では、もう1つのキャッシュレス先進国である北欧スウェーデンを調べてみま
した。
かつて、経済を引っ張っていた製造業が衰退して行く中で、キャッシュレスに
よるイノベーションに期待をかけ、新たな産業を育てようと模索しています。
スウェーデンの通貨はクローナですが、ここでも中国同様、現金をほとんど
目にしない社会が実現しているといいます。
周囲のスウェーデン人に聞いてみると…。
“現金は、持っていません。 カードだけです”
“カードやスマホ決済ができない店は余りないので、支払いに困る事はない
です”
流通する現金の割合が、先進国の中で最も少ないスウェーデン。
街中では、現金お断り!を掲げる店が、あちこちで見られるようになりました。
パン屋の店員は、言う。
“支払いは、スウィッシュとカードだけ! 現金は使えません!”
“安全のためです。 強盗が入っても大丈夫ですし、現金は数えるのが手間
なのです”
スウィッシュとは、銀行が開発した、現金を使わない決済システムです。
スマホに電話番号など、支払い先の情報や金額を入力すると、送金は
できます。
スウィッシュは、個人間のお金のやりとりにも使われています。
“ランチを買って来ました。 ダンプリングとパイ、全部で45クローナです”
“スウィッシュで払って良いですか?”
食事代の支払いも、スウィッシュで送金。
買い物をして来た女性の口座に、即座に入金されました。
“この支払いボタンを押して、暗証番号を入れれば、1秒以内で彼女の口座に
入金されます。 とても便利です”
スウィッシュは6年前、複数の銀行が共同で開発し、サービスを始めました。
その理由は、現金を扱うコストを削減するためでした。
スウェーデンの銀行員は、言う。
“現金の取引には、厳重な警備が必要だし、リスクにもなります”
“輸送にもお金がかかるので、現金を取り扱うとコストがかさみます”
この銀行では国内120店舗のうち、3分の2の店舗で入金や引き出しなど、
現金の扱いをやめました。
現在の主な業務は、貯蓄や資産運用の相談です。
銀行が現金を扱わない事には、高齢者を中心に不満の声もありますが、
銀行側は、さらにキャッシュレス化を進めて行きたいとしています。
“高齢の方々にも、定期的に、最新のサービスの説明をしています”
“スウィッシュは、どこの銀行でも、誰に対しても使う事ができます”
“これは誰にとってもメリットがあると思います”
キャッシュレス化の広がりは、スウェーデンの産業に、大きな変化をもたらして
います。
スウェーデンは、かつて、自動車などの製造業が盛んでした。
しかし、リーマンショックのあおりを受け、衰退。
VOLVO(ボルボ) → 2010年に中国企業が買収
SAAB(サーブ) → 2011年に経営破綻
そんな中で始まった、キャッシュレスの動き。
新たなイノベーションを生み出そうとする機運が、国全体で高まっているの
です。
その1つが、ベンチャー企業が開発した、長さ1センチほどのチップです。
親指と人差し指の間(人体の中)に、埋め込みます。
手をかざすだけで認証され、スマホがなくても支払いが出来る仕組みです。
すでに、鉄道の運賃の支払いなどで、3千人以上が利用しています。
このチップを開発したベンチャー企業のCEOは、言う。
“キャッシュレス化が進む、良いタイミングだったから、私たちも、この大きな
時流に乗る事が出来たのだと思います”
合理化に成功した銀行では、新サービスの開発に人材や資金を振り向けて
います。
こちら、バーチャルリアリティーで、住宅の内覧が出来ます。
銀行員が、自ら開発しました。
住宅ローンを借りる顧客からは、好評だといいます。
“銀行には、素晴らしい才能の持ち主がいます”
“アイデアを試すチャンスを与えれば、より良いサービスを提供できる銀行に
なれます”
キャッシュレス社会に詳しい、スウェーデン王立工科大学の准教授は、
キャッシュレス化は、スウェーデン経済を成長させる役割を果たしていると
指摘しています。
“キャッシュレス化で、サービスを開発する新たな会社も出て来て、ベンチャー
企業が誕生し、経済にポジティブな影響を与えます”
“社会にとっても、産業にとっても、現金をなくす事は、大きな変化なのです”
不便な声もありますが、キャッシュレス化が進んでいる、このスウェーデンから
日本は何を学んだら良いのでしょうか?
リサーチエコノミストは、言う。
“まず1つは、日本は世界最速で高齢化しているので、現金が一切使えなく
なるというのはまずいので、そこは配慮が必要です”
“しかし、労働年齢人口が深刻に減少しているので、キャッシュレス化による
省力化と、キャッシュレス化によって新しいビジネスモデルにして行くという
事は非常に重要だと思います”
では、キャッシュレス化が進まない時のデメリットとは何か?
“海外でスタンダードに出来てしまっていたりすると、日本がイノベーションの
中で取り残されるというリスクがあります”
“そのため、技術的には色々あるので、日本でも、ある程度、主導して行ける
よう、上手く使って行くようにするべきでしょう”
クレジットカードや電子マネーも、キャッシュレス化の一部であり、日本でも
馴染みがありますが、中国やスウェーデンのような、現金を必要としない
スマホ決済サービスを普及させる動きが、日本でも徐々に強まっています。
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