急成長のフリマアプリを迎え撃とうと従来から中古品を取り扱って来た企業が
今、新たなサービスを次々と打ち出しています。
ネットオークション最大手のヤフオクです。 年間の売買額は、約9,000憶円。
フリマアプリが存在感を増す中で、中古品をできるだけ多く確保し、品揃えを
増やしたいと考えいてます。
“これを、いくらで買い取れるかという感覚に、どんどんもっていかないと、
いけないのではないか?”
先月ヤフオクが始めたのは、ブックオフと提携して、商品をその場で買い取る
サービスです。
これまでのオークションでは、売り手が複数の買い手とやりとりをするため
時間がかかっていました。
新たな仕組みでは、ブックオフが買い取る事で、売り手がすぐに現金化できる
ようにしています。
ヤフー側は、商品をより多く確保する事で、オークションを、これまで以上に
活性化できると考えています。
トラブルになりがちな価格の査定でも、工夫をしています。
初心者でも、商品を持ち込みやすいように、あらかじめ目安の価格をネットで
表示し、その数は、家電製品から衣類に至るまで、53万点にのぼります。
実際の買い取りにあたって重視しているのは、不公平感が出ないこと。
そのため、価格の査定基準が、明確に決められています。
査定担当者は、言う。
“人の目で状態を確認させて頂いて、各店のブックオフの蓄積されてできた
データがありますので、そちらを元に、販売価格、買い取り価格を決定して
います”
例えば、このデジタルカメラについては、型番からデータベースを調べると、
目安の価格が表示されます。
後は、箱があるか? 痛みはどれくらいか? など、項目ごとにチェックして、
価格が決まる仕組みです。
ヤフオクのユニットマネージャーは、言う。
“まだまだ、ご家庭に眠っているといった商品がたくさんあると思っているので
そこを掘り起こす事で、モノの量自体は、まだまだ増やす事が出来る”
“しっかり売り手のお客様の満足な価格を提供していきたい”
フリマアプリのブームを受け、店舗型の業者も対抗策を打ち出しています。
中古ブランド品販売の老舗、コメ兵です。
先月、中古ブランド品の売買を仲介するフリマアプリを立ち上げました。
“基本的には個人間のアプリではあるんですけれども、ひとつ違いとしましては
商品の鑑定というものを、弊社の方に依頼して頂く事が可能になる”
武器となるのは、長年の店舗販売で培った、鑑定力です。
売買が成立すると会社は商品を売り手から取り寄せ、本物かどうかを見極め
ます。
問題が無ければ、買い手の元に、商品が届きます。
もし問題があると判断した場合は、売買そのものがキャンセルとなり、商品は
売り手に返品されるという仕組みです。
鑑定担当者は、言う。
“まず、最初は刻印とかですね。 後は縫製とか、基準を満たしているかを
見ていますね”
この会社のアンケートでは、フリマアプリなどで、中古のブランド品を買うことに
不安を感じていると答えた人が、7割にのぼりました。
そこで、この仕組みを導入。 売買額を増やそうとしています。
コメ兵の広報担当者は、言う。
“一般のお客様同士では分かり得ない、鑑定のノウハウを、うちは持って
います”
“ネットの部分でも、おくれを取らない”
“既存で持っておりますリアルな店舗、ネットを問わずにお客様と接点を持てる
軸をたくさん増やして行ければ良いと思っています”
新たなサービスは、他にもあります。
売買の時に、その金額の10%の手数料を取るメルカリに対抗しようと楽天は
販売手数料を無料にしました。
それから、オタク系に特化したフリマアプリで、アニメの商品などが多く出品
されています。
各社、お得感や信頼感、さらに専門性を売りにしています。
一方で、通信アプリ大手のラインは、フリマアプリから、すでに撤退に追い
込まれるなど、競争は激しさを増しています。
企業も、あの手この手で新しいサービスを打ち出しています。
こうしたサービスが充実して、中古品の市場が広がって行く事に、一見、良い
ように思えます。
しかし心配なのは、新しいモノが売れなくなって日本経済が傾いたりはしない
のか?
そこは、あまり心配する必要はないように思えます。
一時的には、確かに、今まで中古品市場のなかった市場に中古品が入って
来ると、その分、新品が売れないという事で、新品市場に打撃を受けます。
一方、新品が売れないと、中古品市場の商品の供給がない状態になる。
ですから車の市場のように、中古車市場が以前からありましたが、新車が
売れて、その下取り価格を考えて中古車市場に車が回って行く。
新車を買う方も、下取り価格を頭に入れて買っているのである。
すると他のモノについても、下取り価格を、これも売れるようになると分かって
来れば、むしろ新品を買いやすくなるという側面もある。
そう考えると、どこかで新品市場と中古品市場の割合のバランスが大切と
なって来る。
必要な時に必要なモノを買い、不要になったら人に譲るというのは、今までの
消費のあり方とは根本的に違って来ている?
ネットで個人で売買出来るようになったため、自分が持っているどんなモノ
にも価値が生まれやすくなっている。
今までは、不要なモノは処分することが多かったが、誰かにとっては価値が
あるという発見が喜び=エコに繋がっている。
経済が不安定な現代では、高度経済成長期のような後先考えずにモノを買う
のではなく、モノを買う時に色々と考えてしまう人が増えたという背景もある。
そのため、現在の若者には、モノへの執着心が薄く、必要最小限のモノで
暮らすミニマリストも多いといわれている。
中古品市場が活況になれば、世の中に不要なモノはなくなるのか?
今までは1人の人がモノを買ったら、それをずっと所有し続け、使われないまま
保管されていただけでした。
しかし、社会全体を見て、それを使いたいという人のところへ流れて行くように
なった。
人やモノが流れるのが経済活性化の基本であるが、中古品市場がそういう
流れであるとすると、より賢い消費者が増えて行くという流れを作っている
ように思う。
中古品を買っては売るという人たちのライフスタイルを見てみると、モノを持つ
というよりも、多くの人と共有しているようにも思える。
フリマアプリの急速な普及は、モノを買う、モノを持つという考え方を大きく
変えつつあるのではないだろうか?
※フリマアプリで失敗しないために、楽天市場で事前準備をしましょう!