キャッシュレスの見える化とは?
冒頭でもお話ししましたが、クレジットカードや電子マネーだけに頼っていると
日本人だけでなく、誰でも使い過ぎてしまう傾向にあるのだそうです。
なぜなら、お金の出入りを自分の目で確認しない為、自分がどれだけお金を
使っているかの把握が出来ないからなのです。
そのため、クレジットカード社会のアメリカのように、使い過ぎて自己破産して
しまう人が多かったのです。
ところが、それは、もう、昔の話し!
ネット社会の現代では、銀行口座、クレジットカード、電子マネーなどバラバラ
に持っているモノを全て1つにまとめて、一括管理することができる家計簿
のようなアプリが、たくさん開発されているのです。
もちろん、スマホを専用のアプリもありますよ!
それを利用すれば、買い物をした瞬時に自動計算され、お金の使い過ぎだけ
ではなく、何に、どれだけ使ったかまで、把握することができるのです。
そう、キャッシュレスを見える化にすれば、使い過ぎを防げるのです。
また、進化した家計簿アプリでは、自分のデータが蓄積され、他の人の家計簿
と比べる事ができるのです。
自分の家計簿を、収入が近い利用者の平均的な家計簿と比較して、自分が
使い過ぎていないかを知る事ができるのです。
つまり、他人と比較する事により競争心が芽生え、頑張ろうとする行動経済学
が応用されているそうです。
現金をなくして、デジタル通貨にすれば、取り引きが全て記録されるので、
脱税や闇取引などを防ぐ事が出来るといわれています。
では、現在の日本の地下経済の規模は、どのくらいあると思いますか?
じつは、ある調査では、50兆円を超えているといわれています。
他の国で、経済規模に対して地下経済が占める割合の推計では、ロシアや
ブラジルが約40%あるといわれています。
どの国でも、地下経済は無視できない存在になっているのです。
これをなくすために、キャッシュレスを進めようとしている国もあるのです。
どうすれば、効率良くできるのか?
日本で、1円玉から1万円札まで、1番多く流通しているお金は、どれだと思い
ますか?
1万円や千円など、お札を崩すと必ずお釣りが出るので、お釣り理論でいくと、
10円玉が1番多いと思うでしょ?
じつは、そうではなく、1万円札なのです!
なぜなら1万円札は、崩すことなく、そのままで移動して行くからなのです。
では、日本で流通しているお金の中で1万円札の比率は、どのくらいだと思い
ますか?
正解は、約89%が1万円札で、流通枚数が約94億枚で、国民1人あたり平均
約74万円が、1万円札で行き渡る事になるそうです。
このように、日本は現金大国なため、いきなりキャッシュレスで、全部、現金を
やめてしまうのは難しいのです。
そこで、経済学者の中には、まずは、現金を少しずつ減らすレスキャッシュと
いう考え方が提案されているのです。
例えば、このレスキャッシュ方式にすると、日本の場合、現金のほとんどが
1万円札なので、まず1万円札からなくしていくのが良いという提案です。
どうして1万円札なのかという、地下経済に流れている現金も、ほとんどが
1万円札だという事で、1万円札をなくせば、脱税等を防ぐ事ができるという
考えです。
ところが、この方法を実践した国が、すでにあるのです。
それはインドで、2016年11月に高額紙幣廃止して、新たな紙幣を導入したの
です。(高額紙幣の1000ルピーは約1600円、500ルピーは約800円)
すると、わずか4時間後に、流通通貨の約86%、200億枚の紙幣が使えなく
なると、人々が銀行に殺到して大混乱に陥ったのです。
なぜ、4時間後だったのか?
それは、地下経済をなくす目的で、一気に紙幣を廃止にしたからです。
つまり、眠っていた現金を、1度、表に出すという作戦だったようです。
地下経済の比率は、かなり高いので、そのくらい荒治療でやらないと変わら
ないと思ったようです。
もう1つ、キャッシュレス化により、経済にもたらす大切な効果とは何か?
それは、貯金に関係することです。
お金を預金すると、現金では得られないもの、利子(金利)です。
例えば、銀行に100万円を預金したとします。
この時の金利が年率1%だとすれば、1年後の貯金は、101万円になります。
1%の金利は、高いか?低いか?
現在の時代背景を考えてみると、とても高いといえます。
そこで、金利が高いと、消費はどうなるか?
使いたいと思うか? 貯めたいと思うか?
置いておくだけで貯まるのなら、置いておきたいと思いますよね?
すると、お金を使わなくなるため、消費も減る事になってしまいます。
結果的にモノが売れなくなるので、景気も悪くなるなります。
という事は、景気を良くするための方法としては、金利を下げる事なのです。
金利が低いと消費者は、お金を貯めるよりは、今、使った方が良いという
考えになるのです。
だから、モノがたくさん売れるようになり、景気が良くなるのです。
景気を良くするための金利の調節は中央銀行である日本銀行が行ないます。
90年代のバブル崩壊以降、日本銀行は金融機関の金利の水準を下げて、
景気を良くしようとして来ました。
昔は1%を超えていた金利も、現在では、0.1%とか0.01%など、ほぼゼロに
近い状態になっています。
ここまで下がって来ると、新たな問題が発生するのです。
それは、銀行に預けないという事です。
金利が、ほぼゼロですから、銀行に預けておいても意味がないと、預金を
下ろし、自宅に置いておくタンス預金が増えるのです。
ある調査によれば、タンス預金は1人あたり平均、約30~50万円くらいです。
じつは、このタンス預金が問題なのです。
なぜなら、タンス預金として個人が持っているお金に、動きはありません。
お金が銀行に預けられることで、資金を必要とする企業などに支給されます。
すると、企業の活動が活発になり、景気が良くなる事に繋がります。
だから、タンス預金が増えると、景気が良くならないのです。
金利がゼロまで下がっても、そこから先が難しいのです。
では、金利を、もっと下げてマイナス金利にすると、どうなるか?
金利が、年率 -1%になると、1年後には、どうなると思いますか?
金利が-1%の場合だと、100万円が、99万円に減ってしまうのです。
それが、2年、3年と経つと、毎年、1万円ずつ減って行くのです。
と、いう事は、金利をマイナスにしてもタンス預金が増えるばかりで、銀行に
預ける人が減り、景気は良くならないのです。
では、どうすれば良いのか? キャッシュレス化との関係は…?
次に、現金がほとんどなくなったキャッシュレス化の社会を考え、そこで、
マイナス金利を考えてみます。
自分のデジタル通貨の預金が、どんどん減って行くとしたら、どうしますか?
株や投資信託などを買って、早く使ってしまうことです。
そうすると、消費や投資が活発になりますから、景気が良くなるのです。
だから現金がなくなった世界だと、じつは簡単にマイナス金利によって景気を
良くする事ができるのです。
キャッシュレス社会になると、こんな政策まで出来る…?
しかし、キャッシュレス化で世の中がどんなに便利になっても、そちら側だけに
偏ってしまってはいけないのではないだろうか?
なぜなら、デジタル化に適応できないのは、何も高齢者だけではありません。
機械の扱いが苦手な人は若者にもたくさんいるし、電機や電子音等で病気に
なったり、触れないなど、世の中には、さまざまな人がいるのです。
特に近年では、家庭の事情等でスマホを買う事ができなかったり、持つ事が
できないというケースも多いといわれています。
それに海外、特に発展途上国や戦争の多い国では、電気が使えなかったり
無い場合も多いので、デジタルが、どこでも通用するとは限らないのです。
また、デジタル化で便利になる反面、人間が退化する部分もあるのです。
例えば、現金を扱わない為に自分の生活の自己管理・記憶能力が劣ったり、
頭の中で簡単な計算もできなかったりするのです。
そして1番の問題点は、第3者によって自分の個人情報が見られているだけ
ではなく、行動が管理され、自分の知らないところで、どう使われているか全く
知らないということなのです。
例えば、大きなニュースにもなった、フェイスブック利用者の個人情報が売買
され、それが大統領選挙に利用された可能性があるというものです。
それに、盗まれるのは、何も現金に限った事ではなく、どんなにセキュリティを
強化していても、キャッシュレスでも盗まれるのは避けられない事なのです。
また、日本などの先進国は、電気が豊富にあるため、滅多な事では停電は
起きませんが、海外では停電は当たり前の様に起きますし、いくらスマホが
使えても、システムが復旧しなくては使えないのと同じです。
すると、所詮、機械など、電気が無くては、何もする事が出来なくなりますし、
電気の無い所はいくらでもあるのです。
ちなみに、台風・地震・豪雪・豪雨などの自然災害が多発している日本では、
被災区域でキャッシュレスが使えないのはもちろん、現金でも、小銭が、
とても重宝されるのですよ!
つまり、便利な世界と不便な世界は、常に隣り合わせにあるのです。
ですから、オールキャッシュレス化にしてしまうのではなく、アナログな現金も
残しておくべきではないでしょうか?
ちなみにアメリカでは、低所得者や移民など、クレジットカードが作れない為に
現金しか持たない、または、持てない人も多いそうです。
そのため、アメリカ東部フィラデルフィア市では、全米で初めて、キャッシュレス
だけの店舗を認めないという条例を出しています。
あなたは、キャッシュレス社会を、どう思っていますか?
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