家庭で太陽光発電をして、余った電力を、電力会社が高く買い取る制度が、
2019年に節目を迎えるのです。
この制度が始まったのは、2009年のことでした。
そして、制度の利用期間は、10年間なのです。
そこで、初めからこの制度を利用していて、2019年に対象を外れる世帯が
およそ37万世帯にのぼるのです。
その後は、電力を販売する企業を、自ら探さなければならない、ともいわれて
います。
タイムリミットが迫ってくる中、これを商機と捉えた企業が、本格的に動き出し
ました。
東京ビッグサイトで3日間行われた、世界最大級のエネルギー総合展。
スマートエネルギーWeekには、世界33カ国、1580社が参加しました。
次世代エネルギーが注目される中、風力発電設備や、太陽光パネルなどの
展示が多く見られました。
中には…? カプセル型の奇妙な形をしたものがありました。
これは、何で、どう利用するのか尋ねてみました。
“自然エネルギーを使った、プライベートルームです”
じつはこれ、太陽光パネルや風力発電設備を搭載した、自立型のエコハウス
なのです。
さらに、蓄電池を搭載する事で、外からの電気の供給が無くても、生活が可能
だといいます。
こちらは、移動型の蓄電池で、コンセントを挿せば、電化製品がすぐに使える
のが特徴で、災害時などの利用を想定しています。
今回の展示会では、多くの企業が力を入れているのが、蓄電池です。
その理由が… 2019年問題です。
2009年に始まった、太陽光発電の余剰電力買い取り制度、FIT(フィット)。
固定価格での買い取り期間は10年で、来年には契約が切れる家庭も出始め
ます。
そこに目を付ける企業も…。
“こちらの商品が、2019年問題をターゲットにした蓄電システムの商品です”
大手企業が去年の夏から販売を始めたのは既にある太陽光発電システムに
後付け出来る蓄電池です。
電気を売るのではなく、日中の発電で余った電力を充電し、夜間に自家消費
します。
2019年問題の影響で、多くのユーザーから、引き合いがあるといいます。
その2019年問題、一般の人は、どう考えているのでしょうか?
都内在住で、夫婦と子供2人の4人家族で一軒家にお住いの方に聞いてみま
した。
太陽光発電を導入する前の電気代は、2万円を超えていましたが、今月は
およそ1万4千円でした。
昼間の電気は、ほとんどが自宅の太陽光発電を利用しています。
さらに、こちらのお宅では、余剰電力を東電に48円(1kWh)で売電したため、
今月は6240円で東電が買い取りました。
この48円は、2009年から続いていますが、その期限が来年の2019年に終了
してしまいます。
“2019年になった時に、いくらになるか、制度が決まっていない…”
2019年以降の売電価格は、決まっていません。
ただ、10円ほどになるのでは? とも、いわれています。
現在、家庭用の電気料金は、1kWhあたり24円。
こちらの家庭は、48円で売電しているので、売った方が利益となります。
しかし、制度が切れて、例えば、売電価格が10円となった場合は、売るよりも
自家消費した方が安くなるのです。
“蓄電池を買って、昼にためて夜もそこから使うという事は考えられるかな…”
太陽光発電を取り巻く環境が、急激に変化する中、企業は今後、新たに設置
する家庭向けの商品開発に力を注いでいます。
“太陽光発電の電力を高く買ってもらえなくなるのが、すぐそこまで来ている”
“でも、(今後)1番安いエネルギーになっていくのは、太陽光だと思います”
こちらの企業では、太陽光パネルの大きさを従来の半分にする事で、電流の
抵抗を減らし、高い発電量を実現しました。
このパネルとセットで販売したいのが、蓄電システムです。
“家の中に電気を送り込んだり、止めたり、ためたりする事ができます”
電力変換効率が96.5%と業界トップクラスの蓄電システムにより、太陽光から
得られるエネルギーを最大限活用する事が出来るのが特徴だといいます。
“蓄電池とセットにして、上手に電気をためてコントロールしながら使って行く”
“住宅用も、大型発電システムも、全部、そうなると思います”
また、新電力ベンチャーの企業も、蓄電池を売り込み、買い取り制度の期限
切れの客を取り込む狙いです。
“こちらの蓄電池は、業界初のAIを搭載した蓄電池です”
“ご家庭の電気の使用状況や電気プランなど、家庭ごとにシュミレーションして
最適な充放電を行ないます”
実証実験では、AIを搭載した事で、電気代を約10%削減できたといいます。
さらに…。
“我々は、電気小売りもやっているので、当社の蓄電池を導入してもらうと、
2~3割ほど、通常の電気代より安くなるプランを提案しています”
2019年問題に向けて、企業の生き残り戦略が加速しています。
ただ、この蓄電池自体にも課題は残る。
蓄電池は住宅や会社のエネルギー利用のためだけでなく、スマホやパソコン
電気自動車や飛行機など、さまざまなところでの利用価値が広まっています。
しかし、問題なのは、その中身です。
あなたは、蓄電池の中身が、何で出来ているかを知っていますか?
じつは、炭酸リチウムという天然資源が大量に使われているのです。
そう、天然資源という事は、採掘し過ぎれば当然、環境に影響が出るのです。
近年ではリチウムを必要とした商品や製品等が、世界規模で売られている為
わずか40~50年の間に膨大な量のリチウムを採掘してしまっているのです。
もちろん、天然資源なため無限に採掘できるものではないので、すでに南米
チリのアタカマ塩湖の周辺では、環境破壊が起きているのです。
そのため、リチウムも石油のように採掘量を調整するようになれば、ガソリン
と同じように価格が高騰する可能性があるのです。
また、蓄電池は使える容量と回数に限りがあるため消耗品として使うしかない
ので、古い物や使えなくなった物に再利用の価値は現在の所はありません。
電力買取制度の終了を機に、新たな商機を私たちは、どう捉えて行けば良い
のでしょうか?
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