世界各国の現金の流通量は、日本20.5%、中国9.7%、アメリカ8.3%、
スウェーデン1.3%です。(名目GDP比 2017年末)
キャッシュレスの進化論は、このようになっているといわれています。
現金 → クレジットカード → 電子マネー → スマホ決済
日本人の多くは、どちらかというと現金思考が強く、キャッシュレスには実感が
持てない人も多いかも知れません。
また、クレジットカードや電子マネーやスマホ決済だと、お金を使い過ぎて
しまう傾向になるため、それが心配で、目に見えて自己管理ができる現金の
方が良いという方も多いのです。
実際、クレジットカード社会のアメリカでは、カードの使い過ぎで自己破産する
人が後を絶たず、社会問題にまでなっているのです。
では、現金を持たないキャッシュレスが進む国では、何が起きているのか?
まずは、中国の驚きの現場を調べてみました。
中国の上海。 市場の店先のあちこちで目に付くのは、QRコードです。
魚屋さんにも、肉やさんにも… 物を買う時には、このQRコードをスマホで
読み込みます。
じつはこれ、お店の口座情報で、金額を打ち込み、送信すれば、支払完了!
慣れれば、ほんの数秒で終わります。
人々が支払いに使うのが、アリペイやウィーチャットペイと呼ばれる、スマホ
決済のサービスです。
2つのサービスの利用者数を合わせると、中国国内で、延べ13億人にのぼり
ます。
周囲の中国人に聞いてみると…。
“現金は持っていません。 このスマホだけです”
“現金だと財布を持たなくてはいけないし、銀行(講座)から下ろさなければ
ならないので不便です”
“それに、お店もお釣りを出すのは面倒でしょ?”
中国では、スマホ決済を使うのは、若者だけではありません。
老夫婦の家に遊びに来た孫へのお小遣いは…?
“お小遣いあげようか?” “うん、欲しい!”
“晩ご飯代もあげたら?” “うん、それも欲しい!”
慣れた手付きでスマホの送信ボタンを押すと、100元(約1700円)が孫に渡り
ました。
老夫婦がスマホ決済を利用するようになったのは、孫に、現金は不便だと
言われた事がキッカケでした。
孫に、スマホの使い方を1から教わって、現在では、毎日のようにスマホで
支払いを行うといいます。
現金で渡せなくて、さみしくないですか?
“さみしくないです。 すごく楽しいし、便利です”
“お互いに便利ですし、孫がありがとうとお礼を言ってくれて嬉しいです”
スマホ決済サービス・アリペイを起ち上げたのは、中国では誰もが知る巨大
企業、インターネット通販の巨人アリババグループです。
中国では、もともと偽札への警戒心が強く、スマホ決済の方が安心できると
この3年ほどで急速に普及しました。
利用者の負担はゼロ。 お店側の手数料も、最大で0.6%という破格の安さが
普及を後押ししました。
サービスを充実させ、次々と利用者を獲得して来た、この会社。
顧客の利用履歴を、ビッグデータとして分析すれば、相手が欲しい商品を
予測し、効果的なマーケティングが可能になるといいます。
スポークスマンは、言う。
“データを分析した結果から得られるのは、ユーザーの人物像です”
“ユーザーの好みや、何を欲しているのかが分かります”
“今は、データの時代になりました”
“データをいかに活用するかを考える事が、企業が利益を上げる事に繋がる
のです”
このサービスには、利用者を夢中にさせる、ある仕組みが組み込まれて
います。
“1・2・3! 僕は638点!あなたは?” “最高得点は?”
飲み会の席で、スマホを見せ合う若者たち。
スマホの画面に表示されているのは、アリペイの利用履歴を元に算出される
点数、ゴマ信用です。
“初めは500点くらいだったけど、使っている内に700点を超えたわ”
利用者に、350点から950点の間で示される、毎月のゴマ信用。
350-549点→劣る 550-599点→普通 600-649点→良好
650-699点→優秀 700-950点→極めて優秀
若者たちの間では点数が高いほどステータスがあるといわれていて、自慢の
材料にもなっています。
点数が高い人は、家賃が割引されたり、ローンの金利が優遇されたりします。
結婚相手を探すサイトにはゴマ信用が表示され、点数が高い男性ほど人気
だというのです。
このゴマ信用が、人々の行動を大きく変えようとしています。
会社員の女性は、優遇措置を得るために、点数を上げたいと考えています。
“アリペイで払って良いですか?” “いいですよ”
アリペイでは、ゴマ信用の算出方法を、詳しくは明らかにしていません。
女性が手掛かりにするのは、アリペイが示す、おおまかな基準で、その1つが
交友関係です。
女性は、友達と積極的にお金のやりとりをすれば、交友関係も高く評価される
のではないか?と、考えました。
そこで、大手企業に勤めている友人と週に3回はお茶をし、なるべくアリペイで
割り勘にし、記録を残す事にしています。
現在ゴマ信用は736点の彼女は、5つある区分の中では最も高いクラスです。
“中国では、ゴマ信用が高いと、快適に生活できます”
“できるだけアリペイで支払いをして、ゴマ信用を上げたいです”
ゴマ信用は、中国の人たちのマナーにまで、影響を与えようとしています。
例えば、アリペイを使って貸し出されるシェア自転車。
駐輪禁止の場所に停めると、ゴマ信用が下がるといわれています。
“白線の内側に駐輪すれば、、ゴマ信用は減点されません”
“日常生活のルールを守る事で、減点を防ぐ事ができます”
便利に買い物が出来るだけでなく、人々のモノの考え方にまで大きな影響を
与え始めたスマホ決済。
運営する会社では、今後、さらにサービスを充実させて行きたいといいます。
スポークスマンは、言う。
“我々が目指す道のりを100とすると、まだ10にも届いていません”
“これから私たちは、ずっと先へ進みます”
まぁ、企業のしたたかな戦略も見えて来ましたし、驚きの現場でしたが、
日本でも、現金がなくなるようになるのでしょうか?
リサーチエコノミストは、言う。
“日本の場合、現金の信頼性が高いので、ある程度はキャッシュレス化が
進むと思いますが、中国ほどに行くには、時間が掛かるでしょう”
“ある一定以上の利用の臨界点を超えると、グッと進む可能性はあります”
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