新品で、これが中古、中古… 半分ぐらいは中古ですね”
“これも2千円ぐらいで、これも3千円ぐらい…”
“新品だったら、どっちとも1万円ぐらいすると思う…”
女性が中古品を好んで買うのは、安いからだけではありません。
もう1つの理由とは?
“フェイスブックに載るようなイベントの日って、あるじゃないですか”
“友達と集まって、写真撮って、フェイスブックにあげるなとか”
“1番のお気に入り着るじゃないですか”
“そうすると、毎回フェイスブックにあがる写真が同じ服になるから、それは
イヤなので、みんな話しますよ”
“この前、この服で出ちゃったから、次は、あの服で出られないと気にしている
子は、いっぱいいる”
写真に写る度に、違うファッションをしたい。
一見、贅沢な願望も、安く、気軽に買える中古品なら実現可能なんですね。
中古品なので、手放すのも簡単!
数回着て飽きたら、まとめて、中古品を扱うサイトに売りに出します。
中古品の売買で、普段から節約を心掛けている、大学院生の女性。
この日、届いたのは、自分へのご褒美として買った、新品のハイヒールです。
新品であっても、中古であっても、1シーズン着続けるモノは、ほんの数点。
それ以外は次々と売って、またモノを買うサイクルが出来ているといいます。
“その時々、必要なモノを買って、要らなくなったら売ってみたいな、ホント
循環…”
“必要なモノを必要な時に持っているという感じですね”
中古品を買う方が賢い、スマートだという声がありましたが、利用者の意識は
どう変わって来ているのか?
まず、1言でいうと、多様化が進んでいるということ。
中古品市場というと、安いというイメージがあるが、安いだけではなく、人それ
ぞれの価値観の違いによって、取り引きが増えているように思う。
また、流行のサイクルが早くなっている事が関係しているのか?
1970年代のヒット商品というと、5割以上が、5年以上続くヒット商品があると
答えた企業が多かった。
ところが、2000年代以降になると、そういったモノが5%ほどしかないのだ。
さらに、1年未満のモノでは2割と、商品サイクルが激しく入れ替わっている。
それだけ魅力的なモノがどんどん出て来ているので、消費者は新しいモノを
買いたいという人がたくさんいる。
でも、今まで持っていたモノで、使えるモノはたくさんあり、それを売りたいと
いう人はたくさんいる。
そこに価値を見い出して、買いたいという人もいる。
そういう動きが、技術の力を借りて、取り引きが増えている。
また、フリマアプリは女性の利用者が多く、特に18~39歳がけん引役になって
いるというデータがある。
フリマアプリは、なぜ、若い人たちが多いのか?
デジタルネイティブという言葉があるが、この世代は、スマホで買い物をする
のが慣れているといわれている。
そしてこの世代は、2000年代にキレイな中古品店が伸びた時代に買い物を
始めた世代でもある。
今までの中古品は古くて汚いというイメージでしかなかったが、そこも抵抗感
少なくなって来ているのも要因だと考えられる。
しかし、中古品の売買について、良い事ばかりではありません。
フリマアプリを通じた個人間の取り引きでは、これまで問題も起きています。
例えば、現金を出品したケース。
クレジットカードで買えば、すぐに現金を手に入れる事が出来るため、高額で
購入する人が相次ぎました。
これは出資法違反になるため、各地で出品者が逮捕されています。
そして昨日は、国内で取り引きが禁止されている絶滅危惧種のはく製が売り
出され、出品者が書類送検された事が明らかになっています。
また、国民生活センターには、未使用と書いてあったのに使った跡が残って
いたとか、実際には違ったモノが届いた等の相談が多数寄せられています。
フリマアプリでは、現金の出品を禁止したほか、盗品の出品など、不正行為が
ないか300人が24時間態勢でサイトをパトロールしています。
さらに今月からは、出品者に対する本人確認を強化するなどの対策を取って
いますが、トラブルを全て防ぐのは難しい状況です。
※フリマアプリで失敗しないために、楽天市場で事前準備をしましょう!